ワークショップ「面白い授業とは」

先日、都内のある学校をお訪ねして、ちょっと変わったワークショップを行ってきました。タイトルは「面白い授業とは何か」です。このタイトルに正攻法で答えを探そうとすると、早々に発想が行き詰ってしまうことが少なくありません。ワークショップの冒頭で参加者の皆さんに考えていただいたのは、「面白くない授業」です。 ❏ まずは、「面白くない授業」を思い浮かべる 短時間のうちに、実に色々なご意見が続々と出てきました…

マトリクス点検で指導主眼を適正配置(その9)

生徒に求める行動に、時期を追った段階性と同時期における整合性が求められるのは、中間、期末の定期考査問題も同様です。年度内に実施された教科内のすべての定期考査問題をずらりと並べて点検するのが理想ですが、全部を一度に扱うのは大変です。まずは、学年末考査だけに対象を絞ってしまいましょう。比較点検を実施することそのものが、優先すべき事柄です。 ❏ テスト問題は、入口学力と出口目標学力を結んだ線上に 連続性…

マトリクス点検で指導主眼を適正配置(その8)

観点毎の段階評価(S~C)を生徒自身に行わせ、記録に残させることも、積極的な学習姿勢を引き出す上で有効です。自分が頑張ってきた足跡を目にすれば、これまでの努力を投げ出すのがもったいなく感じるようになります。 ❏ 評価基準は生徒自身による振り返りに利用 ノートに貼り込める小さなサイズで作成したチェックリスト用紙を予め配っておき、予習、授業、復習のサイクルが一巡した段階で、自己点検をさせて結果をノート…

マトリクス点検で指導主眼を適正配置(その7)

学習の手引きやシラバス、あるいはオリエンテーションで配布する資料には、評価方法や評価基準が明示されているはず。まったく言及されていないようなら、加筆が必要です。特にシラバスに評価に関する記載がないと、シラバスたる要件を満たしていないことになってしまいます。 ❏ 評価基準も、学習の成果を踏まて段階的に引き上げる どのように評価されるかを十分に理解すれば、生徒はそれに応じた行動をとるようになります。中…

マトリクス点検で指導主眼を適正配置(その6)

中高一貫校では、中学と高校、前期課程と後期課程との間で、過剰なギャップや大きすぎる重なりが見つかることが少なくありません。このあたりにも注意が必要です。 ❏ 上下左右と見比べながら、修正案を書き込んでいく シラバスに記載されたことと付箋に書き出して、模造紙の上に張り出していくことで、「あれっ?」と思う機会も少なくないはずです。学年ごとに、また科目ごとに起草してきたものを、付箋で分解し、模造紙の上に…

マトリクス点検で指導主眼を適正配置(その5)

マトリクス点検を具体的に進めていきましょう。各学年、各学期にどのような予・復習を求めているかを確認できるよう、オリエンテーションで配ったプリントや、学習の手引きのコピーを事前に集めておいてください。模造紙と大きめの付箋も用意しておいてください。 ❏ まずは、教科の中で段階性と整合性を 模造紙には、左から右へと学年・学期を書き込んでおきます。付箋には学習の手引きなどに書かれていることを項目ごとに転記…

マトリクス点検で指導主眼を適正配置(その4)

予習方法が学年教科を跨いで異なるのは、授業の進め方は各学年教科の方針によって違うから当然だというロジックには、十分な妥当性と合理性が備わっているでしょうか。様々な工夫や試行錯誤を重ねる中で、成績を伸ばし多くの進路希望を実現させた学年のやり方に倣い、それをベースに改善と更新を繰り返していけば、学校としての方向性や指導像は自ずと共有されるはずです。前学年のやり方を十分に知ろうとせずに、一から試行錯誤を…

マトリクス点検で指導主眼を適正配置(その3)

新入生に対して、あるいは学期が切り替わるごとに、学習方法や教材への取り組み方などを伝える「オリエンテーション」が多くの学校で行われています。また、それらを実地に経験させて学ばせる「勉強合宿」も広く行われ、もはや特別な行事ではありません。オリエンテーションの内容、特に予習・復習の方法や授業への取り組み方は、学年教科の判断や考えに任されているのが一般的なようです。 ❏ 学年をまたぎ、成果と反省を踏まえ…

マトリクス点検で指導主眼を適正配置(その2)

学習指導は教科ごとに行われますが、学習姿勢や学び方を生徒が獲得していく過程は、教科を跨いで同時に進行していきます。ある教科を通じて身につけた姿勢や技術は、ほどなく他の教科にも転用されるようになるのが普通です。 ❏ 獲得した資質や行動様式は科目を超えて ディスカッションに臨んで、相手の発言を理解したうえで自分の意見を組み立てられる/表現できるようになること、わからないものを見つけたときに適切な参照手…

マトリクス点検で指導主眼を適正配置(その1)

シラバスや学習の手引き、あるいは勉強合宿でのガイダンスプリントなど、「学習法」や「到達目標」といった「学習活動において生徒に求めるもの」を書面化したものは数多く見つかります。授業態度や提出物、小テストなど、シラバスの「評価基準」に言及されているものも、直接的・間接的に、生徒に求める行動を表現しているものの一部です。 ❏ シラバス、進路講演、定期考査、・・・ 授業中に予習・復習の進め方を説明するのも…

授業クリニックの現場から(その3)

これまでにも、方々の学校をお訪ねして授業を参観させていただきました。その中で、多くの場合に共通する問題も見られます。併せてご参考になればと思い、追記して残しておきたいと思います。 ❏ 既にわかっていることに時間をかけ過ぎない どの学校でも、しばしば見かけることですが、生徒が既にできるようになっていること/わかっているところに時間をかけ過ぎていると感じるケースがあります。前年度までに生徒が学んだこと…

授業クリニックの現場から(その2)

前稿(その1)に引き続き、授業クリニックの現場で目にした「倣いたい手法」をご紹介したいと思います。現場で頑張る先生方の創意と、それを実現していく努力には、いつも深く学ぶことばかりです。 ❏ 板書で授業に流れを作る(前段理解と展望の共有) 前稿でご紹介した、問いを重ね、生徒の発言に乗っかりながら展開していく授業では、対話を重ねながら、そこまでの理解や今考えていることが、常に板書によって生徒の眼前に示…

授業クリニックの現場から(その1)

過日、ある高校を訪ね、「授業クリニック」を行ってきました。いくつかの授業を参観した後、授業をされた先生方とミーティングを持って、フィードバックを行うというものです。ちなみに命名はお客様によるものです。名実一致の秀逸なものかと。フィードバックでは、まず、参観した授業に見出された「優れた工夫」や「意欲的な取り組み」の共有を図ります。優れた実践の所在を知れば、校内で行われているだけに、空き時間を使って参…

目標提示が苦手意識を抑制

学習活動を通じて到達を目指すべきものと、それを達成するための手段とをしっかりと示しておくことが、生徒の苦手意識を抑制します。ガイダンス(=目標の提示と方法の周知)が徹底されることで、苦手意識の発生を抑えることができますが、ここで少しでも手を抜くと、生徒の苦手意識を不必要に膨らませてしまいます。 ❏ 目標の提示と方法の周知を徹底すると 下図は、「学習の目標や達成のための方法について先生から事前に十分…