進学先の確保と進路希望実現のはざま
進路希望の実現に向かう最終フェイズで、生徒一人ひとりが最後まで第一志望を貫徹できれば何よりですが、大学入学共通テストの結果などでセカンド・ベストへの切り替えを検討しなければならないケースもあります。出願指導では「進学先を確保してあげたい」と「初志を貫徹させたい」の狭間で先生方も判断に迷うことが多いのではないでしょうか。いざ最終選択という場面を迎えて、判断を誤らない(=後悔しない選択ができる)ように…
当オフィスは、各地の学校で授業力向上や教育改善・学校改革のお手伝いをしています。
進路希望の実現に向かう最終フェイズで、生徒一人ひとりが最後まで第一志望を貫徹できれば何よりですが、大学入学共通テストの結果などでセカンド・ベストへの切り替えを検討しなければならないケースもあります。出願指導では「進学先を確保してあげたい」と「初志を貫徹させたい」の狭間で先生方も判断に迷うことが多いのではないでしょうか。いざ最終選択という場面を迎えて、判断を誤らない(=後悔しない選択ができる)ように…
師走が慌ただしく過ぎると、あっという間に大学入学共通テストです。その後には自己採点結果を踏まえた出願指導が待っていますが、それに向けた準備(指導の計画)は万全でしょうか。どれほど綿密に練った計画も、実施に移すと意図通りに進まないこともあります。その主な原因は、実際に指導に当たる先生方のスキルや知識が追い付かなかったり、個々の生徒の置かれた状況が事前の想定と異なったりすることです。受験本番を控えた待…
別稿「ゼロ学期を迎えるに当たり~指導計画作りへの下準備」では、新年度を迎えるために行う教員組織内の業務に焦点を当てましたが、もう一つ忘れてはいけないのは、進級を控える生徒(現2年、現1年)に対する「新年度に向けた準備を整えさせる指導」です。春を迎えて最上級生となる現2年生は、来年度の履修科目選択の希望を提出したことで「受験生」になる第一歩を踏み出したことになります。ここで歩を止めさせず、二歩め、三…
進路指導計画は大きく分けて進路意識を形成する過程と進路希望を具体化し実現する過程とがありますが、前者の中に配置されているのが「自分を知る」ことをテーマにしたセクションです。呼び方は学校によって様々ですが、職業や社会を知ること、大学(学部・学科)や学問を知ることとともに3ヵ年/6ヵ年の計画に何らかの形で配列されています。 2019/11/18 公開の記事をアップデートしました。 ❏ 知るべき「自分」…
生徒一人ひとりの進路希望を把握することは大切ですが、それ以上に着目すべきは、進路意識を形成し、進路希望を具体化するまでに生徒一人ひとりが踏むべきプロセスをきちんと踏んでいるかどうかを確かめることではないでしょうか。「自らの選択の結果に向き合える状態」に生徒を導くことは大切であり、そのためにも如上の確認は欠かせません。進路希望調査を行うときの注意、大学選びの前に行う学部・学科研究の新しいアプローチ、…
生徒の進路希望を調べる場合、調査票を配って、国公立か私立か、理系か文系かなど、現時点での希望を尋ねたり、大学名や学部・学科を挙げさせるのがよく見かけるやり方ですが、不用意な訊き方をすると、選択までの過程に潜んでいる問題を見落とし、後になって思わぬ弊害が生じます。進路希望調査の実施にも「押さえるべきポイント」があります。 2017/04/10 公開の記事をアップデートしました。 ❏ 選択の結果を訊く…
11月も半ばを迎え、高校2年生は3年時の履修科目選択に頭を悩ませている頃かと思います。1年生も2年での文理選択が迫ります。履修科目/文理を選択させるに当たり、生徒の希望を調査するだけでは指導が完結しないのは言うまでもありません。生徒一人ひとりの状況を確認し、より好ましい選択に向かわせる必要があります。何となくの選択では、その先に一人ひとりの志向や資質に見合った未来が待っている可能性は下がるばかりだ…
文章を読み、あるいは発言を聞いて、言葉に表現されている内容を正しく理解することは大切であり、「読むこと」の第一の目的であることに異論を差し挟むつもりはありません。しかしながら、時には直接的に表現されていることの奥にあるもの、主張の根拠や、発言に込めた意図、筆者のバックグランドや根っこの思想まで推し量り、さらには「この場面ならこの人は何と言うか/どう主張するか」まで踏み込んで考えて読むことも必要では…
