失敗を積極的に経験させる#INDEX

生徒に限らず、人は失敗をしながら学ぶのだと思います。既にできるようになっていることしかやらなければ、失敗のリスクは小さいでしょうが、そこに大きな成長は見込めないはずです。達成感も希薄でしょう。今できることの少し上に挑んでこそ、それをクリアするのに現状の自分に足りないものに気づけます。既に跳べる段数の跳び箱を繰り返しても飛べているだけに「これで良し」と思い込んでしまうかもしれません。何かに挑戦して最…

失敗を積極的に経験させる(その2)

失敗を積極的に経験させるといっても、誰しもわざわざ失敗などしたくないものです。前稿に触れたような「失敗を重ねて自己効力感を弱め、学びが消極的なものになるのを抑える工夫」を凝らしても、それだけでは失敗のリスクを冒してまで積極的に挑戦する姿勢は生まれません。ものごとに積極的にトライする姿勢を生徒に取らせるには、失敗への不安を上回る強い動機を持たせるための仕掛けを講じる必要があります。 2015/01/…

失敗を積極的に経験させる(その1)

何かにトライして上手くいかないことは、確かに楽しい体験ではないでしょうが、失敗してこそ学ぶものがあることもまた事実。すでに出来るようになっていることだけ繰り返していては、もう一段上を目指すのに足りないものがあっても、それに気づく機会すら持てません。失敗を恐れて尻込みをしていては、重ねるべき経験をやり過ごし、進歩にもブレーキがかかります。辿りつけるはずだったゴールは遠くのままでしょうし、周囲を見渡し…

思考力を鍛えるのは、教える前が勝負

生徒の思考力を鍛えられるのは「正解や解法を示すまで」です。答えや解き方がわかった後にできるのは、解に至る過程を辿り直して、「なるほど、そうか」と納得すること(+答えを覚えること)くらいです。そこでは、答えを導き出すために重ねるべき思考(題意の理解/問題の発見、解法の考案など)の大半を、生徒は自ら体験できません。答えを導くべき問いや解決すべき課題を与えたら、生徒が十分に思考を尽くすまで、不用意に正解…

学習方策や目的意識に応じた負荷をしっかり掛ける

授業評価アンケートで「目的意識を持った授業への取り組み」や「授業内容や課題の難易度」について生徒の認識を尋ねてみると、その集計値分布は学年が進むにつれて「ある特徴的な傾向」を示します。下図は、直近1年で蓄積した様々な学校の授業評価アンケートのデータをもとに、その「傾向」をお伝えするために作成したものです。ちなみに、教科は国社数理英、対象とした授業は全部で5,629です。 Ⅹ目的意識 私は、自分なり…

学習内容の難しさと苦手意識

学習内容や課題の難易度が高まれば、その科目を苦手と感じる生徒が現れる/増えてくるのは想像に難くないところかと思います。「難しい、わからない、できない」という経験を繰り返すうちに、科目に対する自己効力感を徐々に弱め、やがては「苦手」と意識するようになります。授業評価アンケートのデータに照らしてみても、難易度が高まるにつれて生徒の意識姿勢が苦手寄りにシフトしてくる傾向は確認できます。しかしながら、デー…

教科間で行う、課題量の把握と調整 #INDEX

生徒にどのような授業外学習の課題(予習・復習、宿題など)を与えるかで、生徒の学び方が大きく変わります。教室での対面で行う学習活動でやることと、生徒が個々に取り組む学習活動でカバーすることの線引きを曖昧にしては新しい学力観が求める「学ばせ方」も実現しません。当然ながら、各教科の指導に当たる先生方は、生徒の学力を伸ばすために様々な課題を用意しますが、熱意が行き過ぎて、課題の総量が生徒のこなせる範囲を超…

教科間で行う、課題量の把握と調整(その3)

生徒が抱える課題の総量を適正範囲に収めるように調整するにしても、家庭学習にどのくらい時間を投じさせるべきなのか、合理的に導かれた目安値がないと、増やすか減らすかの判断もつきません。3年間あるいは6年間を見通した学習指導計画において「この時期にはこのくらいの時間を家庭学習に充てさせる」という目安をきちんとした根拠に基づいて決めたいところ。受験学年で単元進行と入試対策を並行することが多い理社に十分な時…

教科間で行う、課題量の把握と調整(その2)

教科間で調整を行いつつ、課題(予復習、宿題など)の総量を適切な範囲にキープするには、いくつかの数字を把握しておく必要があります。ひとつは「生徒一人ひとりが授業外の学習に充てている実際の時間」。一般的には「家庭学習時間」と呼ばれますが、放課後の自習室で勉強をする時間や通学の電車・バスで参考書を広げる時間なども含めるべきですので、呼称は「授業外学習時間」の方が適切かもしれません。これに加えて、各教科の…

教科間で行う、課題量の把握と調整(その1)

家庭学習にきちんと取り組ませるため、各教科が与える課題量を学年内で把握し、調整を図っている学校があります。こなしきれない量の課題(予習・復習、宿題)を生徒が抱えて履行率が下がる/仕上げが不十分になることがないように、逆に、やるべきことが見つからずに個々で取り組む学習活動が不十分になることがないように、というのがその意図するところです。 ある科目を担当する先生の「生徒の学力を伸ばそうとの熱意と善意」…

