小テストをもっと効果的に(その2)

小テストは、知識の定着を促すには有効な手段の一つになり得るのは確かです。「思い出す練習」を重ねることは、知識を想起しやすいものに変えていく効果も備えますし、覚える力の向上も図れるでしょう。しかしながら、そうした効果も、生徒が目的意識をしっかり持って小テストに臨み、きちんと覚える努力を重ねてこそ得られるもの。手を抜く生徒にどうやってやる気にさせるかという別の問題もあります。また、小テストへの取り組み…

小テストをもっと効果的に(その1)

授業等で学んだことを定着させるために行う小テスト。授業で習って、復習で覚えて、テスト用紙に再現してと、最低3回は対象知識の記銘機会を作れるだけに、記憶への刻み付けには一定の効果が期待できます。しかしながら、小テストだけではカバーできないことや、頼りすぎることで生じる弊害(副作用)も少なくありません。これらを踏まえて、その効果的な活用を改めて考えてみる必要がありそうです。 2015/02/26 公開…

学ばせ方の転換で、家庭学習の充実が求められる

別稿でも書いた通り、新しい学力観に沿って、学ばせ方や授業デザインの転換が図られる中、予習や復習、宿題などの授業外課題の位置づけやそれらへの取り組ませ方も自ずと変わってくるはずです。教室の中でしかできないこと(対話や協働を始めとする様々な活動)と生徒が個々に取り組む学習活動でできることの間に明確な線を引くことは「新課程が求める学び」に近づくための大前提ではないでしょうか。 教室での対話を通じて学びを…

活動を配列するときに考えるべきこと #INDEX

主体的・対話的で深い学びの視点での授業改善が図られる中、各地で授業を拝見していても実に様々な活動が授業の中に組み込まれています。途切れることなく配列されたアクティビティに、生徒がノンストップで取り組んでいる光景もすでに珍しいものではありません。しかし、多彩なアクティビティの中で生徒同士の対話が増え、活動性が高まっても、それが主体的で深い学びになっているかどうかは、また別の話ではないでしょうか。学習…

活動を配列するときに考えるべきこと(その4)

個人で取り組ませる活動、教室外に設ける活動 授業内外に配列する学習活動には様々なものがありますが、いくつかの分類軸を設けてみると整理がつきやすく、すべての活動について配列上の考慮を十分に巡らせているかの点検に抜け落ちを減らせます。ひとつめは「個人で行うか、ペアやグループで行うか」での分類です。個々に行う活動というと、練習や問題演習がすぐに思い浮かびますが、教科書や資料を読むことにも、基礎力(言語、…

活動を配列するときに考えるべきこと(その3)

活動を通じて目指すはコンピテンシーの増大 授業内にアクティビティ(活動)をどのように配列するかを考えるときには、その前に「できるようにさせたいこと」(到達目標)をはっきりさせておくことが大切です。ここでの到達目標には、学習内容の理解だけではなく、内容(コンテンツ)を学ぶことで獲得する能力や資質(コンピテンシー)、加えて学びの姿勢と方法なども含まれるはずです。目標をしっかり見据えて、その達成に必要な…

活動を配列するときに考えるべきこと(その2)

チェックポイントを意識した練習や作業 授業中に配列する活動は、くれぐれも自己目的化させないようにしたいもの。漫然と活動したところで成果は大きくならず、目的を達成できたとの実感を得なければ次へのモチベーションも生まれません。活動の一つひとつに目的意識を持ち込ませるというのは、「できるようになること/気を付けるべきこと(チェックポイント)」をあらかじめ生徒にしっかりと認識させることにほかなりません。チ…

活動を配列するときに考えるべきこと(その1)

活動の一つひとつに目的を持たせる 主体的・対話的で深い学びの視点での授業改善が図られる中、各地での授業を拝見していても様々な活動が授業の中に組み込まれるようになりました。途切れることなく配列されたアクティビティにノンストップで生徒が取り組んでいる光景もすでに珍しいものではありません。しかし、活動性が十分に高まっていても、それが主体的な学びになっているか、深い学びになっているかはまた別の話のようにも…

目次を使って"全体像"を捉えさせる

単元ごとに学んできて、それまで個々バラバラの知識にしか感じられなかったものが、何かのきっかけ(重ね塗りによる復習もその一つ)で互いの関係性が掴め、「統合感」のようなものを得ることがあります。統合された各単元が描き出す科目の全体像が見えることで、背景や奥行きにも認識が届き、より深い学びも生まれますし、その科目を「得意」と感じるようになるきっかけとなることも多々あります。 2017/05/09 公開の…

復習は間隔をおいた"重ね塗り"で(その2)

授業で形成した理解や獲得させた知識の定着を図りたいなら、間隔を空けて薄く幾重にも重ね塗りしていくことが大切です。前稿では、 という3回目までの再記銘(加えて、理解の深化と学びの拡張)の機会について触れましたが、本日は、もう少し間隔の大きなサイクルでの再記銘(重ね塗り)について考えます。 2017/11/22 公開の記事をアップデートしました。 ❏ 単元を終えるときに作るプレゼンテーション 単元を終…

復習は間隔をおいた"重ね塗り"で(その1)

