自教科以外の授業も参考に「学ばせ方」を見直してみる

授業の進め方や学ばせ方を研究するとき、同じ教科の他の先生の授業を参考にするのが「普通/当たり前」のことだと思いますが、倣うべき実践を探す先は「他の教科・科目の授業」まで広げてみるのも好適です。授業の進め方には、教科ごとに「こういったもの」という固定観念みたいなものがあるのではないでしょうか。ご自身が中高で受けていた授業は思いのほか、意識に深く刻まれており、指導の組み立てを考えるときも、知らぬ間にそ…

大きな成果が出た時にこそ~実践の共有と継承

進学実績にしろ、模擬試験や外部検定の成績にしろ、あるいは授業評価や学校評価のアンケートにしろ、成果が出たときの行動こそが重要だと思います。結果を受けた振り返りというと、どうしても課題/反省点の洗い出しに意識が向きがちですが、成果をあげた好適な取り組みにも、しっかりとスポットライトを当てましょう。失敗に原因があるのと同様に、成功にもそれをもたらした要因があります。それをきちんと分析的に捉え、共有と継…

進級後の指導を見据えて(円滑な学びの接続)~まとめ

教科学習指導にしても、進路指導や生活指導にしても、単年度で指導が完結するわけではありません。ある学年での指導は進級/進学後に必要になるものを獲得させるためのものでもあり、そこでの指導目標が未達なら、先の指導は補完やフォローに追われ、計画は崩れていきます。カリキュラムは、単元内容を理解させることを手段に、様々な能力・資質を獲得させるために編まれているものですので、各単元の学習内容を理解させるだけでは…

前年度の指導に起因する学習指導上の課題

あるクラスを担当していて、学習指導がうまく行かない場合、その遠因が前年度までに生徒たちが受けていた授業に存在する場合があります。既習事項の習熟が不十分では学び直しに時間がかかり本時の学びが十分に深められないこともありますが、ことはそれだけではありません。生徒は授業を担当する先生の教え方にあわせて学びのスタイルを作りますが、新年度からご担当される先生が変わって学ばせ方が違ったものになれば、当然ながら…

学習内容の高度化、学びの変化に備えさせる

学びを進めていく中で、新しい学期・年度を迎えて学習内容が難しくなる局面があるのは改めて申し上げるまでもありませんが、そうした局面を迎えさせるための「準備」はきちんと行えているでしょうか。学習内容が高度化することだけでなく、科目の学びに求められるものが変わる(=学ばせ方の変化)こともまた、躓きの一因になります。学びのステージが次に進んだときを想定した指導を心掛けましょう。 ❏ 学習内容が高度化するタ…

負荷を高める/抑えるための様々なアプローチ

教材の難易度などの「学習者への負荷」を抑え過ぎると、生徒の能力を十分に引き出せず、成長にブレーキをかけてしまうことがあります。別稿でも書いた通り、「できた気にさせてしまうリスク」もあり、楽々とクリアできる課題ばかりでは、もう一歩先を目指す上での課題を見つける機会を持てません。目的意識(学ぶことへの自分の理由)をしっかり持ち、学習方策を獲得してきている生徒には、ちょっと頑張らなければ届かないところに…

プロセスに焦点を当てた問い

教室で発している問いのうち、「結果」を尋ねるものと、「過程(=プロセス)」を訊ねるものの割合はどのくらいでしょうか。新しい学力観の下では「答えを出すにはどのようにすればよいか、どう確かめるか」と解決へのアプローチそのものを尋ねる問いも増えて然るべきです。正解が何であるかを訊ねるときはもちろんですが、「~が~になるのはどうしてか」という理由を聞くときも、実は、思考の「結果」を引き出しているだけです。…

対話によって学びはどこまで深まったか

主体的、対話的な深い学びを構成する要素のうち、主体性を持った学びに欠かせない【学習方策】と【目的意識】については、それぞれ以下の別稿にてデータ解析の結果に基づく考察を行いました。 本稿では「対話的な深い学び」にフォーカスしてみたいと思います。なお、主体的、対話的な深い学びについては、拙稿「主体的・対話的で深い学びの実現に向けて(全3編)」でも考えるところをまとめておりますので、お時間の許すときにご…

中高一貫校での中高/前後期接続

中高一貫校の強みは、6ヵ年を通した指導計画のもとで中断なく指導の成果を積み上げられることにありますが、中高/前後期の接続に課題を抱え、本来の強みを生かし切れていないケースもあります。中学/前期課程では高い学力向上感や積極的な学ぶ姿勢が観測されていたのに、高校/後期課程に進んだとたんに伸びを欠くこともしばしばです。 新課程が求める「学ばせ方」~学年間の円滑な接続 下図は、中等教育学校を含むいくつかの…

生徒の答案をシェアして作る学び(相互啓発)

様々な答えやアプローチが予想される問題を扱うとき、生徒一人ひとりに個人ワークで取り組ませるだけでは、発想も広がらず、多様な考え方を踏まえた上での答えに辿り着くのは容易ではありません。生徒同士が互いの気づきを交換して、視野と発想を拡充する場として、協働や討論などの活動を授業に組み込むことが不可欠です。当然ながら、グループでの話し合いが盛り上がり、何となく答えらしきものが見えてきても、そこで学びを止め…

