生徒による授業評価

作業や練習の目的の明示、到達目標の設定

作業や練習に取り組ませる際、その目的や目指すべき到達状態を明示して、生徒にしっかりと把握させておくことは、目的意識を十分に備えた主体的で積極的な授業参加を促すための大前提です。モチベーションの原資である「達成感」をより強固なものにするにも、パフォーマンスの向上を図るのに何をどうすべきかを考えさせる「振り返り」を的確に行わせるためにも、目標への認識は不可欠です。得意な生徒と苦手な生徒の間でパフォーマ…

生徒の状況を把握した上での授業進行

生徒一人ひとりが現在どのような状況にあるのかを把握することの必要性は言うまでもありません。教える側では十分に状況を把握して進めているつもりでも、生徒の認識は違っているかもしれません。学びの主役である生徒の認識を確かめるべく、定期的に「先生は、生徒の状況をよく把握しながら授業を進めているか」と尋ねてみましょう。生徒の状況を十分に把握できていない限り、的確な指導や助言もできません。次の段階に進める状態…

戸惑いを抑える、約束事と個々の指示

何らかの行動を指示したときに、生徒が戸惑い、期待通りの反応をとれないことがあります。原因は様々ですが、大別すると「何を求められているのか把握しかねている場合」と「指示に応える態勢が整っていない場合」の2通りでしょう。これらに加えて、取るべき行動はわかっており、態勢も整っているにもかかわらず、周囲の様子を窺ってしまい行動を起こして良いものか躊躇ってしまうという場合も少なくありません。 2015/05…

練習や作業のポイントを把握させる

練習や作業のポイントがしっかりわかっていれば、勘所を掴んだ効果的な取り組みが期待できますが、ポイントを捉えられないまま無為に時間を費やしては、当然ながら学びの成果は上がらず、次のステップに進むレディネスも調いません。いかに簡潔にポイントを捉えさせて、練習や作業に十分な時間を残すかが先生方の腕の見せどころです。言って見せて聞かせるだけがその方法ではありません。生徒が自分から気づき、それを言語化して意…

講義・座学系の授業評価項目

生徒による授業評価アンケートで得られるデータは、「より良い授業の実現」を目指す場面での「課題形成」と「改善行動の効果測定」の材料です。アンケートで焦点を当てるべきは、科目学習に対する自効力感ですが、それだけを尋ねても、ボトルネックの所在は探れません。良い授業とは何か、その構成要素は何かは、常に問い続けなければならないことですが、授業評価アンケートの評価項目/質問設計を考えるのは、その問いに答えを作…

科目を学ぶことへの目的意識/学ぶ理由

新しい学力観の下で実現を目指しているのは「主体的、対話的な深い学び」ですが、最初の要素である「主体的」であるためには、その科目を学ぶことへの「自分の理由」を持っていること前提の一つです。前稿で触れた「学習方策」が未獲得では学びは依存的なものにならざるを得ず、「学ぶ理由」がなければ受動的なものになってしまいます。振り返りを通じて見出した自分の課題(=次の機会での自分の目標)や解き明かしたい不明など(…

科目の学び方や取り組み方の獲得

主体的に学んでいると言えるには、生徒自身が「学ぶことへの自分の理由」を持っていることに加え、自ら学び進められるだけの学習方策を獲得している必要があります。誰かに教えてもらわなければ勉強が進められない状態はどこかで脱したいもの。自ら学び続けられる生徒を育てることは、数ある指導目標の中でも最も重要なものの一つです。■関連記事: 学習方策の獲得はどこまで進んでいるか【学習方策】 私は、この科目の学び方や…

科目への意識姿勢~得意と答える生徒を増やす

同じ教材で同じ指導をしていても、得意・苦手の分布はクラスによって異なります。学習履歴の中で積まれた成功体験や獲得している学習方策によって感じ取り方が違うためです。得意寄りに分布が偏るクラスでは、より高度な課題を与えて達成感をより強固なものにする一方、苦手意識が優位なクラスでは課題のスモールステップ化や集団知の活用で成功体験を積み上げさせていきましょう。学習指導を重ねるうちに、この質問で「得意」と答…

難易度の設定は負荷の感じ方を確かめながら

勉強に限らず、適正な負荷をかけることは能力や資質を伸ばす上で欠かせません。ある課題に対して正解を導けたとしても、楽々と達成した場合と、持てるものを総動員して達成した場合とでは、そこから得られる充足感も、その機会を通しての成長も大きく異なります。楽々とクリアできるようなハードルばかりでは、頑張りがいもありません。生徒が集中力を欠く原因にもなりそうです。負荷を適正な範囲(生徒が「やや難しい」と感じ、少…

対話と協働による気づきと学びの深まり

授業内における学習者の活動性を高く保つことによって、学力や技能の向上をより強く実感できたり、苦手意識の発生を抑制できたりといった効果があることは、既に様々なデータで確かめられています。 これをもう一歩進めて、「深い学び」に繋がっているかどうかを確かめようというのが、以下の質問文(授業評価項目)を導入した意図です。【対話協働】 話し合いなどの協働で、気づきや学びの深まりが得られる。 2019/04/…