理解したことを記憶に定着させようとするときには、間隔を空けて幾度も「薄く塗り重ねていく」のが好適です。短い期間で一気に厚塗りをしようとしても、狙い通りには行かないものと心得ましょう。授業や副教材で学ばせたことを小テストで確認し、覚えていなかったら再テストまでして定着させたつもりなのに、定期考査で同じ範囲から再出題してみたら期待を下回る結果という経験はないでしょうか。忘却曲線を引き合いに出すまでもな…

目標の示し方、導入の工夫

1 学習目標の示し方 Updated! 1.1 学習目標の示し方(序)  (その1)目標を共有することの効能  (その2)目標に立ち返り成果を確認  (その3)学び方の獲得も重要な目標1.2 学習目標が伝わらない?(前編、後編)1.3 解くべき課題は明らかなのに学習目標がわからない? 2 解くべき課題を通した目標理解 2.1 学習目標は解くべき課題で示す ★ ・単元ごとに設定するターゲット設問 ・…

活動性を高める方法と効果

1 活動性を高め、成果を可視化する 1.1 アクティビティと学習効果1.2 グループワークで作る学びへの積極姿勢1.3 チェックリストを用いた目標提示と達成検証 ・練習場面での成果確認 ・活動の成果を可視化する(英語の音読を例に)1.5 活動させるだけでは学ばせたことにならない ★ ・“アクティブ・ラーニング”で学習時間が減る? ・答えを仕上げる中で学びは深まる ★ ・確認…

質問をした生徒の意図をきちんと捉えているか

質問者の意図を捉えるのは思いのほか難しく、的確に答えたつもりなのに、相手の顔からクエスチョンマークが消えないこともしばしばです。質問者が、自分の中の「もやもや」の正体を捉えていないことも多く、言葉になった部分に答えただけで、不明を解消できるとは限りません。日々の教科学習指導でも、進路などの面談でも、質問や相談が上手にできない生徒(=不明や悩みを特定/言語化したり、必要な助けを求められない生徒)がい…

アイデアを膨らませ、まとめる方法への習熟

生徒に新しいアイデアを出させるためには、事前に行う調べ学習が重要というのは別稿でもお伝えした通りです。そこで得た様々な情報を関連付けたり構造化したりすることで、アイデアを考える土台が整います。本稿では、調べ学習の中で得た知識や気づきを拡張しながら、整理していくフェイズでの指導の工夫を考えてみたいと思います。 2019/11/26 公開の記事をアップデートしました。 ❏ 様々なツールを使い、思考を深…

途中でも、その時点で成果を共有

別稿「積極的に活動させるツボ(全3編)」では、授業内活動に生徒を積極的に参加させるための工夫を考えました。あちこちの学校を訪ねて授業を拝見してみると、生徒が活動性を下げてしまう瞬間には、まだまだ色んなパターンがありそうです。(cf. 不用意な“待て”をかけない)生徒一人ひとりに調べる、考える、まとめるといったタスクに取り組ませるときも、グループなどで話し合わせるときも、限られた時間の中で活動の密度…

受験期は、またとない成長の好機

生徒にとって受験期は、自分の希望を叶えるためとはいえ、大なり小なりの不安を抱えつつ、他のことを脇に置いて頑張る時期です。つらさやストレスを感じる日々ではあるのは確かですが、 など、この期間を通してこそ得るもの(成長)は小さくないはずです。生徒は渦中にいるだけに、他の誰かが伝えてあげなければ、せっかくの受験期を、その意義を知らぬままに終えてしまうかもしれません。それを伝えるのは、先生方をおいて他にい…

目標を見つける入り口~日々の学びでの興味・関心

目標を持った状態で巣立たせるには、日々の学びの中に興味や関心を見つけてもらうことがスタートです。興味は自力で考え工夫して達成したこと(=できるようになったこと)の中に生まれ、関心は「自分事」として認識できる課題に触れて芽生えてきます。せっかく生まれた興味・関心もそのままにしては、深化・拡張することなく埋もれてしまいます。機を逃すことなく、探究的な学びで興味を掘り下げ、関わりの視野を広げることで、「…

学んでいることの有用性に気づかせる

勉強は「役に立つからする」「役に立たないからしない」というものではありませんが、それでも「学んでいることが何かの役に立ちそうだ」と思えれば、身の入り方が変わってくることも確かです。手元のデータもそれを裏付けています。 履修の途中(あるいは入り口)にいる生徒や学生にとって、学びを進めた先にどんな利益や活用の場面があるかは、容易には想像できないはずです。解くべき課題で「何のために学んでいるか」を伝える…

興味関心と自ら学ぶ姿勢とのギャップ

主体的に学ぶ姿勢、自ら調べたり考えたりする態度を獲得させることが指導上の重要目標であるのは言うまでもありません。教室で生徒に知識や技能を身につけさせても、社会の変化や科学の進歩の中で、それらがいつまでも価値を持つとは限らず、知識は常に獲得/アップデートする必要があり、生徒には自ら学び続ける姿勢が求められます。自ら学ぶ姿勢を持つには、対象への興味関心が不可欠でしょうが、要件はそれだけではなさそうです…