月: 2023年9月

考え尽くした結果を伝えることはコミュニティへの貢献

問いやお題を与え、一人ひとりに調べたり考えさせたりさせ、その成果を持ち寄ってシェアさせれば、欠けていた理解や気づきを互いに補うことになり、学びがより深く広いものになります。調べる時のソースが違えば、互いに矛盾する情報が見つかることもあるでしょう。それぞれの信ぴょう性を評価したり、矛盾に対処したりする知恵を働かせる(=力を鍛えて評価する)好機が教室に生まれます。同じものを参照しても、そこから拾い上げ…

総合学習/探究活動における「知識の活用」

各教科の学習指導において「評価」を行うのは「生徒一人ひとりの学びをより良いものにする」ためであるのは言うまでもありませんが、これは探究活動や進路指導においても同じだと思います。獲得すべき知識や技能(=各単元に固有の知識など)がきちんと身についていなければ、それを補う機会を与える必要がありますし、知識や技能を「生きて働かせる(=活用する)」ことができていないようなら、できるようにさせなければなりませ…

新しい学力観に基づく評価方法(記事まとめ)

新しい学力観の下での指導法は、教科学習でも、探究活動でも、各地で試行と工夫が重ねられて大きく進んできたようです。授業公開や成果発表をお訪ねするたびに、様々な新しい取り組みに心躍ります。しかしながら、新しい学びに応じた評価方法はというと、指導法の改善ほどには改善の議論も行動も進んでいないようにも感じます。きちんとした評価ができなければ、目標達成に向けた軌道の修正もできませんし、指導計画の継続的改善も…

多様性をどう評価するのか

多様性は、主体性、協働性とともに学力の第3要素を構成するものですが、いざ、獲得を図らせ、評価を行おうとすると、いったい何を指しているものかピンと来ないもの。評価の観点を立てるのにも戸惑います。辞書的な意味としては「コミュニティや群の中にいろいろな性質のものが存在して、変化に富んでいること」ということでしょうが、学習を通じて目指すべきところは、個々の生徒が「様々な考えや立場があることを想定/受容した…

選択した結果を正解にするのは「これからの行動」

生徒に限らず「選択」を迫られる場に臨めば、誰しも「本当にこの選択で良いのか、正解なのか」と悩むものかと思います。その選択が大きな分岐になり得るほど、悩みは深く、大きなものになっていきます。進路を選ぶところに来てもなお、まったく悩みなしという生徒は、よく考えていないだけかもしれません。将来を真剣に考えれば考えるほど、集めてきた情報の中に多くの選択肢を見つけ、悩みは膨らみます。選択に悩んでいる生徒には…

面談指導を成功させる#INDEX

2学期が始まって半月です。学校行事が一巡すると、次年度の履修科目選択を控えた2年、進路希望の実現に頑張る3年生を始め、様々な生徒との面談の場が待っていることかと思います。面談指導が成功するかどうかは、落ち着いて面談に臨める時期や環境、先生と生徒との間に構築された信頼関係など、挙げればキリがない様々な要因に左右されますが、面談の本番に臨むに当たり少なくとも、 という2つの要件は満たしておく必要があり…

最適解を示すことより選択の力を養うこと #面談指導

面接指導では、こちらが用意した「正解」を与えることより、対話を通じて生徒の「選択の力」を養うことに注力すべきかと思います。徹底的に調べて考え選び出す中でこそ、情報を集めて評価する力などに加えて、本稿でフォーカスする「選択の力」の獲得も進んでいくはず。選択した結果に向き合う覚悟もより強く持てるのではないでしょうか。岐路に立って選択に迫られた生徒が正解を求めるのに安易に応えてしまうと、生徒は自分で判断…

