分業で行う出題研究のフィルタリング #INDEX

授業内外に用いる課題に、生徒が志望する/目標とする大学群の入試出題から選び出した良問を用いることで、様々な効果が得られます。今学んでいることが、どのような問われ方をするのかを知れば、学び方にも方向性が得られますし、解けたことで、自分の進路希望が「努力で届く範囲」にあると感じることからの好影響も小さくありません。過去問から好適な問題を選び出して授業に用いるためには、出題研究の充実が欠かせませんが、先…

分業で行う出題研究のフィルタリング(その6)

指導と評価に、良問を効果的に活用するには 出題研究を行い、そこから選び出した良問を学習指導に役立てる機会と方法には様々なものがあります。授業の課題/教材として活用すること以外にも、定期考査や実力テストの出題に転用したり、高い学力を備える生徒の意欲に応える任意課題としたりするケースなどもあります。いずれの場合でも、生徒に与える前に欠かさず行いたいことは、前稿でもふれた「生徒側のレディネスを確認するこ…

分業で行う出題研究のフィルタリング(その5)

選び出した良問は、指導カレンダーにきちんと配置 先生方の分業と協働によるフィルタリングを通じてせっかく選び出した良問ですから、きちんと指導カレンダー上に配置して、授業内外の課題として活用していきましょう。眠らせておいても意味はありません。その際、教科書などに沿って進行する単元と、出題の中心テーマが一致するものを機械的に配置していけば良いというものではありません。その問題/課題を使って、どんな能力(…

分業で行う出題研究のフィルタリング(その4)

作業全体の効率を高めるための手順(進め方) 生徒の進路希望の分布などに基づき出題研究の対象とする範囲(大学や学部)を決めたら、各々に担当を割り振って、第一段階の審査(価値の低い問題を予め除外するフィルタリング作業)に取り掛かりましょう。個々の授業/単元での授業のデザイン(指導計画の中への「良問」の配列とその使い方)の検討に十分な時間を確保できるように、如上の第一フェイズまではできるだけスピーディー…

分業で行う出題研究のフィルタリング(その3)

良問/悪問の選別は仲間と手分けして効率的に 様々な学力要素(知識や理解のみならず、21世紀型能力で言うところの「基礎力」や「思考力」を構成する能力群も含めて)をしっかり測定できる「良問」をどれだけストックできているかは、学習指導の効果を大きく分けます。それらを軸にした授業デザインは、新しい学力観の下での指導を可能にしますし、テスト問題として課せば、学力の向上過程を捉え、ここから何をどう学んでいくべ…

分業で行う出題研究のフィルタリング(その2)

出題の要求を知り、それを満たす活動を配列する 生徒が進路希望先として挙げる大学群の出題例を授業内外の課題とすることには、様々な効果(前稿を参照)が期待できますが、ただ持ち込むだけでは弊害の方が大きくなるリスクがあります。教室に持ち込む前に問題を十分に吟味し、その要求をしっかり把握し、それらを満たせるだけの授業をデザインしておかなければなりません。ときには、出題に加工を施すなどの対処が必要なこともあ…

分業で行う出題研究のフィルタリング(その1)

出題研究は授業作りの起点/土台を整える活動 出題研究は、授業デザインの土台作りです。教科書を使って教えている内容が、どのように問われ、どのように使う(=生きて働かせる)ことが求められるかを知ることは、教材の解釈に確固たる視点を持つ(学力観を更新する)上で欠かせませんし、「授業を通じて理解させたことを用いて解決する好適な問いや課題」を収集する場としても不可欠です。 2014/08/28 公開の記事を…

建学の精神/教育目標に照らした行動評価

学校には建学の精神や教育理念、教育目標といったものがありますが、生徒一人ひとりがそれらを卒業までに自身の思考や行動の中にどのくらい実現できたかは、学校の教育成果を測る重要な指標のひとつです。特色ある教育活動も、建学の精神や教育理念の下でデザインされているはずですので、精神や理念に照らした行動評価の結果は「学校の教育力を伝える新たなモノサシ」の一つになり得るのではないでしょうか。 2017/05/1…

目標を持った状態で巣立たせる

全国各地の学校が「特色ある学校づくり」にこれだけ意欲的に取り組む中、実現を目指す教育の価値やその成果を示す指標には、もっと様々なものがあって良いのではないかと感じます。例えば、卒業に臨んで「私はどうしてこの進路を選んだ、この道でこんなことをしてみたい」との思いをしっかり抱き、言葉にできる生徒の割合などは、その一つになり得るはずです。進学を志す生徒には、総合型選抜の拡充に伴い、志望理由書や学修計画書…

学びに向かう力/主体的な学習姿勢をどう評価するか

新課程への移行を機に、評価に対する関心が高まりました。特に、「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」と並んで『育成を目指す資質・能力の三つの柱』の一角をなす「学びに向かう力、人間性等」(評価の観点では「主体的に学習に取り組む態度」)についてはとまどいが先行する中で様々な議論が今もなお続いているようです。高大接続答申の記述では「主体性・多様性・協働性」、新学習指導要領では「学びに向かう力・人間性…