解くべき課題で「何のために学んでいるか」を伝える

単元内容が明示され、何を学び、何を身につけるべきかが示されたとしても、その前段階として、「何のために学ぶのか」という問いに生徒が答えを見いだせないことには、「学ぶことへの自分の理由」は生まれてこないのではないでしょうか。自分の理由がなければ、所詮は他人事。身を入れて学ぶ気にならなかったとしても、生徒を責めるわけには行かないような気がします。何のために学ぶのかという如上の問いには、「学ぶことがどのよ…

授業を終えてからの学びの「仕上げ」と「拡張」

授業は50分という限られた時間の中で行われるものですから、その中でできることには自ずと限りがあります。授業内での学びで得た知識や気づきを携えて課題にじっくり取り組み、学びを深く確かなものにすることや、教室での学びの中で刺激された興味や関心に沿って学びを拡張していくことで、学びの総量(深さ✕広さ✕密度)を大きくしたいものです。 2020/01/27 公開の記事をアップデートしました。 ❏ 教室での気…

負荷を抑えて「できた気」にさせてしまうことのリスク

適正な負荷を掛けることは力を効率的に伸ばします。少し背伸びすれば手が届くところに目標が設定されてこそ、頑張ってみようという気にもなるのではないでしょうか。楽々と飛び越えられるハードルでは「本来はできなければならないことなのに出来ていないこと」に気づく機会も持てず、より良いパフォーマンスに向けた課題形成も行えなくなり、メタ認知・適応的学習力の獲得にもブレーキがかかります。生徒が学習内容を確実に理解で…

対話などの学習活動が、学びの成果に直結しない?

授業評価アンケートの標準的な質問設計に含まれる、Ⅵ対話協働「話し合いなどの協働で、気づきや学びの深まりが得られる」は、対話的な学び、深い学びがどこまで実現しているかを測る意図で設けた項目です。対話は、気づきや発想の交換で思考を拡充するために欠かせないものですし、協働の場面は、様々な課題の解決に協力し合って取り組むときに必要な姿勢やスキルを獲得させるトレーニングとして不可欠です。思考力のみならず、表…

学びの成果を妨げているボトルネックはどこに?

授業評価アンケートの集計結果を分析してみると、「目的変数」であるⅦ学習効果への寄与度で最も大きな値を示すのは、Ⅴ活用機会です。Ⅶ学習効果を目的変数、先生方の直接的なコントロールが比較的容易なⅠ~Ⅵの各項目(評価項目と質問文はこちらでご参照いただけます)を説明変数とする重回帰分析の決定係数は0.827と十分に大きな値です。習ったことをもとに考える機会が課題などで整っていることは、新課程が求める「知識…

新課程が求める「学ばせ方」~学年間の円滑な接続

前稿「授業評価アンケートの集計結果を相対的にみる」でも少し触れましたが、Ⅴ活用機会やⅥ対話協働は、教室でどのような「学ばせ方」がなされているかを集計結果から推測できる項目です。 活用機会:習ったことをもとに考える機会が課題などで整っている  対話協働:話し合いなどの協働で気づきや学びの深まりが得られるこれらの項目で、校種間あるいは学年間の差が大きくなっている(円滑な接続がなされていない)箇所では、…

授業評価アンケートの集計結果を相対的にみる

今年も多くの学校で授業評価アンケートをご利用いただきました。この場を借りて、改めまして心より御礼を申し上げます。集計データの分析結果のご報告に各校をお訪ねするのはこれからが本番ですが、この機に多くの学校の集計結果を横断的に眺めてみました。下図は、この夏に授業評価アンケートをご利用いただいた様々な学校のデータ(質問設計は当オフィス推奨のものをご採用いただいているため共通です)をマージして作成したもの…

生徒が学んできたこと、経験してきた学び方の確認を

どの教科の学習指導でも同じですが、本時の学びに繋がるところ[既習内容]を、目の前にいる生徒がどこまで/どのように学んできたか正しく把握した上でなければ、効果的な学びの場は作り出せないはずです。知っているだろうと先生方が思い込み、「既習」と想定していたことを生徒が学んでいなかったとしたら通じる話も通じませんし、既に学んで知っていることを「初出」と取り違えていても無駄が生じます。既視感の中で退屈を覚え…

フォーメーションは、意図的に且つ頻繁に更新

ペアワークやグループワークに取り組ませるとき、フォーメーションはどのくらいの頻度で、またどんな意図で変更しているでしょうか。生徒の組み合わせが固定してしまうことの悪影響は小さくありません。仲の悪さで活動が阻害されるのも困りますが、仲の良い生徒とばかり組んでいても、「なあなあ」になってしまうかも…。多様な人々とコミュニティを形成し、そこで課題の解決に協働で取り組むときに必要になることを身につけるのが…

授業評価アンケートの結果の見方、活かし方 #INDEX

より良い授業の実現を目指して、改善課題の形成と改善行動の効果測定を行ったり、校内に存在する優れた実践を共有・継承すべくその所在を特定したりするのに欠かせないデータのひとつが、生徒による授業評価アンケートの集計結果です。質問項目に組み込まれている「授業を受けて学力の向上や自分の進歩を実感できるか」という質問に肯定的に答える生徒がどれだけ存在するか/増加したかを観察すれば、授業改善の進み具合が推定でき…