模擬試験には、当然ながら合否判定の結果をみて志望校/出願校を選ぶという使い方もありますが、学習機会としても積極的・戦略的に利用したいものです。少なくとも半日、ときに丸一日という多大な時間を模試に費やした挙句、合否判定の結果で進路の可能性を狭めていくだけならば、授業を進めた方がましかもしれません。
2014年11月に起こしたシリーズを再アップデートしました。
模擬試験を受けさせる前の指導、成績が戻ってからの指導の2つの局面で、それぞれ考えておきたいことをまとめてみました。
模試に向けて、これまで勉強してきたことの学び直しをしたり、やりかけのままだった教材を仕上げたりする場面を作ることは、計画的な学習への姿勢と方策を身につけさせるチャンスです。
模試を受けた後、進路希望の実現に向けて足りないものは何か、それをどうやって埋めていくかを具体的に考えさせましょう。補習と講習で導いてあげられるのは、卒業させるまでです。その先を自力で歩いて行けるようにすることにこそ、重きを置くべきだと思います。
自分の課題を特定させ、持ち時間の中に配列させる
やりきらずに放置していたことの仕上げを優先
学び直しに好適な材料(例)
他にも“ベタ”ながら効果的な方法がたくさん
安易に新しいものに手を出させない
手放す時期を見込んで徐々に進める「守破離」
やることを見つけさせる「生徒自身による振り返り」
計画を立てたら、全体量を「週数」で分割
計画は1週間単位、最初は「成果量」より「投資量」で
好適時期に集中して行うべき指導
大きな選択に臨むときが最適タイミング
環境や課題が変化するのに備える「助走」としても
どのタイミングで準備学習の計画作りに着手させるか
短い期間から始めて徐々に長期的な計画に
やりたいことに挑み続けられるように
C判定までの点差が埋められるかどうか
問題検知センサーと記憶を手繰り寄せる方策
一度手をつけた教材はきっちり仕上げ切らせる
合否は総合点で争うもの~広い視野で戦略立案
プラスαの詰め方を誤らせないために
志望の切り下げで、学びの目的を見失わせない
可能性を小さく見積もらせない/見積もらない
成績推移だけでは伸びしろの見立てはつかない
正解できなかった理由とその解消を図る様子を観察する
生徒の思考を覗き込むための「適切な問い」
模擬試験のやり直しを通じた振り返りと課題形成
伸びた生徒と伸びなかった生徒の行動特性にも照らして
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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一