新課程の下での指導を振り返る(ゼロ学期のスタート)

さて、高校で新課程の下での学習指導が始まり9カ月が経過しました。獲得を目指すべき学力像が新しくなった中、現場で頑張る先生方は様々な工夫を重ねて来られたことと拝察いたします。この間に得られた成果と課題が、4月に始まる新しい年度の指導に活かされてこそ、学校全体での教育活動はより良いものに進化する(=より多くの生徒がより良い指導の恩恵に預かる)ことができます。 ❏ 先ずは、ここまでの指導の効果をきちんと…

授業改善行動の実効性を高めるために#INDEX

授業評価アンケートの集計結果や模試などの成績データなどから、授業改善の課題がどこにあるかを特定できたとしても、それだけで「改善に向けた具体的な行動」を描き出し、着実に実行できるとは限りません。改善課題の解決に必要な知見を集めるにも相応の工程が必要ですし、授業の進め方や指導計画の中に落とし込むには従来の発想を離れた工夫も必要になります。また、当然ながら、「プランの立てっぱなし(計画倒れ)/やりっぱな…

授業改善を進める準備が整っているか

本シリーズでは、「授業改善行動の実効性を高めるために」と題して、改善課題の特定から、改善に向けたプランの作成、その実行と改善行動の効果測定までの流れについて、考えるところをまとめてみました。授業改善を継続的、効果的に進めるには、如上のPDCAサイクルを適切に回せるだけの環境や準備が整っていることが前提要件。本稿では、シリーズの追記として、この辺りを考えてみたいと思います。もし、現状を鑑みて不十分と…

授業改善行動の実効性を高めるために(その3)

改善行動の効果測定とその後のアクション 授業改善に向けたプランを実行していく中で、所期の目標の達成を引き寄せるべく「中間検証」で小さなPDCAを回しながら、次の授業評価や模試などを機に「改善行動の効果測定」を行います。成果を挙げた取り組みはきちんと共有・継承することで、次の年度でほかの先生方が同じ試行錯誤を繰り返さないで済むようにしたいところ。巨人の肩の上に立つという言葉がありますが、先人が築いた…

授業改善行動の実効性を高めるために(その2)

改善プランの具体化、中間検証 授業改善を確実、且つ継続的に進めるためのPDCAサイクルの前半である「改善プランを立てて、実行する」フェイズでは、データに基づき現況を正しく理解しておくことに加えて、改善策を考える段階で、 という2点を確かめて進めないと、その先での行き詰りが懸念されるのは前稿でお伝えした通りです。これまでの発想の中に立ち止まったままで、あれこれと策を講じても、ブレイクスルーは期待でき…

授業改善行動の実効性を高めるために(その1)

課題形成から改善プラン作りの準備 授業改善を継続的かつ確実に進めていくには、現況把握に基づく課題形成、改善プランの策定、改善行動の効果検証からなるPDCAサイクルを着実に回す必要がありますが、様々な学校の取り組みを拝見していると、正しくサイクルを回せているケースばかりとは限らないようです。模試の成績や授業評価アンケートの集計結果など、改善課題を発見するのに十分なデータが揃っていても、合理的な手順に…

アンケートの質問設計の見直しと改善

学校では、様々な場面でアンケート調査が行われています。収集・蓄積されたデータは分析を経て、これまでの指導の成果の検証や次年度以降に向けた改善計画作りに役立てられていることと思います。調査で得られたデータと解析の結果を、具体的な行動と結びついた改善計画にまとめるのと並行して、忘れずに取り組みたいのは、次年度に向けたアンケートの質問設計そのものの見直しと改善です。当然ながら、新年度の教育活動のスタート…

志望理由を言葉にしてみる~ゼロ学期の始まりに

ゼロ学期を目前に、いよいよ最上級生となる高2生は、先輩たちの受験生としての日々を間近に見ながら、自らの進路希望の実現という大きな挑戦を強く意識し始めているかと思います。ゴールまでの最長14か月に亘る長期戦のスタートをどう切るかは、結果とともにその過程での成長の度合いも大きく変えるのではないでしょうか。 2016/03/25 公開の記事を再アップデートしました。 旧タイトル: 志望理由を書いて選択に…

新年度に向けて、最終結果と照らした指導の成果検証

早いもので今年も師走を迎えました。3月まで本年度の指導が続きますが、ゼロ学期からは次年度に向けた計画作りも本格化します。年明け早々には、大学入学共通テストの結果も出ますし、最終的な出願校も決まっていきます。3ヵ年/6ヵ年に亘って行ってきた学習指導と進路指導の成果を測るのに必要な指標がすべて揃うことになります。一般選抜の合否結果はまだ先ですが、それを待っていては来年度の指導計画にこれまでの指導を振り…

年末に行わせる「4月からの学びの振り返り」

期末試験の時期を迎えました。答案返却日には、生徒はここまでの期間に重ねてきた学びの成果を、点数というひとつの指標に照らして確認することになります。考査が終わった解放感もあるでしょうが、ここできちんと振り返りをさせることが先の歩みを大きくさせます。思ったほど成績が振るわなかった生徒もいるでしょう。「まあ、仕方ないよね」と開き直られても一歩も前に進みませんし、悪い点数を前に落ち込んでいるだけでも同じで…

