月: 2022年7月

生徒が学んできたこと、経験してきた学び方の確認を

どの教科の学習指導でも同じですが、本時の学びに繋がるところ[既習内容]を、目の前にいる生徒がどこまで/どのように学んできたか正しく把握した上でなければ、効果的な学びの場は作り出せないはずです。知っているだろうと先生方が思い込み、「既習」と想定していたことを生徒が学んでいなかったとしたら通じる話も通じませんし、既に学んで知っていることを「初出」と取り違えていても無駄が生じます。既視感の中で退屈を覚え…

フォーメーションは、意図的に且つ頻繁に更新

ペアワークやグループワークに取り組ませるとき、フォーメーションはどのくらいの頻度で、またどんな意図で変更しているでしょうか。生徒の組み合わせが固定してしまうことの悪影響は小さくありません。仲の悪さで活動が阻害されるのも困りますが、仲の良い生徒とばかり組んでいても、「なあなあ」になってしまうかも…。多様な人々とコミュニティを形成し、そこで課題の解決に協働で取り組むときに必要になることを身につけるのが…

授業評価アンケートの結果の見方、活かし方 #INDEX

より良い授業の実現を目指して、改善課題の形成と改善行動の効果測定を行ったり、校内に存在する優れた実践を共有・継承すべくその所在を特定したりするのに欠かせないデータのひとつが、生徒による授業評価アンケートの集計結果です。質問項目に組み込まれている「授業を受けて学力の向上や自分の進歩を実感できるか」という質問に肯定的に答える生徒がどれだけ存在するか/増加したかを観察すれば、授業改善の進み具合が推定でき…

規律ある生活、集団生活のマナー

規律ある生活を送り、集団生活のマナーを守れる生徒を育てるには、先生方からの「生徒に期待する行動」の絶え間ない発信が欠かせないものの一つですが、それだけでは所期の成果は得にくいようです。併行して、「生徒自身が授業規律を考える機会」を設けて自律性を高めたり、「高校生としてのタスク管理やスケジューリングのスキル」を獲得させるための指導を計画的に行うことなども必要となります。目指すところは、互恵意識で結ぶ…

将来を見据えた行動選択

先に控える選択の場や待ち受けるハードルを見据えて、今やっておくべきことは何かを正しく判断し、具体的な行動に起こせることは、かけがえのない時間を有意義に過ごすのに欠かせないものです。生徒には、生活・学習・進路の各領域での様々な体験と学びを重ねながら、「望ましい行動を選び出して実行する姿勢とその方法」を身につけてもらいたいもの。獲得がどこまで進んだか、先生方の目での行動観察とアンケート結果を併用し、し…

異なる意見に耳を傾ける姿勢

立場や考えの異なる意見にも耳を傾けることは、独善や拘りから離れて正しい判断を広い視野で行えるようになることを意味します。共生社会で生きていく中、協働で課題の解決に取り組むときや賛否の分かれるイシューを論じる時、あるいは自ら取るべき行動の選択を迫られたときなど、こうした資質と姿勢が求められる場面は少なくありません。 2015/06/16 公開の記事を再アップデートしました。 生徒意識アンケート⑧ 異…

困ったことや悩みを信頼して相談できる相手

困ったことや悩みを抱えたときに、信用して相談できる相手がいれば、問題が深刻化したり、手に負えなくなったりする前に、どうにかできる可能性が高まります。いじめや人間関係のトラブルなどを抱えたときは言うまでもなく、進路や学習のことで判断に迷ったときにも、信頼に足る相手に助言や支援を求められるかどうかは重要ですし、別稿で書いた通り、周囲から受けた様々な刺激を消化して頑張りの原資にするにも、適切な相手との相…

生徒が互いに刺激し合い、共に成長するクラス

相互啓発が働き、互恵意識で結ばれたクラスの中でこそ、生徒は様々な活動に生き生きと取り組むことができ、その中で主体性や多様性、協働性などを獲得していきます。別稿「教科学習指導の土台はホームルーム経営」でもお伝えした通り、生徒が互いに刺激し合い、共に成長するクラスを実現できるかどうかは授業の成否(学力向上など)にも大きな影響を与えます。   2015/06/12 公開の記事を再アップデートしました。 …

係や当番の活動で関係を築き社会性を育む

ホームルームは生徒にとって最も基本的なコミュニティ。その中で、自分がどんな役割を引き受け、どう貢献できるのかを考え、行動を起こしていくことは、社会性を身につける貴重なトレーニングの場です。その場面の一つが当番や係の仕事であり、その活性化は「生徒が互いに刺激し合い、ともに成長するクラス」を作るためにも欠かせません。当番や係りの仕事は、学校行事や生徒会活動とは違って「日常」の中にあるため、何かに挑戦し…