面談指導を成功させる#4~面談スキル向上への協働

面談指導計画は進路指導部や学年進路といった組織が作成すると思いますが、実施するのは各クラスを担当されるひとりの先生。指導の成否はクラス担任の面談スキルや指導への取り組み方に左右されます。そうしたスキルや姿勢は個々の先生の経験の中で養われることが多いかと思いますが、生徒は先生の経験値が上がるのを待てません。指導機会を経るたびに組織的な効果測定をきちんと行って「優良実践を共有できる仕組み」を校内に整え…

面談指導を成功させる#3~事前アンケートで状況把握

進路面談の前に、面談票を用意して生徒に記入させておくのに加えて、学年でアンケート調査を行うと生徒個々の現状把握が容易になります。全体の集計結果(回答分布)と、個々の生徒の回答を照らし合わせることで、一人ひとりの現状を相対化して捉えることができるためです。指導方針に迷ったときには、進路指導担当者に相談したり、先輩に助言を求めたりすることもできますが、個々の生徒の状況が正確に掴めていなければ相談のしよ…

面談指導を成功させる#2~気づきを整理し記録させる

面談指導は、生徒がそこまで積み上げてきた思考を対話を通じて相対化させ、これから先の行動に課題を設定させる場です。 といった前稿に挙げたポイントに加えて、 ことなどもしっかり意識しておきたいところです。 2014/11/14 に公開した記事を再アップデートしました。 ❏ 持ち越す課題を洗い出し、生徒自身に整理させる どんなに周到に準備して面談に臨んでも、持ち越しの課題を残さず所期の目的のすべてが達成…

面談指導を成功させる#1~事前準備と面談前指導

個人面談は、生徒一人ひとりの進路、学習、生活の悩みや課題を把握、共有し、その解決に向けた支援を行う貴重な指導機会です。面接を指導の要(かなめ)と位置づけ、年間5回以上に及ぶ全員面談を計画に組み込んで組織的な取り組みとしている学校もあります。ただし、面談指導の効果は実施回数に比例するとは限りません。面談に臨むまでに重ねる準備(生徒/教員の双方)が成否を分けます。 2014/11/13 に公開した記事…

目指すところ(目的)の価値を改めて考える

教育に限らず、どんなことであれ、目的とするところを達成するために様々な手段を講じます。当然ながら、手段となる個々の活動に関わる/参加する人々のコミットメントが、目標達成の前提条件です。しかしながら、目的そのものに誰もが納得できる「価値」が見出されていない限り、目標達成への深い関与は期待できません。他者に対してのみならず、自分自身に対しても「それって本当に必要なの?」という疑問に十分答え得る、言葉と…

知りたいから始める探究テーマ選び

総合的な探究の時間での「テーマ選び」は生徒にとっても大きな関門ですが、ご指導に当たられる先生方も、その指導にはお悩みを抱えながら試行錯誤を続けておられる様子が伝わってきます。多くの生徒により意欲的に取り組んでもらいたいとの思いからなのか、生徒それぞれに「興味のあること」からテーマを探させるアプローチが多いようですが、必ずしも上手く機能していないように見えます。上手くいかないケースの多くは、「興味が…

優れた実践にも手札は様々、組み合わせて更なる進化

生徒による授業評価アンケートを利用して、継続的な授業改善(=より良い授業の実現)に取り組んでおられる学校が各地にあります。多くのケースでは、集計結果を用いて、校内に既に存在している優れた実践の所在を探り、そこでの工夫や取り組みを共有することで、改善が遅れた授業でのキャッチアップが進められています。また、高い評価を得ることができた授業における工夫も様々。それらを効果的に組み合わせれば、現状を超える「…

振り返りと行動変容(まとめページ)

21世紀型能力(新課程の具体化に向けた議論の土台)における思考力の構成要素には、「問題解決・発見力・創造力」と「論理的・批判的思考力」に加えて、「メタ認知、適応的学習力」が挙げられています。各教科の学習に限れば、「自分の問題の解き方や学び方を振り返るメタ認知、そこから次に学ぶべきことを探す適応的学習力等」と説明される力ですが、生活や進路などにも拡張すれば、広く「先に控える課題を見据えて、取るべき行…