建学の精神や教育目標をきちんと伝える(前編)

学校には、建学の精神や教育目標といったものが必ずあります。これを生徒にきちんと理解させるのは容易ではありませんが、しっかり理解させることができれば、学校の教育活動への理解や共感が高まるとともに生徒の成長を大きく促すことを示唆するデータがあります。建学の精神や教育目的といったものは、普段、あまり顧みられなかったり、お題目を繰り返すだけのような扱いになったりしていることも珍しくないようです。如上のデー…

生徒が作る、受験生向けの学校広報誌

以前お訪ねした学校で廊下を歩いていると、生徒会が作成した「学校新聞」の受験生向けの「号外」が掲示されているのが目に止まりました。日々の学校生活を生徒の目線で切り取った記事は、校内のリアルな姿を描きだしており、どれも興味深く読めるものばかりでした。お話を伺ってみると、学校説明会での来訪者にも配布しているそうですが、たいへんな好評を博しているとのこと。校外の方々の目にもふれることで、新聞づくりに一層の…

学校広報の充実に"校内記者"

学校広報の充実を図るには、校内各所から情報を集め、届ける先ごとのニーズと関心に沿った編集ができる「校内記者」の存在がカギになるのではないかと考えています。分掌、学年、教科といった先生方の組織に加えて、部活動や委員会など生徒の「組織」もそれぞれ活動していますが、その情報がきちんと共有され、戦略的に発信されている学校は多くなさそうです。情報を掘り起こし校内外のステークホルダーに届けることをミッションと…

学校ホームページでの情報発信#INDEX

学校ホームページは校外に向けた情報発信に欠かせないもの。どんなに優れた教育実践も、それを知ってもらいたい相手にきちんと伝えてこそ理解と共感が得られます。学校広報が目的とするところは、学校が実現しようとしている教育や力を入れている取り組みを十分に理解し共感してくれる方々(生徒、教職員、保護者、地域等)が参画する学びのコミュニティを形成し、維持することだと思います。 2016/04/04 公開の記事を…

学校ホームページでの情報発信(その3)

#03 伝えたいことにフォーカスする重みづけと導線作り 学校ホームページを通じて何をどう伝えるかを考えるとき、常に意識すべきは「この情報は誰に伝えたいのか」です。校内外の様々なステークホルダーを思い浮かべ、それぞれのニーズに応えていきましょう。広報活動が目指すのは、学校の教育活動への認知・理解・共感を高め、肯定的な認識を得ること。最終的にはそれが協働、あるいは選択という相手側の行動に結びつくことで…

学校ホームページでの情報発信(その2)

#02 年間行事予定をベースに学校HPの更新計画 校内外に理解者と協力者を増やし、目指す教育を実現するための土台を作る活動が学校広報であり、学校ホームページはその柱となるもののひとつであることは改めて申し上げるまでもありません。伝えるべきことを伝えたい相手にきちんと伝えるには、情報の収集、編集、発信の各フェイズが正常に機能する必要があります。計画的に物事を進めることが大切なのは、学校広報もほかの活…

学校ホームページでの情報発信(その1)

#01 情報発信のための体制作りと計画立案 新年度を迎えると、年間行事予定に沿って分掌や学年などの各組織がそれぞれの教育活動を開始します。計画を一つひとつ実行し、着実に成果を上げていく必要は言うまでもありませんが、もう一つ忘れてならないのが、その成果や活動の様子をどのように校内外に伝えていくかです。学校広報における最も重要な媒体は言うまでもなくホームページです。どんな情報をどのタイミングで掲載する…

授業改善を確実に進めるための年間実施計画作り

年度末が近づき、新年度の年間行事予定も固まりつつある時期ですが、より良い授業の実現に向けた取り組み/協働についても、スケジュールを考えてカレンダーに落とし込んでいく必要があろうかと存じます。生徒の指導が本分であり、それを中心に年間スケジュールを決めていくのは当然ですが、教育に向けられた期待が膨らみ、大きく変化していく中、指導法の研究と開発に十分なリソースを割り当てたいところです。多忙な毎日の中で、…

授業間の差が拡大したときこそ実践共有の好機

授業評価アンケートは先生方が個々に担当される授業について生徒の評価を得るものですが、結果を見るときには、教科(あるいは学年教科)としての集計値にも注目を向けましょう。別稿でも書いた通り、授業評価アンケートを行う目的のひとつは、校内/教科に存在している優れた実践(授業)の所在を探し出すことです。そこでの工夫や実践を先生方の間で共有していけば、「より良い授業」を「より多くの生徒」が受けることができるよ…

生徒を中心に授業を観る(その2)

本稿のタイトルは「生徒を中心に授業を観る」ですが、教室に足を運んで生徒が学ぶ姿を実際に観る前に、考査や模試などの成績とその推移、行動評価の記録、ポートフォリオなどに残された各種ログ、授業評価の集計結果などの様々なデータを通して、そこまでの指導/学びが生徒にもたらした成果を観ておくことも大切です。これまでの成績推移や学習行動/学びに対する生徒の認識の変化などを把握しておけば、指導の在り方とその成果を…

生徒を中心に授業を観る(その1)