勘に頼らず、データに偏り過ぎず

新しい学力観に沿った学ばせ方や教育活動の確立を図るには、校内外の優れた実践に触れて発想を押し広げていく必要がありますが、それと並行して、新たに採り入れた取り組みや工夫の効果測定をきちんと行わないと、せっかくの努力も方向を失い、試行錯誤に生徒を巻き込みます。目指すものが変わる以上、これまでに蓄積してきた経験則や、そこから生まれる「勘」に頼るばかりでは立ちいかないことも増えます。とは言え、思考や判断、…

優先的に取り組むべき課題をどうやって選び出すか

各学校が掲げる「重点課題/目標」には、成果検証と実践共有を含めた全体計画を描き出して年間スケジュールに落とし込んでおく必要があるのは、別稿「教育手法開発・指導法改善への計画は万全?」で既に申し上げた通りです。しかしながら、その前段階で頭を悩ませるのが、「優先的に取り組むべき課題」をどのような手順で合理的に選び出すかという問題です。 建学以来、学校が大切にしてきている価値もありますし、現場で頑張る先…

考査問題と被験者学力のマッチング

考査問題の妥当性を評価し、最適化を図ることの重要性は以前の記事でも書いた通りですが、たとえ同じ問題であっても、どんな学力層の生徒に与えるかで「良問」にも「悪問」にもなり得ます。新しい学力観に沿った問題、出題研究の成果を存分に活かした問題でも実際にテストを受ける生徒(被験者)の学力とマッチしていないことがあります。課すべきか否か慎重な判断が必要ですが、先ずは個々の設問がどの学力層に合っているのか、見…

授業動画で優良実践の共有と教材観の擦り合わせ

ご自身の授業を動画に撮ってみる機会は、どのくらいの頻度であるでしょうか。別稿「自分撮りのススメ~自分の授業を客観的にみる」でも書いた通り、カメラを通して自分の授業を観てみると、セルフイメージが更新でき、それまで気づかずにいた改善課題の発見にも繋がりますが、残った授業動画を他の先生方と互いに共有してみるのもお奨めです。 ❏ 自撮りした授業動画には、様々な活用場面 ご自身の授業を動画に撮っておくと、様…

定期考査の出題計画作りで、指導目標の確認と目線合わせ

新しい学力観に沿った学ばせ方への転換を図るべく、様々な場面で工夫が重ねられる中、どのような学力を獲得させていくのか、時々は立ち止まって、周囲の先生方との間で確認と目線合わせを行いたいところ。確認と目線合わせと言っても、あれこれ話し合ってみるだけでは、議論が空回りしたり、具体的なところを共有できなかったりします。そこで採り入れてみたい活動が、教科会や学年教科で行う「定期考査の年間出題計画作り」とそれ…

出題研究の成果を踏まえて、考査問題のアップデート

高大接続改革を皮切りに、新課程への移行を経て、大学入試のみならず中高入試にもかなり大きな変化が生じてきたと感じます。新たな出題/問い方への挑戦に「作問技術」がまだ追いついていない部分もないとは言えませんが、今後も出題の改善は続いていくものと思われます。新しい学力観に沿った学ばせ方を実現すべく、指導の方法に様々な改善が重ねられている中、その成果を測る方法(=評価方法)もそれに合わせたものに更新しなけ…

受験学年のスタートに向けて(まとめ)

所謂「ゼロ学期」も残り半分といったところでしょうか。これまでに重ねてきた先生方のご指導の成果として、4月に最上級生となる生徒には受験生としての意識も十分に芽生えてきたものと拝察いたします。ここから先も、進路意識の形成(進路希望作り)と具体化を目指して、自分と向き合っていく個々の生徒への支援と指導に加えて、進路希望/なりたい自分の実現に向けたそれぞれの努力を生徒が互いに尊重し、頑張りを支え合う集団(…

生徒が互いの頑張りを支え合う集団作り

年度替わりは、生徒が互いの頑張りを支え合う集団作りの大切な時期です。新入生はもとより、進級する生徒もそれぞれ何かしらの希望や決意を抱いて新学期を迎えます。特に最上級生となる生徒は自らの進路希望の実現に向けて気持ちを高めていますので、「志望を同じくする生徒が互いの頑張りを支え合うコミュニティ」の創出に何か仕掛けるのには、今が絶好機ではないでしょうか。じっくり作戦を練って臨みましょう。 2017/03…

PISAが測ろうとしている「創造的思考力」

先日の新聞(朝日2024年2月12日)に「AI時代、PISAが問うのはOECD・武内良樹事務次長に聞く」と題する記事がありました。ご存知の通り、PISA2022では、参加した81の国や地域の中で数学的リテラシー5位、科学リテラシー2位、読解力3位(OECDの37か国では数学と科学が1位、読解力が2位)という結果でした。順位が回復したことは好ましいことだろうと思いますが、PISAではこの3分野だけで…

前向きな気持ちで高校生活をスタートさせる

入試シーズンも後半戦に入り、新入生を迎えるのも間もなくです。4月の教室に集まるのは、第一志望を貫き、その実現に努力を重ねてきた生徒が多いと拝察いたしますが、中には第一志望だった別の学校で不合格だったために入学して来る生徒や、成績が伸びないなどの理由で出願前に志望を切り下げてしまっていた生徒もいるかと思います。第一志望以外での入学でも、きちんと気持ちを切り替え、前向きになっているなら問題ありませんが…