整理整頓、教室の環境整備

教室が整理整頓されているかどうかは各教科の学習にも大きく影響します。生徒の荷物が通路をふさいでいたら机間指導の邪魔になりますし、グループワークへの切り替えなどのフォーメーションの変更にもひと騒動。こんなところで貴重な授業時間を無駄にしたくないものです。掲示物にしても、余計なものが目に入っては、肝心な連絡やメッセージが埋もれて伝わらなくなってしまい、生徒が整える次の学びへの準備にも漏れが生じがちにな…

言い分に耳を傾け、公平に接する

前稿で取り上げた「期待する行動」との間で常に高い相関を示し、且つ学習者と指導者の関係をしっかり築く上での両輪をなすのが、この項目です。期待する行動を到達目標として生徒と予め共有しておくことで、一つひとつの指導の背後にある意図もより良く理解してもらえます。学校評価アンケートでも、教育目標や指導方針をちゃんと伝えることに注力しているクラスほど、「生徒指導などにおいて恣意的でない公平な指導がなされいてい…

生徒に期待する行動をはっきり示す

学年や学期が進むごとに、生活、学習、進路の各領域で生徒にどんな行動を期待しているのか明確に示すことは、段階的に目指すべき到達状態について生徒と認識を共有することを意味します。目標とするところが示されてこそ、その実現に向けた努力も促されますし、生徒は今の自分に足りていないことに気づき、自らの行動を改めて行けます。担任の先生が「期待する行動」をしっかり示せているクラスと、不十分なクラスとでは、個々の生…

連絡事項を漏れなく伝える

ホームルームを通じて学校からの連絡事項が余すところなく伝わっているのは当たり前と思われるかもしれませんが、生徒の認識をアンケートで質してみると、実際はそうとも言い切れないようです。肯定的な回答が全体の8割に達しているクラスは3分の2程度で、中には5割を切るようなクラスも散見されます。 2015/06/05 公開の記事を再アップデートしました。 生徒意識アンケート① HRを通じた連絡の徹底ホームルー…

実技・実習系の授業評価アンケート(質問項目)

体育、芸術、家庭などの実技実習系教科でも、講義座学系の教科と同様に学習を通じて自らの進歩や成長を実感できることは、学びを継続する意欲の原資です。各評価項目の質問文は、学習効果を実感できる授業が備える要件を記述したものですので、集計結果を使ってどこかにボトルネックが生じていないか常に点検しておきたいものです。 2015/05/25 公開のまとめページを再アップデートしました。 実技実習系で、学習効果…

自分の取り組みの成果を発表できる機会

生徒がそれぞれに取り組んできたこと(工夫と努力の成果)を発表する機会を、授業内外にしっかり整えることの効果は、発表という「目標」に向けて生徒の頑張りを引き出すことだけに止まりません。自分の取り組みの成果を存分に伝えられれば達成感を原資とする次へのモチベーションが得られますし、仮に多少の失敗を含んだときにも次のチャンスでの課題が形成できて、先の学びに向かう姿勢を作れます。周囲の頑張りを目の当たりにす…

授業を受けて実感できる自分の進歩

自己効力感を高めることができれば、そこに主体的な取り組みや積極的な姿勢が作り出されていきます。逆に下がってしまった状態では、できない自分に向き合うことへの抵抗から、対象に近づくことを避けようとする「負のモチベーション」 が発生してしまいます。生徒に答えてもらった「授業を受けて、知識や技能が身につき、自分の進歩を実感できるか」という質問に対する肯定的な回答が占める割合は次の学習に向けたモチベーション…

振り返りを通じた成果のたな卸しと次への目標設定

興味や意欲は、努力して達成した中に生まれるものですから、振り返りを通じて自分の進歩を確認する場を整えることが、積極的な学びの姿勢を作ります。また、できたこととできていないことの切り分けがはっきりしないことには、次に何をするべきかを特定することもできません。振り返りとその支援のための助言が大切であるのは、このためです。下表の通り、振り返りの成否は学習効果(授業を受けての技能の向上や自分の進歩の実感)…

作業や練習の目的の明示、到達目標の設定

ひとつひとつの作業や練習に取り組ませる際、その目的や目指すべき到達状態を明示し、しっかりと把握させておくことは、目的意識を持った主体的で積極的な授業参加を促すための大前提です。モチベーションの原資である「達成感」をより強固なものにするにも、パフォーマンスの向上を図るのに何をどうすべきかを考えさせる「振り返り」を的確に行わせるためにも欠かせません。得意な生徒と苦手な生徒の間でパフォーマンス差が大きく…

生徒の状況を把握した上での授業進行

生徒一人ひとりが現在どのような状況にあるのかを把握することの必要性は言うまでもありません。教える側では十分に状況を把握して進めているつもりでも、学びの主役は生徒ですから、定期的に「先生は、生徒の状況をよく把握しながら授業を進めているか」という質問をぶつけてみて、生徒側での認識も確かめるようにしましょう。状況の把握が不十分であれば、次の段階に進める状態になっていない生徒を置いてきぼりにしてしまうリス…