先週水曜日(11月9日)に大学入試センターが「令和7年度試験の問題作成の方向性,試作問題等」を公開し、大きな話題になっています。国語でも、グラフがいくつも問題に組み込まれ、データを基に考察する場面が設定されるなど、ひと昔前の出題とは大きく様変わりです。試作問題に添えて公開された「問題作成方針に関する検討の方向性について」や各科目の「試作問題の概要」にも目を通した上で、どのような方向で今後の学習指導…
対話を通じた深い学びを実現するには、ペアやグループでの生徒同士の話し合いに加えて、問答を通じた「先生との対話」や、教科書や資料、副教材を問いを立てながら自力で読んで理解する「テクストとの対話」の充実も図る必要があるのは、昨日の記事で書いた通りです。また、生徒同士の対話にしても、バリエーションは顔を突き合わせ直接的に交わす会話(話し合いや教え合い)だけではありません。先生と他の生徒の間で行われている…
対話的な学びを実現するのに、生徒同士の対話ばかりを増やしても十分とは言えません。教科書や資料を読んでのテクストとの対話や、問答を通した先生との対話をしっかり充実させる必要があります。テクストを介した先人との対話については以下の記事もお読みいただきたく存じますが、本稿は後者にスポットを当ててみます。 2018/06/25 公開の記事をアップデートしました。 問いを投げかけ考えさせ、せっかく生徒の発言…
教科会が年間スケジュールに組み込まれた定期開催となっている学校ばかりではなく、重要な確認事項があるときにのみ開催するというケースも少なくないようです。教科内の情報共有は主に職員室などでのカジュアルな対話を通じて行われているだけで、議論やすり合わせをしっかり行う場はなかなか確保できないというお話も耳にします。会議はそれ自体が時間という教育リソースを消費する活動ですので、できれば少ないに越したことはな…
1 板書の技術 1.0 板書の技術(序)1.1 (その1)深く確かな学びの実現に適切な板書は不可欠1.2 (その2)伝えるべきものを効率的に確実に伝えるために1.3 (その3)授業展開の各場面での板書とそこで学ばせるもの1.4 (その4)板書を辿り直して、学びの振り返り1.5 (その5)生徒のノートに残ったときをイメージして1.6 (その6)板書を補完するツールとしてのプリント1.7 (その7)生…
教科学習指導では、”学習目標は解くべき課題で示す“で書いたように、導入フェイズでターゲット設問を提示しておけば、学び終えてからその問いに立ち戻って答えを仕上げさせることで学習目標の達成を検証すると同時に、学びをより深く確かなものにすることができますが、探究活動や課題研究の場合、同じ手法が使えません。探究活動の目的から考えるテーマ選びでも申し上げましたが、探究活動では、生徒自…
課題研究や探究活動の成果発表会は、生徒一人ひとりが取り組んできたことを互いに知り、相互に新たな刺激を得る「相互啓発」の機会としてとても大切だと思います。先輩の発表を見た後輩たちも大いに刺激を受け、自分たちも頑張ろうとの思いを持ってくれるはず。こうして受け継がれていく成果と刺激は、やがて学校に「文化」を創り出していきます。さて、その成果発表会ですが、押さえるべきところをきちんと押さえないと、形だけの…
前稿(その1)でも書いた通り、課題研究/探究活動の成果発表会は、次学年に多くのものを引き継ぐための教育機会です。先輩学年が考察を重ねてもなお残った未解決の課題は、後輩学年の研究テーマになり得ますし、研究や考察の中で用いた/見出した優れた手法は、倣うべきものとして後輩たちにもしっかりと学ばせたいものです。自分自身で探究に取り組んだ経験は、大学で何を学びたいのか/学んだことを通じて社会とどう関わるのか…
機会あるごとに、各地の学校での探究活動/課題研究の発表会を参観させていただいております。プレゼンやポスターからは、生徒一人ひとりの頑張りや先生方がご指導に凝らした工夫の成果が伝わってきます。活動を通して得たもの(テーマに関する新たな知見のみならず、探究を進める上で必要なスキルや姿勢も含めて)を発表するのは、成果をまとめて、確かなものにする「仕上げ」のためですが、さらに大きな成果をより広い範囲に届け…