月: 2020年5月

ターゲット設問を分割~小さな問いで場面ごとの理解確認

その日の授業を終えたとき/単元をひと通り学んだときに、そこまでに理解したことをもとに考え、生徒が自力で答えを導くべき問いや解決すべき課題(「ターゲット設問」と呼びます)を与えることは、学習目標を把握させたり、何のために学んでいるかを認識させたりするのに有効であるのは、以下の各記事でもお伝えしてきた通りです。 学習目標は解くべき課題で示す 単元ごとに設定するターゲット設問 解くべき課題で「何のために…

授業を通して21世紀型能力は育めているか

新型コロナウイルスの影響で当初の計画に大幅な見直しが迫られていますが、新課程への移行という眼前に迫る特大の課題も待ったなしです。来年度以降の教育課程表も、検討が進みフレームは出来上がっているでしょうが、大切なのはそのフレームにどんな中身を収めるかです。先進的に行われてきた様々な取り組みの中で生み出されつつある知見や好適な指導方法を、校内で共有し、ブラッシュアップしながら、新しい学力観に沿った学ばせ…

改めて迎える「新年度」の始動に当たって押さえたいこと

緊急事態宣言の解除を受け、様々な活動が再開します。学校もリモートでの学習指導を続けてきたとはいえ、学年での指導、進路指導、生徒会活動なども含めた学校全体の教育活動では「改めての新年度」です。 新しい生活様式の中でどんな学校を作るか/作りたいか、展望と意志を示し、校内外のステークホルダ(生徒、保護者、教職員、地域の方々)の理解と共感を得るべき局面であるのは、例年の新学期と同じです。 ❏ 教員間の「目…

動画で授業を完結しない~授業を構成するパーツとして

新型コロナによる臨時休校が長引く中、生徒の学びを可能な限り保証しようと教室での対面授業に代わる指導法が試されています。YouTubeでの授業動画の配信や zoomでの遠隔ライブ授業も拡充の一途です。様々な方法が試されたことでそれぞれの方法の強みや弱みも明らかになってきました。深く確かな学びを実現するには、様々なツールを組み合わせ、各々の利点を活かした授業構成が最も合理的なアプローチです。特に、利用…

日々のチェックで授業デザインのブラッシュアップ

臨時休校、分散登校、短縮授業と、授業日数・指導時間の確保を困難にする要因がズラリと並ぶ中、日々の授業をより効率的で密度の高いものにするには教室の対面授業で行う学習活動を精選する必要があります。 ターゲットとなる問いを設定することは本時の主眼や指導の目標を明らかにするとともに、個人で出来ることと教室で行うべきことの選別にも有益であるというのが、昨日の記事の主旨でした。 そうしてデザインした授業の一つ…

授業再開にむけて整えておきたい準備(記事まとめ)

緊急事態宣言の解除が進む中、学校の再開にむけた準備が本格化しています。「休校期間中の自学自習/遠隔指導」と「学校再開後の教室での対面授業」との円滑な接続をいかに実現するかは、この局面での最重要課題の一つであると考えます。 まずは、休校期間中の学びの成果をしっかり確かめることが先決です。3か月近くに及んだ臨時休校の間に、生徒が何を身につけ、どんなことができるようになっているのかを見極めないことには、…

イレギュラーな実施形態の中での授業評価アンケート

臨時休校が続く中、教室での対面授業から自宅学習や遠隔指導といったイレギュラーな形に切り替えての学習指導が続いてきました。そんな中でご相談をいただくことが増えているのが「例年行ってきた授業評価を今年はどういう形で行えばよいか」というものです。 授業再開後に学校が日常を取り戻して一定期間が経過したら、例年と同じ方法・内容で授業アンケートを行い、継続的な授業改善を着実に進めて行く必要があることは言うまで…

休校明けの授業を円滑に再始動する

緊急事態宣言の解除を受けて、一部の地域では学校が再開されますが、当然ながら再開を以て学校に日常が戻るわけではなく、むしろこれからの課題の方が大きいのではないかと思われます。休校期間の遅れを解消すべく先ずは年間授業日程を組み直すことからでしょうが、カレンダー上で授業計画をスライドさせるだけでは解消できない問題が多々ありそうです。再開後の教育活動をいかに円滑に素早く正常化できるかは、再開前の準備にかか…

知見の共有と実践の浸透をスムーズに

休校が続いたり再開しても分散登校が余儀なくされたりする中、制限の多い教育環境でも生徒の学びを止めないようにと各地の先生方が様々な工夫をなさっています。普段と同じスタイルで授業ができず、止むを得ず代替で投入した方法が期待以上にうまく機能し、「日常が戻った後も応用していきたい」と手応えを得たケースも少なくないようです。 ピンチを迎えて知恵を絞ることで、知の地平は大きく広がるようです。ここで生まれた知見…

休校中の学びをより大きくするために(まとめページ)

緊急事態宣言を受けて休校措置が続く中、教育活動をストップさせないために様々な取り組みがなされています。教科学習指導においても、 zoomをはじめとするコラボレーションツールを活用した双方向授業 YouTubeでの授業動画配信など普段の授業に近づけようとする試み 宿題を与えて自習させ、期限までに提出させる長期休みと同じ手法 といった様々な方法が見られますが、「深く確かな学び」の実現可能性において学校…

休校が続いて、何をやればいいのかわからない?

休校が長引く中、勉強の遅れや受験への不安を抱えつつ「何をやればいいかわからない」と悩む生徒も少なくないようです。学校が与えた課題や自分が立てた計画に沿って勉強を進められている生徒と、「わからない」といって立ち止まる生徒の間には、普段よりも早いペースで学力差が拡大していると思われます。 具体的な学習課題を用意したり、リモートでも学びを進められる環境の整備を図ったりといった、指導者/学校側での取り組み…

リモート学習で「答えが一つに決まらない問題」を扱う

答えが一つに決まらない問題は、生徒が社会に出て多々直面するものであり、教室の中でもそれらへのアプローチを学ばせる必要があるのは明らかです。解内在型の問いがメインだった従来の教科学習では、立場によって賛否が分かれる問題や解法が未確立の問題を扱うのはどちらかと言えばレアでしたが、今後は教室で扱うケースも増えていくはずです。様々な見方で問題の把握を試み、原因や解決策を考えていくことになりますが、そこで欠…

対面以外の環境で実現する対話的な学び

対話的な学びの必要性は広く認識されるようになってきました。学びの中で対話を増やすことの目的は活動性を高めて生徒を退屈させたり居眠りさせたりしないことでないのは言うまでもありません。対話の拡充を図ることで目的とするのは、 などであり、いずれも対話以外に実現の方法はなさそうです。非常事態宣言が延長され休校が続く中、対話的な学びには大きな支障が生じています。休校が解除された後でも分割登校でクラス全体での…