生徒に問いを立てさせる(続編)
前稿(本編)では、問いを立てることは教材に深く関わることであり、問いを立てることで学びは深く、広いものになると申し上げました。ジャンルやタイプを問わず、どんな文章/テクストでも、問いを立てながら読むことで書き手との対話が生まれます。グラフや図表のデータ、画像などの言語以外の方法で表現されたものも同じです。このようにメリットの多い「問いを立てる」というタスクには、教室で早いうちから取り組ませるべきだ…
当オフィスは、各地の学校で授業力向上や教育改善・学校改革のお手伝いをしています。
前稿(本編)では、問いを立てることは教材に深く関わることであり、問いを立てることで学びは深く、広いものになると申し上げました。ジャンルやタイプを問わず、どんな文章/テクストでも、問いを立てながら読むことで書き手との対話が生まれます。グラフや図表のデータ、画像などの言語以外の方法で表現されたものも同じです。このようにメリットの多い「問いを立てる」というタスクには、教室で早いうちから取り組ませるべきだ…
主体的、対話的な深い学びの実現のカギをにぎるのは、生徒に自ら問いを立てさせることだと思います。先生方の発問や教科書会社が用意した設問が、個々の生徒の興味を十分に刺激するとは限らず、学びは自分事にならない(=学ぶことへの自分の理由を持てない)かもしれません。また、教材を離れ、問いが付与されていないテクストや資料を読む場面では、読み取ったことの中に自ら問いを立てられてこそ、より深い理解が作られますし、…
検定教科書の内容を中高生の半数近くが読み取れていない、内容を正確に理解できない可能性がある――この研究結果が発表されたのは、本稿を最初に起こしたときの少し前。かなり大きな話題になりました。教科書をきちんと読めないということは、眼前の課題を解決するために何かを新たに学ぼうとしても、誰かが教えてくれでもしない限り、必要な知識と理解を自力で形成することができないということ。21世紀型能力における基礎力(…
進路希望なり、将来の夢なり、目標となるものを決めたら、それを達成するためにクリアすべき課題が何かを洗い出し、その一つひとつにどう取り組んでいくかを考えていく必要があるのは言うまでもありません。目標達成の要件/課題を正しく捉え、それを充足するための行動を持ち時間の中に効率よく配列しておかないと、無駄なことに時間を費やしたり、肝心なことが意識から漏れて手付かずになったりしがちです。最上級生となる3年生…
授業内外に用いる課題に、生徒が志望する/目標とする大学群の入試出題から選び出した良問を用いることで、様々な効果が得られます。今学んでいることが、どのような問われ方をするのかを知れば、学び方にも方向性が得られますし、解けたことで、自分の進路希望が「努力で届く範囲」にあると感じることからの好影響も小さくありません。過去問から好適な問題を選び出して授業に用いるためには、出題研究の充実が欠かせませんが、先…
指導と評価に、良問を効果的に活用するには 出題研究を行い、そこから選び出した良問を学習指導に役立てる機会と方法には様々なものがあります。授業の課題/教材として活用すること以外にも、定期考査や実力テストの出題に転用したり、高い学力を備える生徒の意欲に応える任意課題としたりするケースなどもあります。いずれの場合でも、生徒に与える前に欠かさず行いたいことは、前稿でもふれた「生徒側のレディネスを確認するこ…
作業全体の効率を高めるための手順(進め方) 生徒の進路希望の分布などに基づき出題研究の対象とする範囲(大学や学部)を決めたら、各々に担当を割り振って、第一段階の審査(価値の低い問題を予め除外するフィルタリング作業)に取り掛かりましょう。個々の授業/単元での授業のデザイン(指導計画の中への「良問」の配列とその使い方)の検討に十分な時間を確保できるように、如上の第一フェイズまではできるだけスピーディー…
良問/悪問の選別は仲間と手分けして効率的に 様々な学力要素(知識や理解のみならず、21世紀型能力で言うところの「基礎力」や「思考力」を構成する能力群も含めて)をしっかり測定できる「良問」をどれだけストックできているかは、学習指導の効果を大きく分けます。それらを軸にした授業デザインは、新しい学力観の下での指導を可能にしますし、テスト問題として課せば、学力の向上過程を捉え、ここから何をどう学んでいくべ…
学校には建学の精神や教育理念、教育目標といったものがありますが、生徒一人ひとりがそれらを卒業までに自身の思考や行動の中にどのくらい実現できたかは、学校の教育成果を測る重要な指標のひとつです。特色ある教育活動も、建学の精神や教育理念の下でデザインされているはずですので、精神や理念に照らした行動評価の結果は「学校の教育力を伝える新たなモノサシ」の一つになり得るのではないでしょうか。 2017/05/1…
全国各地の学校が「特色ある学校づくり」にこれだけ意欲的に取り組む中、実現を目指す教育の価値やその成果を示す指標には、もっと様々なものがあって良いのではないかと感じます。例えば、卒業に臨んで「私はどうしてこの進路を選んだ、この道でこんなことをしてみたい」との思いをしっかり抱き、言葉にできる生徒の割合などは、その一つになり得るはずです。進学を志す生徒には、総合型選抜の拡充に伴い、志望理由書や学修計画書…
新しい学力観に沿った学ばせ方や教育活動の確立を図るには、校内外の優れた実践に触れて発想を押し広げていく必要がありますが、それと並行して、新たに採り入れた取り組みや工夫の効果測定をきちんと行わないと、せっかくの努力も方向を失い、試行錯誤に生徒を巻き込みます。目指すものが変わる以上、これまでに蓄積してきた経験則や、そこから生まれる「勘」に頼るばかりでは立ちいかないことも増えます。とは言え、思考や判断、…