やりきらせる責任~仕上げ切らないことを習慣化させない

課題に取り組み、努力や工夫で達成できたら、生徒の中には自信が生まれ、達成への過程では新たな能力や資質を獲得し、課題への向き合い方も学んでくれますが、レディネスや時間の不足で課題を完遂することができなかったら…。生徒にとっても面白かろうはずがありません。やるべきことを完遂しない/できないでいることを不用意に繰り返させていては、学ぶ意欲や完遂を目指す姿勢は失われていくばかり。その先で得られた可能性のあ…

やりきらせる責任(その2)

知識の獲得・拡充を図る場面でも、獲得した知識を活用して課題に解を導く場面でも「適切な支援を行って完遂に導くこと」は指導者が果たすべき責任です。やりきらない/仕上げきれないことを習慣化させたときに生じる弊害は小さくありません。努力や工夫を重ねて物事を完遂した達成感は、生徒に自信を与えるとともに、その過程で様々な学びの方策を身につけさせていきますが、それと逆に、挑んでみて壁に跳ね返される体験を重ねさせ…

やりきらせる責任(その1)

与えたものをきちんと仕上げさせることは、教える側が常に意識をしておかなければならないこと。課題を与えた以上、達成/完遂させるのは与えた側の責任です。やりきらずに放置した経験/課題を達成できなかった体験を繰り返させるうちに、意図せず、それで良しとする意識や姿勢を「学習」させてしまっては一大事です。生徒に与える課題には、持てる知識や思考力を使って課題解決に当たらせるタイプと、与えたものを覚えさせるタイ…

「正解ありき」で教えていないか?

問題の解き方などを説明するとき、当然ながら、先生方は答え/正解も知っていますし、そこに辿り着くのに最適なルートも分かっています。そのため、うっかりすると「ここに補助線を引けば、〇〇の公式が使えます」「空所に〇〇を補えば、こういう構造ができて…」といった解説をしてしまうこともたびたびではないでしょうか。このやり方では、スマートに問題を解いてみせることはできても、生徒が初見の問題に対して「見通しを立て…

学び方における守破離

生徒から「説明はわかりやすい」「とても面倒見が良い」「訊けば何でも答えてくれる」と言われて悪い気はしませんが、「自ら学び続けられる生徒を育てる」という目的に照らすと、如上の評価を受けたときの心地よさに胡坐をかいてばかりはいられない気がします。もしかしたら、学習者としての自立にブレーキをかけているかもしれません。頼りになる先生が目の前にいるときは良いですが、やがては手放し巣立たせる生徒です。一人にな…

ノートを取らせて学習スキルを確かめる

教室を覗いてみると、同じ授業なのに生徒のノートの取り方は実に様々です。おざなりなノートの取り方に「あとで復習するときにわかるのかな?」と心配になることもあれば、先生の板書は綺麗に写し取っていても、それ以外まったく書き込まれていない(=本人の思考の痕跡が見て取れない)ノートも少なからず見かけます。その一方、同じ教室にはしっかりと整理されたノートに、散在していた情報をきちんと集め、構造化している生徒も…

ノートにメモを取らせる指導(その2)

メモに起こす内容には、2つの種類があります。ひとつは、相手の発言などを記録するもの。講義を聞きながら大事だと思ったところをノートやレジュメの余白に書き込むのはどなたも行っていると思います。もう一つは、相手の発言に触発されて、自分が感じたこと/考えたこと/思いついたことなどを文字に起こしたもの。こちらは、メモに残しておかない限り、後で思い出せなくなったら復元のすべがありません。その場で得たせっかくの…

ノートにメモを取らせる指導(その1)

ノートの取り方は、生徒が身につけるべき様々な学習方策の中でもかなり重要度の高いものだと思います。先生が板書したものを整然とノートに写し取っているだけで「よし」としてはいけません。自分で工夫してノートを取れるようになるというのは、生徒の内に「考えながら、人(=先生や周囲の生徒)の話を聞く力」「気づきを言語化できる力」「情報を自力で構造化できる力」が養われてきたことを意味しますので、学習者としての自立…

学びを軸にICT活用を考える#INDEX

ICTの導入が進む中、利用法にも各地で様々な工夫が重ねられ、新しい学ばせ方の可能性が次々と拓かれています。コロナ禍でのオンライン授業を機に、教室での対面授業でのICTの活用に大きく弾みがついたとのお話は方々でお聞きします。ICTに限ったことではありませんが、すべての教具は「学習活動を膨らませる/充実させるため」に用いるもの。ICTの導入は、これまで余計なところに使っていたエネルギーを節約する「効率…

学びを軸にICT活用を考える#3 「対話」の場面

ICTを活用すべきシーンには、前々稿の「伝達」、前稿の「調査」に加えて「対話の場面」があります。「対話的な学び」に期待されるところの大きさは、ここで改めて申し上げるまでもありませんが、生徒が互いに顔を突き合わせて行うものだけが対話ではありません。対面以外の環境で実現する対話的な学びだってあり得ます。他の生徒が作り上げた「答え」を見て得た気づきをもとに、改めて自分の答えを作り直してみることもまた、間…