進路希望の具体化と実現へ

面談指導を成功させる#1~事前準備と面談前指導

個人面談は、生徒一人ひとりの進路、学習、生活の悩みや課題を把握、共有し、その解決に向けた支援を行う貴重な指導機会です。面接を指導の要(かなめ)と位置づけ、年間5回以上に及ぶ全員面談を計画に組み込んで組織的な取り組みとしている学校もあります。ただし、面談指導の効果は実施回数に比例するとは限りません。面談に臨むまでに重ねる準備(生徒/教員の双方)が成否を分けます。 2014/11/13 に公開した記事…

先生方との相談で、周囲からの刺激を上手に消化

周りの生徒の頑張りは、生徒にとって大きな刺激となり、自分も頑張ろうという気持ちを生み出します。ただし、刺激が自動的に頑張りに転化するわけではなく、刺激を消化するには、先生方をはじめとする周囲との対話(相談)の中で得られる助言が欠かせないことが多いようです。 2021/03/30 公開の記事をアップデートしました。 ❏ 刺激を消化して行動につなげるメカニズム 学校評価アンケートの回答を解析してみると…

進路意識の高揚を目的とした講演会の企画

進路意識の高揚を図ることを目的に、生徒が目標としている大学に進んだ卒業生や、その大学の入試広報担当者を招いて講演会を実施することがありますが、せっかくの企画も単発のイベントに終わってしまい、継続的な効果をもたらしていないケースも少なくありません。進路行事が、継続性のある進路意識の高揚や受験生としての個人/集団レベルでの成長という所期の目的を達するには、 といったことを十分に意識した上での企画・運営…

選択した結果に向き合う

受験シーズンも後半戦。いよいよ旅立ちが近づいてきました。生徒や学生が、自ら選択した進路に新たな一歩を踏み出す季節です。これまでの頑張りをたたえて、「おめでとう、頑張って」と温かく送り出してあげたいものですが、高校や大学の卒業生アンケートなどの結果を拝見していると、気になるデータもちらほらと…。生徒が自分で選択した結果に向き合うことをテーマに、感じるところをまとめてみたいと思います。 2015/02…

志望理由を言葉にしてみる~ゼロ学期の始まりに

ゼロ学期を目前に、いよいよ最上級生となる高2生は、先輩たちの受験生としての日々を間近に見ながら、自らの進路希望の実現という大きな挑戦を強く意識し始めているかと思います。ゴールまでの最長14か月に亘る長期戦のスタートをどう切るかは、結果とともにその過程での成長の度合いも大きく変えるのではないでしょうか。 2016/03/25 公開の記事を再アップデートしました。 旧タイトル: 志望理由を書いて選択に…

最終局面での進路指導~出願校選定から卒業まで

いよいよ受験期本番が間近に迫りました。ここから先、生徒一人ひとりの状況を把握しつつ、その頑張りを支えるため、指導にはきめ細かな配慮が必要になりますし、出願をはじめとする重大な選択も続きます。この最終局面での指導に明確な見通しと戦略をもち、しっかり準備して臨めるかどうかは、生徒の未来に小さからぬ影響を及ぼすはずです。冬休みに入れば、先生方の間での情報交換や目線合わせの機会は持てなくなります。年末の忙…

浪人して捲土重来を期すなら

受験本番が近づく中、十分な勝算のもとで第一志望に挑める受験生もいれば、多少のビハインドを抱えながら逆転をかけて勝負を選ぶ受験生もいると思います。この時期の過ごし方は、受験生/学習者としての成長も大きく左右しますので、日々を大切にしてほしいと思います。中には浪人の可能性も思い浮かべながらの終盤戦という生徒もいるかもしれませんが、浪人して捲土重来を期すなら猶のこと、この受験期の過ごし方が大切です。勝負…

大学に進んでから燃え尽きさせないために

進路希望の実現に向けて頑張ってきた生徒には、進学先でも新たな夢の実現に充実した日々を過ごしてほしいところですが、様々な統計を見ると、学業不振や学校生活への適応で苦しんでいる学生も少なくないようです。こうした問題に対して、大学に送り出すまでに高校の中で打っておくべき対策もあるように感じます。 2017/03/30 公開の記事を再アップデートしました。 ❏ 学業不振や学業への無関心が中途退学の主因 古…

卒業を前に改めて考える、大学に進んで学ぶ理由

年末を迎え、総合型選抜で受験した生徒の合格の知らせが既に届き始めていることかと思います。学校推薦型選抜の結果もいよいよです。生徒が進路希望を叶えて進路を決めたのは喜ばしいことですが、生徒一人ひとりが「なぜ大学に進んで学ぶのか」という問いに自分の答えを持っているか、この局面でこそ確かめてみるべきではないかと思います。大学・学部を選ぶときは「大学で何を学ぶか」が焦点ですが、進学先が決まった生徒には「何…

進学先の確保と進路希望実現のはざま

進路希望の実現に向かう最終フェイズで、生徒一人ひとりが最後まで第一志望を貫徹できれば何よりですが、大学入学共通テストの結果などでセカンド・ベストへの切り替えを検討しなければならないケースもあります。出願指導では「進学先を確保してあげたい」と「初志を貫徹させたい」の狭間で先生方も判断に迷うことが多いのではないでしょうか。いざ最終選択という場面を迎えて、判断を誤らない(=後悔しない選択ができる)ように…

