参照型教材を徹底して使い倒す#INDEX

教科書の配列に沿って各単元を学んでいくのと、副教材を使って別ルートで知識の拡充を図るのを並行させるのは好適な戦略とは言えません。
主教材を軸に学びを進め、わからないこと/知らないことに出会うたびに参照型教材のページを開かせ、生徒が自力で必要な知識と理解を得るようにさせることが大切です。
学期が進むにつれて、参照型教材が使い込まれ、書き込みが増えてきたら、生徒はその科目の知識と理解とともに、学び方を身につけているはず。学習者としても自立してきているのではないでしょうか。問いを軸にした授業デザインの中で、単元ごとの中核理解をしっかりと形成しつつ、問いに答えるのに必要な情報は参照型副教材を使って生徒自らが集め、それらを知に編む方法も学ばせていきましょう。
個々の知識の重要度は、それらを参照する機会の多さとイコールです。勉強を進める中、知らないこと/わからないことをその都度、確かめ、覚えるようにしていれば、重要なものから順に獲得が進みます。
受験の必要などでさらに知識の拡張が必要なら、副教材をある程度使い込んだ段階で、学び残しを総ざらいさせるのも効率的です。過去問演習に取り組む中でも、知識拡充の機会は確保できるはずです。

2015/10/13 公開のシリーズを再アップデートしました。

#1 記銘のための反復は、課題解決に活用する中で

課題解決に活用する場面を持たないと
覚えることが自己目的化するとつらいばかり
“反復”はほかに手段がないときの「次善の策」
教室で行使できる強制力は切り札~できるだけ使わない
実際の文脈の中でしか、参照知識の判別も学べない
主教材で作った流れの中で参照型副教材を使い倒す

#2 不明を前にしたら手元の教材を参照する習慣を

最初に道具を揃えさせるやり方が抱える「限界」
学ばされているとの意識から離れるメリット
参照型教材は、本来の目的通りに使うべき
繰り返し参照させることで、再記銘を図る
わからないことがあったときに最初に頼るべき相手

#3 導入期から仕上げ期に向かう流れで考える「使い方」

これを使えば、自力で学べると思えるところまで
やらせなければ、できることは増えていかない
効率的に進めるには「出会ったものから順番に」
拡充期には、類似項目の比較を通じた整理なども効果的

#4 ステージごとの学習者特性の違いを踏まえて

学びの初期段階では、記銘・想起の負担も大きい
活用機会と切り離した勉強が問題に拍車をかける
次のステージの前に「負のモチベーション」を作らない
小テストの繰り返しより、じっくり課題に取り組む時間
段階を踏んでいけば、直前期の仕上げもスムーズに

#5 問いを起点に理解の軸を形成、知識拡充はその後で

やり残しが増えるほどに、やる気は失われがち
演習期を迎えてレディネスが整っていないのでは…
知識の拡充は、演習期以降の「後半」で加速を図る
先取り学習でも同じ問題が起こりえる
学び直しの中でも、参照型教材を有効に活用

副教材、こなしきれていますか?

仕上げずに放置する悪習慣を「学習」させない
知識や学習方策の獲得が遅れる中で
やり切れる量を見極めて、課題を取捨選択
課題の付与は、必須とプラスαの二段構えで
副教材は、主教材で作った流れの中で使う
課題は与えた以上、達成させるのが教える側の責任



前回のアップデートに際しての追記: 2018-03-02
文法書や用語集、あるいは辞書などの参照型教材を徹底的に使い倒すことで得られるものは小さくありません。授業中にも四六時中ページを開かせて調べさせれば、自力で調べる方法と姿勢を身につけさせられますし、なんといっても「わからないことがあってもこれを調べれば良い」と思えるようになるのが大事です。
一方で参照型なのに、あたかも通し教材のように使って、こなしきれない状況を作るばかりになっているケースもあります。1年間使い続ければ、一度は目を通したところがかなりの割合を占めているはず。最初から通した総ざらいの学び直しをしていけば、無理なく全編を学べます。
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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一