指示を的確にこなす生徒~それだけで良いのか?

どの生徒のノートもしっかり板書を書き写しているし、予習も完璧に行われており答え合わせだけで十分。生徒を指名しても期待通りの答えがきっちり戻ってくる。一見すると「これまでの指導の成果」のように見えなくもありませんが、どこかに違和感を覚えます。もちろん、ちゃんとノートを取れない、予習もしない、答えさせれば的外れというのでは、これまでの指導のあり方を反省しなければならないでしょうが、指示を的確にこなす姿…

三度めの緊急事態宣言~分散登校、リモート学習への備え

東京、大阪、京都、兵庫の4都府県に緊急事態宣言が発出されることになりますが、都立高校などでは分散登校を実施し、自宅でのオンライン授業と組み合わせて、通学する生徒を減らす方針とのこと。 期間が大型連休と重なるため、実質的に影響を受ける授業日数はそれほど多くならずに済むかもしれませんが、感染拡大が収まらず、他の地域にも緊急事態宣言の対象が広がっていく可能性も否定できません。 ここでもう一度、リモート指…

声に出して教科書を読むことの効能

ICTの導入が進む中で、個々の機器も技術の進歩でどんどん使い勝手が良くなっています。道具は上手に使えば、余計なところで浪費していたエネルギー(時間や手間)を目的に直結するところに集中して使えるようになるだけに、使い方を工夫し、積極的に活用したいところです。その一方、手を使って板書や資料を書き写すことや声に出して教科書を読むといった、特別な道具もいらなければ、やり方を改めて学ぶ必要もない「クラシカル…

令和3年度も宜しくお願いいたします。

新年度となりました。お陰様で当オフィスも、マイペースながらも充実した日々の中、あしかけ8年度目を無事に迎えることができました。ひとえに、皆様のご厚情の賜物と、衷心より御礼を申し上げます。これからも引き続き、「現場で頑張る先生方を応援します」という開業以来のミッションを実現すべく、できる限りを尽くして参る所存です。ご指導を賜る機会も今後ますます多くなるかと存じますが、何卒宜しくお願いいたします。新年…

探究活動やPBLを通して涵養すべき統計スキル

令和7年度以降の大学入学共通テストのサンプル問題が大学入試センターのホームページに公開されました。(こちらをご参照下さい。)公開されたサンプル問題は、地理総合、歴史総合、公民、情報の4科目ですが、これからの教室において「どのような学ばせ方」が求められるようになるかは、これらの科目に閉じた話ではありません。他教科の先生方も、お時間を見つけて一度は目を通しておくべきかと思います。 出題研究を通して&#…

グループワークで作る学びへの積極姿勢

授業評価アンケートの自由記述意見を読んでいると、グループワークを多く経験する中で、協働での学びに貢献する「責任」を感じた、「役割をきちんと果たさなければ」との思いを強くした、といった記述に出会うことが少なくありません。グループワークは、個人の発想を超えたところに解を見出すことを目的に、集団知/分散知の活用や対話による気づきの交換を図るために採り入れる活動ですが、協働を経験する中で、個々の学習者とし…

提出物は丁寧に添削して返すのがベスト?

日々の学習指導の中では生徒に様々な提出物を課しますが、それらをどう取り扱うのがベストなのか、正解は中々見つかりません。丁寧に添削して返却することが思考力や表現力を高める上で本当に効果を挙げているのか、最善手が他にないかは疑ってみる必要があるように感じます。丁寧に答案に目を通し、先生が「添削」してあげれば、生徒はその答案をより良いものに仕上げ直せるでしょうが、先生に助けを求められない場面で、きちんと…

新年度を迎えるに当たり~まとめページ(2021年度版)

年度末を迎え、新年度準備が着々と進んでいることと拝察いたします。 新入生を迎え入れる準備、次年度の計画の最終的な詰め、異動等に伴う引継ぎなど、定常期と異なる業務も加わり、いつにも増してのご多忙と存じますが、こんな時こそやるべきことをきちんとリストアップして、優先順位の高いものからしっかり/漏れなく進めたいところです。 これまでに公開してきた新学期にまつわる拙稿の中から、優先順位が高そうなものをピッ…

遠隔授業の可能性と課題

この1年間でオンライン/遠隔授業の環境整備は大きく進んできたようです。大学での授業評価アンケートの結果を拝見していても、試行錯誤の連続だったと思われる前期に比べ、後期では「遠隔授業のシステムが十分に整っている」との回答が有意に増加しており、システムに不備が生じたときの対応なども改善されてきている様子が窺えます。 また、システムなどの環境整備に加え、新しい環境下での授業の進め方/学ばせ方にも試行錯誤…

教え方と学び方のマッチング

生徒はそれぞれの学習履歴の中で学び方を身につけてきています。その一方で、先生方もそれぞれの教え方をお持ちです。進学や年度の切り替わり等で生徒と先生の組み合わせが変わったことを機に、ときとしてこの「学び方」と「学ばせ方」のミスマッチが生じることがあります。教え方と学ばせ方のマッチングが失われると、学ぶ側での戸惑いなどが生じて、生徒本来のポテンシャルが十分に発揮されず、成績の伸び悩みという形でその影響…