様々なデータで所在を明らかにした「優れた実践」を共有するための相互参観、あるいは管理職による授業観察などの「他の先生の授業を観る場面」では、説明の内容や組み立て、板書の技法やプレゼンテーションの構成、確認の取り方、学習活動の配列といった、授業者の行動に着目していることが多いように思います。やり方を学ぶにも、授業を評価するにも、指導者の行動にダイレクトな関心が向くのは当然でしょうが、学びの主体はあく…

教材としての大学入学共通テスト問題

週末に行われた大学入学共通テスト。様々な学びの場を想定した出題など、工夫の数々が見て取れます。新しい学力観の下での「学ばせ方」を改めて考える材料として、しっかり目を通したいと思います。出題研究は「教科書で何をどう学ばせるか」を捉え直す機会。指導観/授業観のアップデートに欠かせません。各単元の内容を学ばせる過程にどんな学習活動を配列することで、どんな能力・資質を養っていくかをしっかりイメージしないと…

進級を前に「学びへの自己効力感」を点検

進級後の学びを視野に、学びへの自己効力感を生徒がどのくらい持っているか、この時期に確認をしておく必要があろうかと思います。どのフェイズでも、「学び」はそれまでに身につけてきたものを土台に積み重ねるもの。既習内容の理解と定着が不可欠なのは言うまでもありませんが、それと同等以上に重要なのが「学びへの自己効力感」です。 ❏ 学力向上感などを尋ねるアンケートの結果を参考に 年末(11月~12月)に、生徒に…

新課程の下での指導を振り返る(ゼロ学期のスタート)

さて、高校で新課程の下での学習指導が始まり9カ月が経過しました。獲得を目指すべき学力像が新しくなった中、現場で頑張る先生方は様々な工夫を重ねて来られたことと拝察いたします。この間に得られた成果と課題が、4月に始まる新しい年度の指導に活かされてこそ、学校全体での教育活動はより良いものに進化する(=より多くの生徒がより良い指導の恩恵に預かる)ことができます。 ❏ 先ずは、ここまでの指導の効果をきちんと…

授業改善行動の実効性を高めるために#INDEX

授業評価アンケートの集計結果や模試などの成績データなどから、授業改善の課題がどこにあるかを特定できたとしても、それだけで「改善に向けた具体的な行動」を描き出し、着実に実行できるとは限りません。改善課題の解決に必要な知見を集めるにも相応の工程が必要ですし、授業の進め方や指導計画の中に落とし込むには従来の発想を離れた工夫も必要になります。また、当然ながら、「プランの立てっぱなし(計画倒れ)/やりっぱな…

授業改善を進める準備が整っているか

本シリーズでは、「授業改善行動の実効性を高めるために」と題して、改善課題の特定から、改善に向けたプランの作成、その実行と改善行動の効果測定までの流れについて、考えるところをまとめてみました。授業改善を継続的、効果的に進めるには、如上のPDCAサイクルを適切に回せるだけの環境や準備が整っていることが前提要件。本稿では、シリーズの追記として、この辺りを考えてみたいと思います。もし、現状を鑑みて不十分と…

授業改善行動の実効性を高めるために(その3)

改善行動の効果測定とその後のアクション 授業改善に向けたプランを実行していく中で、所期の目標の達成を引き寄せるべく「中間検証」で小さなPDCAを回しながら、次の授業評価や模試などを機に「改善行動の効果測定」を行います。成果を挙げた取り組みはきちんと共有・継承することで、次の年度でほかの先生方が同じ試行錯誤を繰り返さないで済むようにしたいところ。巨人の肩の上に立つという言葉がありますが、先人が築いた…

授業改善行動の実効性を高めるために(その2)

改善プランの具体化、中間検証 授業改善を確実、且つ継続的に進めるためのPDCAサイクルの前半である「改善プランを立てて、実行する」フェイズでは、データに基づき現況を正しく理解しておくことに加えて、改善策を考える段階で、 という2点を確かめて進めないと、その先での行き詰りが懸念されるのは前稿でお伝えした通りです。これまでの発想の中に立ち止まったままで、あれこれと策を講じても、ブレイクスルーは期待でき…

授業改善行動の実効性を高めるために(その1)

課題形成から改善プラン作りの準備 授業改善を継続的かつ確実に進めていくには、現況把握に基づく課題形成、改善プランの策定、改善行動の効果検証からなるPDCAサイクルを着実に回す必要がありますが、様々な学校の取り組みを拝見していると、正しくサイクルを回せているケースばかりとは限らないようです。模試の成績や授業評価アンケートの集計結果など、改善課題を発見するのに十分なデータが揃っていても、合理的な手順に…

アンケートの質問設計の見直しと改善

学校では、様々な場面でアンケート調査が行われています。収集・蓄積されたデータは分析を経て、これまでの指導の成果の検証や次年度以降に向けた改善計画作りに役立てられていることと思います。調査で得られたデータと解析の結果を、具体的な行動と結びついた改善計画にまとめるのと並行して、忘れずに取り組みたいのは、次年度に向けたアンケートの質問設計そのものの見直しと改善です。当然ながら、新年度の教育活動のスタート…