月: 2019年9月

生徒を指名して発言させるとき(その1)

生徒を指名するに当たりどんなことを心掛けていますかと先生方にお尋ねすると、「できるだけ均等に発言の機会を与えるようにしている」という答えがかなりの割合で返ってきます。生徒が授業をただ聞いているだけではなく、発言させることで生徒が能動的に関わる授業にしたいからということのようです。 しかしながら、意図した通りの結果になっているかというと、そうとも限らないのが現実だったりします。発言の準備が整わないま…

進路指導で育む“選択の力”(その2)

進路選択は生徒にとって重大事です。生徒一人ひとりの資質や志向に合致した進路を決定するという目的を達することに加え、その過程を「選択の力」を獲得する機会と捉えた指導を実践しようというのが前稿の主旨です。進路指導を通じてどんな資質や姿勢、スキルが身につくいていくか、それらが探究活動や教科学習指導を通して獲得するスキルとどのように関わっているかを視点に、もう少し考えてみたいと思います。 2014/12/…

進路指導で育む“選択の力”(その1)

進路指導が、生徒一人ひとりに資質や志向に合致した進路を決定させることを目的として行うものであることに異論の余地はありませんが、この目的を達成する過程で生徒が身につけていくべき様々な資質や姿勢があることも忘れてはいけません。とりわけ、進路を選択していくプロセスの中で養われる「選択の力」は生徒がその後の人生を歩む上でとても大切なものです。進路指導は「選択の力」を養う上で、ほかに代えがたい重要な指導機会…

最短の進路がベストにあらず

普段乗ることがあまりない路線を利用したとき車内を見回していたら、専門学校の中吊り広告に「私の進路は最短距離」というコピーを見つけました。ある職業を志す決意で入学する専門学校では、進路希望という夢を最短距離で実現させることが求められるのは当然ですが、高校での進路指導となると全く別の話になります。 ❏ 寄り道が視野を広げ、正しい選択を可能にする 高校の進路指導は、「進路希望や志望理由を作るフェイズ」と…

課題(教材)のシェアから始める組織的授業改善

より良い授業の実現を図るには、習ったことを使ってみる機会(=授業を通じて獲得した知識や理解を用いて答えを導くべき問い)をしっかり用意する必要があり、それらが学習目標の理解や学びの仕上げに正しく利用できているか、生徒の学力向上感との間で散布図を描いてチェックしてみるべき、というのが一昨日と昨日の記事の趣旨です。 ❏ 紙の上に固定できることは議論の進めやすさ どのように授業を進めていくかは、教科の中で…

散布図中の位置で探る改善課題[活用機会×学習効果]

昨日の記事でお伝えした通り、「授業を受けて獲得した知識や理解を用いて、問いに解を導いたり様々な課題に解決方法を考えたりする機会」をどれだけ整えたかは、生徒の認識にある「授業を受けての学力向上/自分の進歩の実感」を大きく左右します。下図は、横軸に【活用機会】の得点を、縦軸に【学習効果】の得点を配して作成した散布図です。各得点は、下表の方式で5択(とてもそう思う~そう思わない)の回答選択率に基づいて算…

習ったことを使ってみる機会

授業評価アンケートの標準的な質問設計の中に「宿題や課題など、習ったことを使ってみる機会が整えられている」かどうかを尋ねる項目【活用機会】を設けてあります。この質問で尋ねていることのメインは、言うまでもなく文の後半です。文頭に付いた「宿題や課題」は、後半部分を実現するための手段例であり、「など」が含意する通り、ほかにも実現の手段はあり得ます。要は「習ったことを使う機会」が整えられていれば良いのですが…