高大接続改革や新課程を目の前に、知識・理解、思考力・判断力・表現力、協働性・主体性・多様性をバランスよく伸ばす指導方法の確立は先送りできない課題です。
主体的で対話的で深い学びを実現するには、解くべき課題を与えて生徒が自ら/協働で解法を考える場を作る必要がありますが、そうした授業内活動を含む授業をデザインしても、生徒が積極的に参加してくれないことには狙った効果が得られません。
教え込むより、調べさせて気づかせることを旨とした授業デザインへの転換を図ることと並行して、「いかにして生徒を積極的に活動に参加させるか」をしっかり考えなければなりません。この問いへの答えを見つけるには、まずは「なぜ生徒の活動性があがらないのか」を見極めるところがスタートだと思います。
生徒が動いてくれない~まずは問題の切り分けから
到達点がイメージできないことでの戸惑いと不安
「習慣化」もゴールをイメージする大切な要素
振り返りシートなどを使って、生徒の認識を確かめる
学びへの様々な動機を組み合わせて
一人ひとりが活動の中で役割を持たせることの効果
取り組みに方向性を与える行動評価とフィードバック
目指すべき到達状態、望ましい行動を評価基準で示す
知識量の差で、グループ討論が機能しない
既習内容の補完は導入フェイズの問い掛けで
その場の知識獲得~読ませ、聴かせ、調べさせる
傾聴と批判的思考のスキル獲得にフレームを用意
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追記: 協働性・多様性・主体性を獲得するには協働の場が必要であることは間違いありませんが、「活動=協働」ではありません。生徒一人ひとりが課題に向き合い、「う~ん」と唸りながらじっくりと考えることもまた大切な活動そのものです。
手も口も動かさずとも、思考は行われます。一人課題に向き合いじっくり考えることは、これからも大切にするべきだと思います。協働を通じて交換される発想や知識をパーツに、その新しい組み合わせ(=イノベーション)が生まれるのは、一人に閉じた思考の場であることも少なくありません。散歩中に妙案が浮かぶことだってしばしばです。
教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一