出願指導に向けて~事前研修とデータの確認

師走が慌ただしく過ぎると、あっという間に大学入学共通テストです。その後には自己採点結果を踏まえた出願指導が待っていますが、それに向けた準備(指導の計画)は万全でしょうか。どれほど綿密に練った計画も、実施に移すと意図通りに進まないこともあります。その主な原因は、実際に指導に当たる先生方のスキルや知識が追い付かなかったり、個々の生徒の置かれた状況が事前の想定と異なったりすることです。受験本番を控えた待…

履修科目選択と進路希望調査(志望理由の確認)

11月も半ばを迎え、高校2年生は3年時の履修科目選択に頭を悩ませている頃かと思います。1年生も2年での文理選択が迫ります。履修科目/文理を選択させるに当たり、生徒の希望を調査するだけでは指導が完結しないのは言うまでもありません。生徒一人ひとりの状況を確認し、より好ましい選択に向かわせる必要があります。何となくの選択では、その先に一人ひとりの志向や資質に見合った未来が待っている可能性は下がるばかりだ…

学習機会としての模試受験 #INDEX

模擬試験には、当然ながら合否判定の結果をみて志望校/出願校を選ぶという使い方もありますが、学習機会としても積極的・戦略的に利用したいものです。少なくとも半日、ときに丸一日という多大な時間を模試に費やした挙句、合否判定の結果で進路の可能性を狭めていくだけならば、授業を進めた方がましかもしれません。 2014年11月に起こしたシリーズを再アップデートしました。 模擬試験を受けさせる前の指導、成績が戻っ…

どこまで伸びるか見立てる(進路希望の維持:続編)

前稿「模試受験後の指導~進路希望を維持させる~」の続編です。模試などの結果を踏まえて、生徒は最終的な出願先を選び出していきます。最終的に出願する大学・学部が、生徒が入学してきたときや進路を考え始めたときに思い描いていたものと違っても、高校生活を送る中で「学びたいこと、学んだことを活かしてやってみたいこと」を見つけて、積極的に選び出した進路であれば何ら問題はありません。むしろ、生徒が努力を重ねて進路…

模試受験後の指導~進路希望を維持させる~

模擬試験を受験させた後の指導は、進路希望の実現への意欲を維持させる上で最も大切なことのひとつです。それまでの自分の学びをきちんと振り返る中で「次に向けた課題」を明確にできるかどうか、戦略を立て直すことで「志望実現に向けた勝算」を描き続けられるかどうかが、受験生としてのその後を大きく隔てます。 2014/11/28 公開の記事を再アップデートしました。 ❏ やりたいことに挑み続けられるように 模試の…

学習機会としての模試受験(その3)~好機はいつ?

近くに予定されている模擬試験をターゲットに学び直しに挑ませる機会を整えるのは、未習熟・未定着を解消して模試の成績を引き上げるためだけではありません。これまでの学びを振り返らさせて、主体的に且つ計画的に学習を進める姿勢と方法を学ばせることも狙ってのことです。 2014/11/27 公開の記事を再アップデートしました。 ❏ 好適時期に集中して行うべき指導 勉強と部活動との両立を図り、ときに二兎ならぬ三…

学習機会としての模試受験(その2)~計画させる

模試を「中間目標」に、それまでの準備を計画させるときに大切にしたいことの一つは、「やるべきことを生徒自身に選択させる」ことです。先生方が課題を指定し履行させるだけでは、効果的で実行可能性を備えた計画を立てる力を身につけるためのトレーニングになりません。やるべきことのピックアップと持ち時間内への配列も決して簡単なタスクではありませんが、「できるようになってもらいたいことは、どんどんやらせてみる」よう…

学習機会としての模試受験(その1)~仕上げさせる

模擬試験を受験させるのには、出願校選択のための合否判定データを揃えるという目的もありますが、この部分にばかり意味を持たせるのではなく、「学習の機会」という位置づけで模試を捉えるのが好適です。模擬試験に向けて数週間程度の準備期間を設け、生徒が自分の課題を設定してひとつずつ仕上げてクリアしていく場合と、漫然と場数だけ重ねて行く場合とでは、得られるものが大きく違います。 2014/11/25 公開の記事…

模試や考査の事後学習~間違え直しだけでは不十分

模試の結果や考査の答案を返却するとき、間違え直しや解き直しを指示することも少なくないと思います。出来なかったところを復習を通じて埋めて知識・理解の補完を図るだけでは、他の部分に不足が残ります。配布された「解答と解説」を読んで「なるほど」と納得しても、それだけでは自力で題意を理解する力、解法を考え出す力が身につくかは疑問です。解法も示されたものを覚えるだけなら「知識」に過ぎません。また、「事前のテス…

学力向上を支えるクラス内での相互啓発とメタ認知

様々な学校の授業評価アンケートや学校評価アンケートのデータをお預かりして分析を進める中で、昨年と今年についてはコロナ禍に見舞われたこともあってか、例年と比べ、受験期を迎えた高3生の「学力向上感の伸び」に鈍さのようなものを感じるケースが少なからずあります。感染対策で実際のご指導に生じた制約は、学校ごとに違いますし、それに対処するために採られた方法も違うため、ひと括りにして論じるのはあまりにも乱暴だと…