工業化社会では、正しい手順を正確に身につけ迅速に再現できることが生産性を高めることに直結しました。個々の教科の内容を学ぶ過程で発揮した「与えられた情報を素早く理解し、記憶する力」は、それ自体が武器になり、実際、テストの点数で「覚える力」の高さを証明すれば、次のステージへのパスポートが手に入りました。
2016/10/12 公開の記事をアップデートしました。
❏ 各科目の学習目標達成を「手段」と捉える発想
社会の変化が加速し、新たな知見が生み出されるスピードも格段に上がれば、勉強してせっかく覚えた知識がごく短い期間で通用しなくなることも増えてくるでしょうが、学習内容を学ぶ中で生徒が身につけていく能力や資質、学び方・考え方などは場面を変えても役立ちます。
❏ それでも、知識を軽んじることはできない
もちろん、教室で学ぶ各教科の知識は、物事を考えるときの土台であるとともに、出会った情報を認識・解釈するための「認知の網」を編み上げるパーツとして欠かせないものです。
❏ 情報整理の方法など、知を扱う方法そのものを学ぶ
教科学習指導の場では、その教科の内容を伝えるだけではなく、(意識してか無意識のうちにかの違いはありますが)様々な知的活動を生徒の目の前で展開し、経験させています。
- 題意を図に描き起こす、数的に処理できる形に変換する
- 表組やフローチャートなどを用いて分類・整理する
- 段落記号や入れ子構造を用いて、項目間の関係性を捉える
- 軸(時間×項目など)を設けて現象を全体像の中に捉える
- KJ法、マインドマップなどのファシリテーショングラフィック
などは、日常的に板書の中でやって見せていることですよね。
❏ 探究の姿勢や汎用型スキルも
また、課題を解決するのに必要な情報や条件を抽出し、不足する情報が何かを特定し、補完・入手する方法を考えさせたり、ポイントとなる箇所を見つけて自ら問いを立てさせたりもしているはずです。
メモを取らせ、それを元に発想を拡充したり、整理して発表させることだって珍しくないでしょうし、部活と勉強の両立を図る中で学ぶタイムマネジメント/タスク管理だって、学習者が身につけるべきもの。これらは、進級/卒業後も、生徒が生きていくのに必要なスキルです。
協働的・対話的な学習の中では、理解を相手に伝えて他者と共有する言語能力(ディスカッションの方法、プレゼンテーションの方法、論述・記述)や、集団の一員としてのコミュニティ内での振る舞い方、役割を引き受ける方法・覚悟、互恵意識・貢献姿勢も学んでいるはずです。
教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一