生徒は学び方をどこまで身につけているか

授業の予復習を含めて、生徒に課題を与えて取り組ませていくとき、その課題にしっかりと取り組めるだけのレディネスが生徒に備わっているか、しっかり確認しておくことが大切なのは言うまでもありません。既に出来るようになっていることはもちろん、もう少しで出来そうなことを「不用意に肩代わりしない」ようにしたいもの。できることはどんどんやらせる~生徒の邪魔をしないことは指導を行う上での鉄則です。しかしながら、ただ…

ルールでの保護と危険回避の思考力養成

学校評価アンケートでは、生徒がトラブルなく安全に学校生活を送るための配慮や指導について尋ねることが多いと思います。こうした質問に対する肯定的な回答の割合はどの学校でもそれなりに高いものの、1~2割は否定的な評価や意見が混ざっていたりします。生徒指導を通したトラブル回避や安全の確保には、それらに接近しないようルールを敷いた「隔離」をメインとする場合と、生徒自身が危険を察知し、それを回避したり、被害を…

教育目標から自己点検に用いる評価規準への書き出し

建学の精神や教育理念のもとで各学校は教育目標を定め、その達成のために教育活動を行っていますが、学校評価アンケートなどで生徒に「教育目標に掲げられた『目指すべき人物像』に近づけているか/近づけそうか」と聞いてみると、なかなか力強い答えが返ってきません。教育目標は「ただ掲げているもの」ではないはずですし、その達成には先生方のみならず、生徒自身にもコミットメントが期待されるところではないでしょうか。たい…

学校評価結果の十分な活用のための実施スケジュール

年度末が近づく中で、本年度の学校評価アンケートの結果の取りまとめが進んでいる学校も少なくないと思います。学校評価アンケートの集計結果は、本年度の教育活動や取り組んできた改革/改善行動の成果を検証するのに欠かせないデータですが、「今年の総括に使って終わり」ではないはずです。取り組んできたことの成果に不足があれば、目的に近づくための改善を計画しなければなりませんし、状況の変化で従来と違うニーズや問題が…

授業改善には授業デザインを先行させる

深く確かな学びを実現する授業を構成する要素には、話し方や板書、指示や説明、確認の取り方などの「伝達スキル」と、学習目標を共有したり、学んだことを使う場を整えたり、対話を通して学びを深めたりといった「授業のデザイン」の2つがあります。伝達スキルの多くは、個々の先生に内在するものであり、参観などを通じて優れた手法に触れたとしても、その場から自分のものとして自在に使いこなせるようになるとは限りません。生…

正答率の予測ができれば授業設計も最適化

正答率を正しく予想できるということは、問題が要求する様々な学力に照らした「生徒の状況把握」が正確に行えているということです。教科学習指導は、目標学力と生徒の現況学力との差を埋めるための行為であり、正答率の予測精度(=現況学力を正しく把握しているか)は、指導設計の妥当性に大きく影響を与えます。様々な場面で実際に予測を行ってみて、ご自身の予測力を常に点検するとともに、精度の向上を図る努力も怠らないよう…

授業内に行う小テスト

小テストは、前回までの授業で学んだことや自学用に持たせている副教材の内容など、覚えさせる/確かめる内容とそのソースは様々ですが、実施のタイミングは「授業の冒頭」というのが一般的だと思います。始業の礼から間髪入れずに小テストを始めることが習慣として確立している授業では、休み時間からの切り替えもスムーズで、授業時間を無駄なく使うことにも大きく貢献しているように見えます。これに対し、今回ご提案するのは、…

対話により思考の拡張を図り、観察の窓を開く

授業内に生徒が活動する場を作る目的は、解くべき課題を与えて発動させた思考を「対話を通じた知識や発想の交換」で拡張させることに加えて、生徒の頭の中で何が起きているかを把握するための「観察の窓」を開くことにあります。沈思黙考という言葉もありますが、一人の頭の中だけで考え得ることには限界があります。それ超えていくためには対話を通じた思考の拡張が欠かせません。また、生徒一人ひとりの思考を言語化させてみない…

自力で学ぶ力を育むのに重要な、最初に選ぶ”対話の相手”

授業中に問題演習を行っているとき、生徒に「わからないことがあったら手を挙げ(て質問し)なさい」と声をかけるのは教室でよく目にする光景です。明示されていませんが、質問する相手は「演習の様子を観察している先生」が意図されています。生徒の疑問にきちんと答えるのはもちろん先生方の大事な仕事ですが、不明解消の方策を学ばせる/学習者として自立に向かわせるなら、最初に問いかけさせるべき「相手」は別にいると思いま…

活動させるのは観察のため~「観察の窓」を開く

授業の中で生徒は様々な活動に取り組みますが、それらを通して生徒は以下をはじめとする様々な「学びの目的」を達していきます。 自ら考えて行動する中での体験を、知識や理解に再構成していくこと 理解や思考の結果を言語化する中で学びをより確かなものにすること 対話(気づきの交換)で思考を拡充し、判断に必要な視野を得ること 一方、教える側/学ばせる側である先生方にとっても、生徒が活動する場を整えることでしか、…