高校生のタスク管理&スケジューリング

生徒にもやるべきことが山ほどあります。日々の勉強に加え、部活動や生徒会活動、家事や家業にアルバイトなど、タスクの多様さは社会人を上回るかもしれません。時間を効率的に使い、手持ちの時間の中にやるべきことをきちんと配列できるようになってもらいたいところです。多彩なタスクの中で、生徒が自分を成長させ、未来を拓く力を身につけていくのに必要なことを後回しにさせないよう、しっかりとタスク管理とスケジューリング…

三度めの緊急事態宣言~分散登校、リモート学習への備え

東京、大阪、京都、兵庫の4都府県に緊急事態宣言が発出されることになりますが、都立高校などでは分散登校を実施し、自宅でのオンライン授業と組み合わせて、通学する生徒を減らす方針とのこと。 期間が大型連休と重なるため、実質的に影響を受ける授業日数はそれほど多くならずに済むかもしれませんが、感染拡大が収まらず、他の地域にも緊急事態宣言の対象が広がっていく可能性も否定できません。 ここでもう一度、リモート指…

既卒生が残した「成果」を教材に~探究活動の導入指導

高校に入学してくる生徒は、小学校や中学校で横断的、体験的な「総合的な学習の時間」を経験してきていますが、高校で新たに取り組むのはその先にある「総合的な探究の時間」です。数学や情報の授業で新たに獲得する知識や技能なども駆使して課題の解決に取り組む中、これから自らが生きていく社会に自分がどう関わり、どんな接点を持ちえるのかを「探究」していくことになります。当然ながら、初めて挑戦する学びである以上、取り…

声に出して教科書を読むことの効能

ICTの導入が進む中で、個々の機器も技術の進歩でどんどん使い勝手が良くなっています。道具は上手に使えば、余計なところで浪費していたエネルギー(時間や手間)を目的に直結するところに集中して使えるようになるだけに、使い方を工夫し、積極的に活用したいところです。その一方、手を使って板書や資料を書き写すことや声に出して教科書を読むといった、特別な道具もいらなければ、やり方を改めて学ぶ必要もない「クラシカル…

令和3年度も宜しくお願いいたします。

新年度となりました。お陰様で当オフィスも、マイペースながらも充実した日々の中、あしかけ8年度目を無事に迎えることができました。ひとえに、皆様のご厚情の賜物と、衷心より御礼を申し上げます。これからも引き続き、「現場で頑張る先生方を応援します」という開業以来のミッションを実現すべく、できる限りを尽くして参る所存です。ご指導を賜る機会も今後ますます多くなるかと存じますが、何卒宜しくお願いいたします。新年…

探究活動やPBLを通して涵養すべき統計スキル

令和7年度以降の大学入学共通テストのサンプル問題が大学入試センターのホームページに公開されました。(こちらをご参照下さい。)公開されたサンプル問題は、地理総合、歴史総合、公民、情報の4科目ですが、これからの教室において「どのような学ばせ方」が求められるようになるかは、これらの科目に閉じた話ではありません。他教科の先生方も、お時間を見つけて一度は目を通しておくべきかと思います。 出題研究を通して&#…

効果測定は、理解者と賛同者を増やすため

以前の記事「 効果測定とスクラップ&ビルド(教育資源の最適配分)」 をお読みいただいた先生から、「効果測定や成果検証の必要性は十分にわかっているが、作業が増えることに負担感もあり、どうしても二の足を踏んでしまう」とのご感想を頂戴しました。確かに、指導の効果測定を行うには相応の手間がかかります。「足し算だけのビルド&ビルドから抜け出そう」との文脈なのに、そこに無駄な作業を新たに作るようでは、何を目指…

中学での経験を踏まえて考える「高校での探究活動」

中高一貫校では、6年間という長い指導期間を活かして探究型学習プログラムの整備が比較的進んでいます。これに対して指導期間が3年(実質的には2年半)しかない高校では、本格的なプログラムを組み込むには時間的な制約が小さくありません。成果が確認できるまでの期間が中高一貫校の半分の3年間で済むという利点を活かし、短いサイクルの中でプログラムの改善を加速させるとともに、生徒が中学校までに経験してきたことをうま…

互恵意識で結ぶ学びのコミュニティ

一人ひとりが意欲をもって学び、生徒が互いを支え合う、互恵意識で結ばれた学びのコミュニティを作り上げることは、ホームルームの担任に限らず、各教科の授業担当者としても切なる目標の一つだと思います。新学期スタート後の数週間は、好ましい学びのコミュニティを作れるかどうかを決める大切な期間です。どんな手立てと見通しでコミュニティ作りを進めていくかしっかり戦略を立ててから新年度を迎えましょう。互恵という言葉が…

グループワークで作る学びへの積極姿勢

授業評価アンケートの自由記述意見を読んでいると、グループワークを多く経験する中で、協働での学びに貢献する「責任」を感じた、「役割をきちんと果たさなければ」との思いを強くした、といった記述に出会うことが少なくありません。グループワークは、個人の発想を超えたところに解を見出すことを目的に、集団知/分散知の活用や対話による気づきの交換を図るために採り入れる活動ですが、協働を経験する中で、個々の学習者とし…

プレゼンテーション/成果発表を機につくる成長の場

探究活動を始めとして生徒が自分(たち)が取り組んできたことの成果を発表する機会は以前に比べて多くなっています。日々の授業の中でも個人/グループで調べ学習や討論を行った結果をプレゼンテーションにまとめるのは既に「ごく普通の光景」になったように思います。プレゼンテーションの準備に取り組む工程での試行錯誤や努力そのものに加え、発表の場を通して得る直接/間接のフィードバックは、生徒にとって他に代えがたい成…

提出物は丁寧に添削して返すのがベスト?

