先生方の話がきちんと聞き取れることは、「わかった→できた」という流れの大切な起点です。しかしながら、「ちゃんと話しているつもりなのに…」と苦労しておられる先生方も少なくありません。
話が聞き取りにくいことの背景には様々な原因が存在します。複数の原因が絡み合っている以上、問題の解決には、原因を一つひとつ切り分けながら、その解消を図っていく必要があります。
2014/09/11 公開の記事をアップデートしました。
#01 目と口が生徒から見える状態で
話し方の不備は、学習活動のすべてを妨げる
教員の目と口が生徒から見える状態で話をしているか
生徒の目線をあげさせ、こちらを向かせる
短いサイクルでの問い掛けと板書での情報固定
#02 短期記憶を飽和させない
短期記憶を飽和させないように話しているか
話すスピードを落とすより、区切りをはっきりさせる
そこまでの流れとポイントを板書に残す(再)
長すぎる/主述の対応が不明確なセンテンスも要注意
初見の用語は、視野に提示し生徒に目で確認させる
予めしっかり音読、重要箇所は発問でピックアップ
#03 ルーチンの確立/活動の切替
教室の環境整備と休み時間からの切り替え
生徒が演習や作業に集中しているとき
同じ刺激を連続させない~メリハリと活動の変化
ルーチンを確立することで、余計な指示を省く
板書を使って手順を予め示しておく
【追記】感染対策のための換気と外部の騒音の遮断
#04 プラスアルファの工夫と配慮
わかりやすい話し方の「周辺」にも十分な考慮を
生徒が意識をほかに向けるのはやることがないとき
問い掛けを絶やさず、対話に生徒を参加させる
話して聞かせるより、読ませて理解させる
本編をお読みいただきましたら、以下のチェックリストもご活用ください。採点基準は以下の通りです。
- 十分に意識しており、方法も適切というのであれば〇(2点)
- 意識はしているが方法に不安なら△(1点)
- 意識しきれていないなら✕(0点)
☐ 生徒に自分の目と口が見える状態を作ってから話をしている。
☐ 黒板に必要な情報を書き出すことで短期記憶の飽和を予防している。
☐ 主述が明確な、構造的に簡素なセンテンスを用いている。
☐ 初見の用語は、必ず書き出して目と耳での一致を確認させている。
☐ 教室外からの騒音を遮断できる環境を整えている。
☐ 始業時に短時間でも静寂の時間を作り出している。
☐ 同じ刺激を連続させないよう、緩急・強弱・高低を使い分けている。
☐ 教室での約束事を明確に、その場での指示は最小限にしている。
☐ 生徒を指名するとき、履行や達成の状況を事前に把握している。
☐ 話して聞かせるときと、読ませて理解させるときを切り分けている。
現時点の自己採点の結果は何点だったでしょうか。改善に取り組んで、暫くしてから再点検してみると、どれだけ改善が進んだか確認できるとともに、次に何を工夫するべきかも見えてくると思います。
現時点で〇をつけていた項目でも、「技術」をさらに深いところで理解するようになることで、自己採点が△や✕に後退することもあります。もう一段先の高い技術に近づく道が見えたということです。
■関連記事
- 板書の技術(全7編)
- 強調の正しい方法(全5編)
- 問い掛けの多い授業が良い授業(全3編)
- 理解度の確認で伝達技術の向上を(全4編)
- 説明がわかりにくいと言われたら
教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一