授業改善での協働のあり方
出題内容から窺う、大学の教育姿勢
先日、拙稿「出題研究を通して”問い方”を学ぶ」を更新し、新しい学力観に沿った問い方を学ぶのに好適な教材を高大接続改革以降の大学入試問題から探しましょうとのご提案をいたしましたが、出題研究を通して各大学の教育姿勢を窺い知ることも同時にできるはずです。自教科の出題だけを見ても、大学全体での出題姿勢(アドミッション・ポリシー)やその背後にある教育観、教育姿勢までは掴み切れません。…
新しい生活様式のもとでの学習指導(まとめページ)
1 授業再開にむけて整えておきたい準備 1.1 授業再開にむけて整えておきたい準備(記事まとめ) 1.2 休校明けの授業を円滑に再始動する ・まずは、家庭学習の成果をしっかり確認 ・確認テストを行うか、単元課題で評価するか ・教室で学ばせることを絞り込んで授業を再計画 ・遠隔指導やICT活用のノウハウを継続開発 1.3 改めて迎える「新年度」の始動に当たって押さえたいこと ・教員間の「目線合わせ」…
臨時休校のリモート指導がきっかけで授業改善が加速?
今年は年度当初から、臨時休校中のリモート学習、学校再開後の分散登校と様々な障害がある中での教育活動が余儀なくされましたが、1学期の授業評価アンケートの結果を見ると、評価が下がるどころか、大きく授業改善が進んだことを窺わせるデータも散見されます。 学習効果をダイレクトに尋ねる「授業を通しての学力の向上や自分の進歩を実感できるか」という問いにも、肯定的な回答が昨年度以上に増えているケースも少なくありま…
知見の共有と実践の浸透をスムーズに
休校が続いたり再開しても分散登校が余儀なくされたりする中、制限の多い教育環境でも生徒の学びを止めないようにと各地の先生方が様々な工夫をなさっています。普段と同じスタイルで授業ができず、止むを得ず代替で投入した方法が期待以上にうまく機能し、「日常が戻った後も応用していきたい」と手応えを得たケースも少なくないようです。 ピンチを迎えて知恵を絞ることで、知の地平は大きく広がるようです。ここで生まれた知見…
課題(教材)のシェアから始める組織的授業改善
より良い授業の実現を図るには、習ったことを使ってみる機会(=授業を通じて獲得した知識や理解を用いて答えを導くべき問い)をしっかり用意する必要があり、それらが学習目標の理解や学びの仕上げに正しく利用できているか、生徒の学力向上感との間で散布図を描いてチェックしてみるべき、というのが一昨日と昨日の記事の趣旨です。 ❏ 紙の上に固定できることは議論の進めやすさ どのように授業を進めていくかは、教科の中で…
校種間連携で図る、授業改善と指導の最適設計
高大接続改革について耳目にする機会は多いですが、小中高の教育活動の異校種間接続についてはそれほどでもないように思います。生徒が小中高で学ぶ12年間にわたり、指導目標や学ばせ方などが連続性を以て段階的にきちんと配列されていることは、その間の教育活動の無駄や矛盾を取り除き、成果を最大化するための絶対要件です。学習指導要領の上で整合性のある学びが設計されていても、それぞれの校種の先生が現場での経験に照ら…
教科学習指導以外でも実現したい校種間連携
授業公開を機に行う小中校教員の意見交換、出前授業、考査問題やレポートの閲覧など、異校種間の連携を通じて授業の改善や指導計画の最適化を図る方法をご紹介してきましたが、もう一歩踏み込めるようなら検討してみたいのが、「考査問題の作成(=到達目標の設定)における協働」と「数年後の状態と照らした分析(コホート研究)」「総合的な学習/探究やキャリア教育の接続」です。いずれも、現場の先生の負荷が小さくありません…
下級学校の取り組みと成果を知る、参観以外の方法
校種間の学びを正しく接続するうえでの問題の一つは、下級学校が取り組んだ教育の成果を上級学校が正しく踏まえきれていないことにあるのではないかと思います。生徒が小中学校で体験してきた/達成してきたことを高校の先生方がこれまで以上に知る機会が必要と考えます。小中学校を訪ねて成果発表会や作品展示を見るたびに「こんなことまで出来るのか」と感心させられます。相互参観や研究協議、出前授業などを通して上級学校での…
異校種の生徒に教えてみることのメリット(出前授業)
