インプットに不備や不足があっても、アウトプットの機会を持たなければそれに気づくことができません。しっかり教えて、きちんと覚えさせるというアプローチだけでは、振り返りの材料(=先生方にとっては評価の根拠)が得られず、学習/指導の改善が図れなくなります。
- 読んだり、聞いたり、話し合ったりして理解したことを言語化する
- それをもとに考え出した解に他者の理解と共感を得るべく表現する
といった体験/活動を通は、本当に理解できたかどうか、どこまで思考が深まったかを確かめるためばかりでなく、次の機会により良いパフォーマンスを得るのに、何が必要なのかを探るための起点となるもの。
アウトプットと振り返りで、自らの学習行動を客観的に捉えるメタ認知を養うことは、学びに向かう姿勢/学習行動を改善し、学習者としての自立を促しますし、勉強を好きにさせる学ばせ方にも通底します。
2015/08/28 公開の記事をアップデートしました。
アウトプットしてみることで、足りないものに気づけば、それを埋める必要を感じるもの。それが「学ぶことへの自分の理由」になります。
アウトプットを通して、学びの成果/自分の成長を実感できれば、達成感がモチベーションに転じ、学ぶ意欲の維持向上が期待できるだけでなく、別稿のデータが示しすように、新たな興味や関心も生まれます。
たとえ扱う内容が多いなどで授業時間が足りなくても、何とかやりくりしてアウトプットと振り返りの機会を確保したいもの。指導と評価の一体化を図るためにも、活動の配列と適切なアプトプットは不可欠です。
アウトプットは、学習活動のゴールにあるのではなく、次の学習へのスタートを整える行動です。確認した結果に基づいてきちんと学びを仕上げさせることが、学びを深く確かなものにするとお考え下さい。
理解しているかどうかは習ったときと違う形で確かめる
教室を離れる前に5分間のアウトプット
定期考査の問題も、記憶再現タイプに偏らないように
わかっていないことに気づくことが学びの始まり
上手くいかなかった時こそ、知恵を獲得するチャンス
失敗の後処理、未習熟の解消だけを目的にしない
作戦ミスと実行ミス2つの観点で再度の振り返り
正しく振り返りができるようにすることも重要な指導目標
リフレクションシートもただ使っているだけでは
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追記: 新課程への移行でより強く求められるようになった「指導と評価の一体化」を実現するためにも、生徒の学びの成果を確かめるアウトプット機会の整備(=課題解決や対話協働といった学習活動の適切な配列)は、最優先して取り組むべき課題です。
先生方が評価を行うにも、生徒が自らの学びを振り返るにも、何らかのタスク(課題解決/対話協働)に取り組ませないことには、観察の機会も持てません。
また、アウトプットを「目的」にしないことも大切です。目指すところは、アウトプットしたものを材料に、学びを振り返ることで、行動をより良いものに変容させていく(=生徒を成長させる)ことです。
教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一