日々の学習指導の中では生徒に様々な提出物を課しますが、それらをどう取り扱うのがベストなのか、正解は中々見つかりません。丁寧に添削して返却することが思考力や表現力を高める上で本当に効果を挙げているのか、最善手が他にないかは疑ってみる必要があるように感じます。丁寧に答案に目を通し、先生が「添削」してあげれば、生徒はその答案をより良いものに仕上げ直せるでしょうが、先生に助けを求められない場面で、きちんと…

新年度を迎えるに当たり~まとめページ(2021年度版)

年度末を迎え、新年度準備が着々と進んでいることと拝察いたします。 新入生を迎え入れる準備、次年度の計画の最終的な詰め、異動等に伴う引継ぎなど、定常期と異なる業務も加わり、いつにも増してのご多忙と存じますが、こんな時こそやるべきことをきちんとリストアップして、優先順位の高いものからしっかり/漏れなく進めたいところです。 これまでに公開してきた新学期にまつわる拙稿の中から、優先順位が高そうなものをピッ…

遠隔授業の可能性と課題

この1年間でオンライン/遠隔授業の環境整備は大きく進んできたようです。大学での授業評価アンケートの結果を拝見していても、試行錯誤の連続だったと思われる前期に比べ、後期では「遠隔授業のシステムが十分に整っている」との回答が有意に増加しており、システムに不備が生じたときの対応なども改善されてきている様子が窺えます。 また、システムなどの環境整備に加え、新しい環境下での授業の進め方/学ばせ方にも試行錯誤…

教え方と学び方のマッチング

生徒はそれぞれの学習履歴の中で学び方を身につけてきています。その一方で、先生方もそれぞれの教え方をお持ちです。進学や年度の切り替わり等で生徒と先生の組み合わせが変わったことを機に、ときとしてこの「学び方」と「学ばせ方」のミスマッチが生じることがあります。教え方と学ばせ方のマッチングが失われると、学ぶ側での戸惑いなどが生じて、生徒本来のポテンシャルが十分に発揮されず、成績の伸び悩みという形でその影響…

生徒は学び方をどこまで身につけているか

授業の予復習を含めて、生徒に課題を与えて取り組ませていくとき、その課題にしっかりと取り組めるだけのレディネスが生徒に備わっているか、しっかり確認しておくことが大切なのは言うまでもありません。既に出来るようになっていることはもちろん、もう少しで出来そうなことを「不用意に肩代わりしない」ようにしたいもの。できることはどんどんやらせる~生徒の邪魔をしないことは指導を行う上での鉄則です。しかしながら、ただ…

同じ教材で同じように教えても~学習者特性の違いを把握

同じ教材を使って同じように教えているのに、模試や考査での成績分布に違いが出たり、授業評価アンケートの集計結果がクラスごとに大きく違ったりすることも珍しくありません。学習者がこれまでに身につけてきた「学び方」と、先生方が授業で実践している「学ばせ方」のマッチングの度合いによって生じた違いです。テストなどの成績、観察を通した行動評価やアンケートの集計結果、ポートフォリオに残った様々なログなどを手掛かり…

ルールでの保護と危険回避の思考力養成

学校評価アンケートでは、生徒がトラブルなく安全に学校生活を送るための配慮や指導について尋ねることが多いと思います。こうした質問に対する肯定的な回答の割合はどの学校でもそれなりに高いものの、1~2割は否定的な評価や意見が混ざっていたりします。生徒指導を通したトラブル回避や安全の確保には、それらに接近しないようルールを敷いた「隔離」をメインとする場合と、生徒自身が危険を察知し、それを回避したり、被害を…

教育目標から自己点検に用いる評価規準への書き出し

建学の精神や教育理念のもとで各学校は教育目標を定め、その達成のために教育活動を行っていますが、学校評価アンケートなどで生徒に「教育目標に掲げられた『目指すべき人物像』に近づけているか/近づけそうか」と聞いてみると、なかなか力強い答えが返ってきません。教育目標は「ただ掲げているもの」ではないはずですし、その達成には先生方のみならず、生徒自身にもコミットメントが期待されるところではないでしょうか。たい…

自分撮りのススメ~自分の授業を客観的にみる

別稿で申し上げた通り、授業を改善しようと思ったら、伝達スキルより授業デザインに焦点をおいて、その改善を先行させた方が改善の効果が短期間で現れますが、話し方・伝え方、強調の方法などに問題を抱えているなら、その解消も先送りするわけにはいきません。授業デザインは、構成要素の大半が言語化できる外在知ですので、校内/教科内にある優れた実践から学びやすいもの。高い評価を得た授業でのやり方を知れば、まったく同じ…