月: 2015年8月

協働の進み具合を測る指標

授業改善はチームで進める方が効率的であり、自分ひとりで頑張っても壁がありますが、実際に授業改善に向けた教員間の協働がどのくらい進んでいるかと問われても、はっきりした答えが見つからないものです。先生方を対象に聞き取り調査を行っても、進み方の評価や捉え方が様々です。「学校全体の取り組み」「教科ごとの取り組み」「個人の取り組み」の区別がはっきりしないことも少なくありません。そんなややこしさを抱える問題で…

苦手意識が膨らんでしまったら(その3)

前学期までの学習で、学習を通じた成果を感じ取れなくなり、苦手意識が芽生えているということは“認知の網”がしっかりと張れていないことを意味します。 新しいことを理解するには、その情報を過去の経験や既得知識と結びつけることが欠かせません。結びつける先を持たない情報は、認識を通過してしまい記憶に残らないからです。 「認知の網」が張られていなかったり密度が足りなかったりする領域では、知識の獲得や理解の形成…

苦手意識が膨らんでしまったら(その2)

新しい単元に進むとき、もしそれまでに生徒の側で苦手意識を持ってしまっていたり、学力の向上を感じ取りにくくなっていたりしたら、次に進むレディネスが整っていないことを前提とした指導を設計しなければなりません。 これをやれば大丈夫という“万能薬”はありません。いくつかの対策を複合的に講じることが大切です。 もちろん、こうした対策にはそれなりの時間を投じる必要がありますので、順調に勉強を重ねてきた生徒の足…

苦手意識が膨らんでしまったら(その1)

苦手意識を抱えていたり、学力向上感が希薄だったりする場合、授業への消極的な取り組みを続けてきた結果、これまで学んできたことがらへの習熟が不十分であることは十分に想定されます。 そのまま単元を進めてしまっては、次の学習目標の一つ一つをクリアしていくことが加速度的に難しくなるのは、当然ながら予想されることです。 実際に、授業評価アンケートの結果を見ていると、前学期に苦手意識が膨らんでいると、次のターム…

負荷調整は、得意/苦手の分布を見極めて

“その科目が得意か苦手か”――生徒自身に意識によって、負荷(課題の難易度など)に耐えられる力が異なります。得意と考える生徒は、チャレンジングな課題を与えられた方がより強固な手応えを感じ取り、苦手な生徒はちょっと難しいと感じただけでも諦めてしまうと考えれば、無理からぬことと思えます。実際のデータを見ても、以下の通りです。 ● この科目が「得意」「やや得意」と答えた生徒の評価 ● この科目が「苦手」「…

活動性を高めて苦手意識を抑える

討論や練習、作業などの活動を通じて生徒が充足感を得ているクラスほど難しい課題にチャレンジさせても苦手意識を作らせにくいようです。課題や授業内容を難しくしていくと生徒の意識は「得意」から「苦手」にシフトしていくのが普通ですが、生徒自身が能動的に学びに関わる場面を作ることで、苦手意識の発生を遅らせることが出来そうです。 ❏ 活動性が高ければ、難易度を上げても苦手に振れない 上のグラフは、同じ質問を採用…

高意欲群に訴求し、低意欲群も支える授業(その2)

クラス内で学習意欲の差が大きくなると、どの層をターゲットにするか判断が難しくなるというのは日常的な感覚です。しかしながら、前記事でデータをご紹介した通り、高意欲群に生徒に対して十分な学習成果をもたらしつつ、学習に取り組む“自分の理由”があいまい(=自分なりの目標や課題をもって授業に取り組んでいない)生徒にも、しっかりと学びの成果を上げている授業があります。 その一方で、高意欲群に対する効果が同水準…

高意欲群に訴求し、低意欲群も支える授業

あなたは、自分なりの課題や目的意識をもってこの授業に取り組んでいますか――この質問にYESと答えた生徒には、きちんと学力向上感を与えてあげなくてはいけませんが、かといってNOと答えた生徒を放っておいて良いという話でもありません。 下図は、生徒本人の目的意識(≒学習意欲)の強弱により、学力や技能の向上を感じたかどうかを尋ねる項目での評価がどのように違うかを調べてみたものです。調査対象としたのは280…