理解したことをもとに課題の解を考える機会

読んだり聞いたりして理解したこと(獲得した知識)を用いて課題への解を考えるとともに、その結果を第三者の理解と共感が得られるように表現する力は、新しい学力観の下でますます重要性を増してきました。授業毎にきちんと「学び終えて解を導くべき課題」を用意することは、獲得した知識・技能に「生きて働く場」を与えることにほかならず、思考、判断、表現の力を鍛え、きちんと評価するためにも欠かせません。本時のターゲット…

達成すべき目標やポイントをはっきり示す

学習を通じて到達すべき状態を生徒に理解させておくことは、授業のわかりやすさを大きく高めます。目指していることに照らし、生徒が一つひとつの説明や指示の意味をより良く理解できるようになるからです。目標が明確になればその分だけ到達したときの「達成感(次の学びへのモチベーションの原資)」もより強いものになりますし、目標に照らした振り返りも的確に行えるようになり、学習改善も期待ができます。また、指導と評価の…

理解を確かめてから次のフェイズに進む

生徒の理解を確かめるのは、学びを先に進められる状態を確かなものにするためです。「その場で」と「言葉にさせて」の2つを鉄則に、対話で行う理解確認を徹底していきましょう。前段の理解に不足や欠落が見いだされた場合は、機を逸することなく、その解消を図る必要がありますが、教え直しで「絆創膏を貼る」ことよりも、教科書やノートの該当箇所を参照させたり、生徒同士の教え合いを促したりすることで、学び方を学ばせること…

よくわかる説明、戸惑わせない指示

説明や指示のわかりやすさを決める要素は、話し方や板書の巧拙だけではありません。今やろうとしていること(目的)が何かを前もって理解させておくことや、前段までの理解をしっかり確かめながら進めることも重要な役割を持ちます。わかりやすさは学習効果を決定的に左右する要素であり、わからないことにはできるようにはなりません。また、生徒を活動させようとしても、指示が分かりにくく、生徒が戸惑っているようでは困ります…

学びの土台を作る、整理された板書・プリント

生徒に問い掛け、気づかせたことを全員に見えるところに書き出して、前段の理解を教室で共有していくのが「板書の基本的な役割」です。整理された結果を提示するだけならプリントやスライドで十分ですが、授業の展開は「対話的な学び」が根付くほど動的になるもの。臨機応変に展開/構成できる板書の強みを十分に活かしていく必要があります。電子黒板などのICTやデジタル教材の利用はますます増えていくでしょうが、「学びに対…

いつもはっきりと教室の隅々まで届く声

伝達技術の基本は「話し手の声がいつでもはっきりと聞き取れること」です。知識・理解を与えるにも、問い掛けて生徒に考えさせるにしても──視覚による補助が効果的であり且つ必要であることは言うまでもありませんが──、まずは先生が発した声による情報を、生徒が集中してしっかりと受け止め続けられることが大前提です。先生の話が聞きとれないのではどこかで授業内容がわからなくなるのも当然。「いつもはっきり聞き取れる」…

アンケートで探る“学ぶ側の認識” #INDEX

学習評価は、個々の生徒の現状を正しく捉えてゴールに導くまでの工程を探るためにも、先生方のこれまでの指導の成果を検証して更なる改善に向けた課題を形成するためにも欠かせないものです。獲得させた知識や技能がどこまで生きて働いているかを確かめるには、妥当性を十分に備えた「テスト」が不可欠、活動評価にはルーブリックなどのツールを用いますが、これらに加えて、「学習の主体」たる生徒や学生の認識を質す「アンケート…

年度の後半で授業評価が下がる?

1学期の授業評価アンケートで見出された改善課題を着実にクリアし、数ヶ月後に実施した2学期のアンケートでは大きく評価を改善しているケースが少なくありませんが、これとは逆に1学期の高い評価を2学期に維持できていないこともあります。経年データを見ると、年度が替わるごとに評価を上げて、夏を過ぎるとまた下がるという繰り返しが観察されるケースも少なくありません。集計結果を折れ線グラフにしてみると、あたかもノコ…

授業評価の結果に基づく「改善行動の効果検証」

年末を迎え、今年も授業評価アンケートの集計結果をお届けする時期になりました。1学期に続いて本年度2回目という学校もあれば、昨年の実施から1年ぶりとのケースもありますが、集計結果がお手元に届いたら、まず「授業改善に向けた取り組みの効果検証」をお願いします。前回の結果を踏まえ、先生方はそれぞれに「より良い授業の実現」を目指して様々な工夫を重ねて来られたはず。それが「生徒が備える学習者特性にマッチしてい…

実践共有は、学習効果への寄与が大きい項目に焦点化して

授業改善(より良い授業の実現に向けた思考と行動)は、先生方一人ひとりがプロフェッショナルとして取り組む仕事ですが、一人で頑張っているだけでは、発想も手札も膨らまず、なかなか加速がつきません。教科内、あるいは少し狭め、同じ科目を担当している学年教科の先生方の間で、手応えのあった手法を公開し合うことが重要です。改善が遅れているケースがあったとしても、高い評価を得た(=自校の生徒の学習者特性にマッチした…