授業改善を目的として小中高の校種間連携で行う取り組みには、授業公開+研究協議という形以外にも、別校種に出向いての「出前授業」というのもあります。小学生や中学生に現在の勉強の先にあるものを体験させ、学びへの意欲を高めるというのが本来の目的ですが、普段と違う校種の生徒に教える苦労の中に多くの気づきがあるものです。 2014/05/16 公開の記事をアップデートしました。 ❏ 出前授業を請け負うことでの…
授業公開と研究協議~指導に込めた意図の共有
校種間での学びの接続に大きな効果が期待できる「異校種間の先生が協働で行う授業研究」ですが、高校にとっては自校の教育活動への理解者と共感者を地域に増やす絶好の機会にもなり得ます。生徒募集の改善のみにならず、目指す教育を実現する土台作りにも繋がる活動ですので、場の創出・提供には積極的に取り組みたいものです。新たに開催を企画するとなると準備段階での負荷も小さくありません。研究授業や教員による相互参観など…
隣の校種での授業を知るのは、学びの接続の大前提
異校種の授業を参観する機会はどのくらいあるでしょうか。育てている生徒が進学後にどんな学びに挑むのかを知ることや、迎え入れた生徒がどんな学びを経験してきたかを知ることは、どんな力を獲得させるべきか、何を前提に指導を設計すべきかの判断の際に欠かせないものです。学習指導要領がこれまでにない大きな変更を受けた以上、お隣の校種で何をしているかは、改めて確認しておく必要があろうかと思います。中高一貫校なら中学…
先端研究で得られた知見を活かして授業改善
先週、「授業に集中してる? 生徒の脳、活動量をセンサーで計測」という記事を朝日新聞で見つけました。東京大学と横須賀の三浦学苑高校が協働で行なっている実証実験です。脳の司令塔と言われる前頭前野の活動量を調べるセンサーを生徒のおでこに付けて、授業中に生徒の脳がどれだけ活発に働いているかをリアルタイムに把握するとのことです。 ❏ 脳の活動量がリアルタイムに測定できることの恩恵 先生の話を聞いているとき、…
授業評価アンケートの集計が終わったら
行動を起こしてこそ、見えてくる景色がある
新しい年を迎えると目標や抱負があれこれと浮かんできますが、考えているだけでは立ち止まっているのと一緒です。ひとつひとつを形にしようと行動してみてこそ、それまで見えなかった景色が目の前に広がり、そこに新しい目標/やるべきことも見えてくるように思います。 散歩していても場所を移すごとに新しい景色が目に飛び込んでくるのと似ています。立ち止まっていても曲がり角の先はわかりませんよね。 さて、前振りはこのく…
チームで取り組んでこその授業改善
より良い授業の実現は、先生方一人ひとりの仕事でもありますが、チームで取り組んでこそ、知見や発想の交換を通じて効率よく進めることができます。自分一人で頑張っていても、気づけないことや思いつかないことが多々あるはずです。先生方一人ひとりの試行錯誤と努力の中で作り上げてきた優れた実践を互いの良さとして学び合ってこそ、校是とすべき授業像の姿が見えてくるのではないでしょうか。個々の先生が自ら工夫を重ねること…
組織的授業改善の土台: データを使った効果測定
効果測定を重ねながら、優良実践の抽出と共有を継続的に行っていけばそれぞれの先生方が持っておられた強みの集合体として、共通項を一定以上に含む「本校の授業のありかた」の具体的な姿が徐々に表れてくるのではないでしょうか。授業改善に向けた協働の中で、先生方が互いの実践から学び、指導効果の高い指導手法を共有していけば、学ばせ方・教え方における担当者による差は自ずと縮小に向かうはずです。これまで取り組んでなお…
生徒にYESと答えてもらいたい質問
指導目標の達成により大きく近づいた指導(=付加価値の大きな指導)を特定して共有を進めることで、組織的な授業改善が進みます。先生方一人ひとりが、より良い指導を目指して試行錯誤を繰り返すことは大切ですが、その段階に止まっていては、限りある教育リソースを浪費するばかりではないでしょうか。 ❏ 結果学力を測るモノサシの精度を高める 結果学力については、昨日までの記事などにも書いた通り、テストの結果を用いて…
箱ひげ図をどう読むか、エクセルでの作り方
異校種連携で行う授業研究の必要性
異校種の授業を参観する機会はどのくらいあるでしょうか。中高一貫校なら中学と高校の先生が相互に授業を観るのに大した制約はないはずですが、頻繁に、あるいは定期的に参観しているというケースは多くないように感じます。ましてや、設置者が異なる学校の間では、そもそも観に行くチャンスも少ないのが実情でしょう。 ❏ 生徒が何を経験・学習してきたかを知らずには… 例えば小学校での授業を中学の先生が見れば、入学してく…