理解確認/学びの振り返り

散布図中の位置で探る改善課題[活用機会×学習効果]

昨日の記事でお伝えした通り、「授業を受けて獲得した知識や理解を用いて、問いに解を導いたり様々な課題に解決方法を考えたりする機会」をどれだけ整えたかは、生徒の認識にある「授業を受けての学力向上/自分の進歩の実感」を大きく左右します。下図は、横軸に【活用機会】の得点を、縦軸に【学習効果】の得点を配して作成した散布図です。各得点は、下表の方式で5択(とてもそう思う~そう思わない)の回答選択率に基づいて算…

習ったことを使ってみる機会

授業評価アンケートの標準的な質問設計の中に「宿題や課題など、習ったことを使ってみる機会が整えられている」かどうかを尋ねる項目【活用機会】を設けてあります。この質問で尋ねていることのメインは、言うまでもなく文の後半です。文頭に付いた「宿題や課題」は、後半部分を実現するための手段例であり、「など」が含意する通り、ほかにも実現の手段はあり得ます。要は「習ったことを使う機会」が整えられていれば良いのですが…

5分間アウトプットの費用対効果

学力の向上や自分の成長や進歩を実感するには、 という2つの要素に加えて、 が欠かせません。学習目標の把握には「解くべき課題」が必要であり、活動を自己目的化しないためには「目標の認識」が不可欠という因果関係から、これら3項目は互いに強固な相関で結ばれています。 表の画像をクリックすると元の記事を参照いただけます。 振り返りのためのアウトプットで申し上げた通り、インプットに不備や不足があっても、理解し…

リフレクションシートの記載を参考に観察精度を高める

生徒一人ひとりにその日の授業を振り返らせるのは、できるようになったことを「たな卸し」して学びに対する自己効力感を高めると同時に、次に向けた自分の目標を設定させるためですが、そこに書き出されたことをしっかり読めば、生徒一人ひとりが抱えている課題や達成感を覚えた箇所などを知る手掛かりになります。先日の「今日の授業でどんな気づきがあったか」で書いた、リフレクションシートを熟読して授業者が意図したことがど…

勉強を好きにさせる学ばせ方

先週半ば、東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所との共同研究(親子パネル調査)の結果速報がプレスリリースされました。方々で取り上げられましたので、ご覧になった方も多いと思います。 「子どもの生活と学びに関する親子調査2016」 ❏ 勉強が嫌いでも好きに転じる可能性がある 勉強嫌いが小6から中2にかけて増えていく一方、嫌いから好きに変わった生徒も一定割合で存在することに、明るいものを感じまし…

部分理解と全体把握

目の前で行われている説明の一つひとつは理解できても、何をやろうとしているのか生徒が全体像の中でとらえきれていないことがあります。言い方を変えれば、部分理解が全体把握に繋がっていないということであり、初めて学ぶ事柄では決して珍しいことではありません。 ❏ 教える側と学ぶ側の間に横たわるギャップ 教える側は、科目・教科の全体像を捉えた上で部分を教えているのに、学ぶ側は部分を積み上げながら全体を把握して…

書くことと振り返りが学力を伸ばす

――親の学歴や年収が同じくらいの子どもが通う学校の中で、全国学力調査の成績が良かった学校は、自分で調べたことを文章にさせる指導や授業の最後に学習を振り返る活動などを取り入れていた。――ご覧になられた方も多いかと存じますが、7月8日の朝日新聞朝刊に掲載されていた記事です。 記事のもとになった平成25年度全国学力・学習状況調査(きめ細かい調査)の結果を活用した学力に影響を与える要因分析に関する調査研究…