キャリア教育への注力や高大連携の強化といった流れの中で、進路意識形成を目的とする、外部から講師やファシリテーターを招いての講演会やワークショップが増えているように思います。
見学をさせていただく度にたいへん勉強になりますが、「あれっ?」と疑問を感じることも少なくありません。例えば、こんな感じです。
- 生徒がなんの準備もせずにその場に臨んでいる
- 講演の内容は良いのに、生徒をうまく巻き込めない
- 事後の指導に繋がらず、単発のイベントで終わっている
- 自由参加とは言え、あまりにも参加者が少ない
こうした場面を目にすると、せっかく手間と時間をかけて設けた指導の機会を存分に活かしきれていないことに勿体なさを感じてしまいます。
講演やワークショップの内容は、講師にある程度任せることになるかもしれませんが、行事に向けた準備をさせるのも、参加すべき生徒をしっかり集めるのも、行事を得た気づきを一過性のものとしないように事後の指導に繋ぐのも、学年を担当する先生方にほかなりません。
行事を経てどんな変化を生徒に期待し、その後の指導にそれをどう生かしていくか、行事の目的と指導の全体像の中での位置づけを、学年担当の先生方の間で共有しておかないと、行事に向けた指導やその後の展開にきちんとした思いを込められません。
2017/03/06 公開のインデックスと各記事を再アップデートしました。
せっかくの行事に生徒はじっくり向き合えているか
事前指導を通して問題意識を刺激しておく
講演者に対する質問を前もって作ることにも効果あり
振り返りはきちんと行わせる
志望を同じくする生徒のコミュニティづくりの起点に
講演者との事前の摺り合わせは丁寧に
講演テーマについて「認知の網」を張らせておく
担任の先生からも同じテーマで話をしておく
行事の目的や位置づけを教員間でしっかり共有
・生徒に見えている景色を想像しながら教えているか
・資料を与えて読ませる/探させる、そしてその先に
思考と対話を成立させるには「前提知識」が必須
導入講義だけで何とかしようとしても…
導入講義を端折り、お題の提示から入る
背景知識と前提理解は、自力と協働で整えさせる
討論にフォーカスを与える「問題点の切り分け」
興味の所在に応じて、グループを再編
集団達成の喜びが協働性を育て、興味を広げる
行事の乱発で、参加機会や向き合う余裕が失われる
各組織がグランドデザインのもとでしっかり連携
どの行事を優先するかはグランドデザインに照らして
ターゲットと目的を明確に、校内にもしっかり広報
参加意欲を高める生徒への働きかけは十分か
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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一