最終局面での進路指導~出願校選定から卒業まで

いよいよ受験期本番が間近に迫りました。ここから先、生徒一人ひとりの状況を把握しつつ、その頑張りを支えるため、指導にはきめ細かな配慮が必要になりますし、出願をはじめとする重大な選択も続きます。この最終局面での指導に明確な見通しと戦略をもち、しっかり準備して臨めるかどうかは、生徒の未来に小さからぬ影響を及ぼすはずです。冬休みに入れば、先生方の間での情報交換や目線合わせの機会は持てなくなります。年末の忙…

浪人して捲土重来を期すなら

受験本番が近づく中、十分な勝算のもとで第一志望に挑める受験生もいれば、多少のビハインドを抱えながら逆転をかけて勝負を選ぶ受験生もいると思います。この時期の過ごし方は、受験生/学習者としての成長も大きく左右しますので、日々を大切にしてほしいと思います。中には浪人の可能性も思い浮かべながらの終盤戦という生徒もいるかもしれませんが、浪人して捲土重来を期すなら猶のこと、この受験期の過ごし方が大切です。勝負…

大学に進んでから燃え尽きさせないために

進路希望の実現に向けて頑張ってきた生徒には、進学先でも新たな夢の実現に充実した日々を過ごしてほしいところですが、様々な統計を見ると、学業不振や学校生活への適応で苦しんでいる学生も少なくないようです。こうした問題に対して、大学に送り出すまでに高校の中で打っておくべき対策もあるように感じます。 2017/03/30 公開の記事を再アップデートしました。 ❏ 学業不振や学業への無関心が中途退学の主因 古…

卒業を前に改めて考える、大学に進んで学ぶ理由

年末を迎え、総合型選抜で受験した生徒の合格の知らせが既に届き始めていることかと思います。学校推薦型選抜の結果もいよいよです。生徒が進路希望を叶えて進路を決めたのは喜ばしいことですが、生徒一人ひとりが「なぜ大学に進んで学ぶのか」という問いに自分の答えを持っているか、この局面でこそ確かめてみるべきではないかと思います。大学・学部を選ぶときは「大学で何を学ぶか」が焦点ですが、進学先が決まった生徒には「何…

進学先の確保と進路希望実現のはざま

進路希望の実現に向かう最終フェイズで、生徒一人ひとりが最後まで第一志望を貫徹できれば何よりですが、大学入学共通テストの結果などでセカンド・ベストへの切り替えを検討しなければならないケースもあります。出願指導では「進学先を確保してあげたい」と「初志を貫徹させたい」の狭間で先生方も判断に迷うことが多いのではないでしょうか。いざ最終選択という場面を迎えて、判断を誤らない(=後悔しない選択ができる)ように…

出願指導に向けて~事前研修とデータの確認

師走が慌ただしく過ぎると、あっという間に大学入学共通テストです。その後には自己採点結果を踏まえた出願指導が待っていますが、それに向けた準備(指導の計画)は万全でしょうか。どれほど綿密に練った計画も、実施に移すと意図通りに進まないこともあります。その主な原因は、実際に指導に当たる先生方のスキルや知識が追い付かなかったり、個々の生徒の置かれた状況が事前の想定と異なったりすることです。受験本番を控えた待…

現2年、現1年に対する、進級を見据えたゼロ学期指導

別稿「ゼロ学期を迎えるに当たり~指導計画作りへの下準備」では、新年度を迎えるために行う教員組織内の業務に焦点を当てましたが、もう一つ忘れてはいけないのは、進級を控える生徒(現2年、現1年)に対する「新年度に向けた準備を整えさせる指導」です。春を迎えて最上級生となる現2年生は、来年度の履修科目選択の希望を提出したことで「受験生」になる第一歩を踏み出したことになります。ここで歩を止めさせず、二歩め、三…

進路を選択する中での「自分を知る」をどう考えるか

進路指導計画は大きく分けて進路意識を形成する過程と進路希望を具体化し実現する過程とがありますが、前者の中に配置されているのが「自分を知る」ことをテーマにしたセクションです。呼び方は学校によって様々ですが、職業や社会を知ること、大学(学部・学科)や学問を知ることとともに3ヵ年/6ヵ年の計画に何らかの形で配列されています。 2019/11/18 公開の記事をアップデートしました。 ❏ 知るべき「自分」…

進路希望を作るまでの活動を確かめる#INDEX

生徒一人ひとりの進路希望を把握することは大切ですが、それ以上に着目すべきは、進路意識を形成し、進路希望を具体化するまでに生徒一人ひとりが踏むべきプロセスをきちんと踏んでいるかどうかを確かめることではないでしょうか。「自らの選択の結果に向き合える状態」に生徒を導くことは大切であり、そのためにも如上の確認は欠かせません。進路希望調査を行うときの注意、大学選びの前に行う学部・学科研究の新しいアプローチ、…

進路意識形成について意識を質し、内省を促す

前回、前々回と、進路希望調査を行うときに注意したいことや、学問の細分化と学際の拡大とで進路希望を作るのに文理選択から学部・学科を絞っていくというこれまでの手法に限界があることについて考えるところをまとめてみました。改めて考える機会を持ってみて、進路希望を作ること自体が、以前に比べてとても難しくなっているのだと強く感じています。 2017/04/12 公開の記事をアップデートしました。 進路希望を作…