月: 2021年11月

進路希望を作る指導[進路意識形成](まとめページ)

生徒の進路希望の実現を支えることは、指導に当たる先生にとって大事な仕事の一つであるのは間違いありませんが、それに先立ってしっかり行うべきは、生徒一人ひとりが明確な理由を持った進路希望を持てるところまで、選択に至るプロセスをきちんと踏ませていくことです。 進路希望を作り上げていく過程で、調べるべきことを調べ尽くしていなかったり、考えるべきところできちんと対象や自分に向き合っていなかったりしたら、作り…

ネット上の記事や情報をプリント/スクラップするときに

ネット上の情報(記事やデータなど)を資料として保存しておきたいときは少なくないと思います。ブックマークやコレクションで管理するのが一般的でしょうが、必要な部分を切り出してPDFでスクラップしておきたいこともあります。PDFなら、フォルダという使い慣れた、自由度の高い方法で分類整理が簡単にできる上に、「資料を読んで自分で考えたこと」や「他の資料との関連付け」などを資料内にノートしておけるのもメリット…

高大連携や進路関連のイベントに外部人材を活用 #INDEX

進路指導やキャリア教育、探究活動など、校外から講師や助言者などを招いて行う行事/イベントは多岐にわたります。研究や実業の場で日々活躍している人との接点は、生徒にとって大きな刺激と啓発を与えてくれますが、そうした人をただ招くだけでは、生徒の成長(考えや行動の変容)に狙った通りの大きな効果が得られるとは限りません。行事やイベントを設定できる日程、開催のチャンスには限りがありますので、貴重な機会の一つひ…

高大連携や進路関連のイベントに外部人材を活用 #3

高大連携や進路関連のイベントには、講演会や成果発表会など以外にもワークショップ形式のものがありますが、近年、主体的・対話的な学びが重視される流れの中で、ワークショップの形式をとるもの(あるいはその要素を含んだもの)の比率が高まってきているように感じます。ここでも、外部から招いた人材をファシリテーターなどに上手に活用すると、教育効果はより大きくなることもありますし、先生方にとっても新たな発想を得て、…

高大連携や進路関連のイベントに外部人材を活用 #2

前稿で取り上げた外部講師による講演以外にも、校外から専門家などを招いて行う生徒向けの行事には、探究活動や課題研究の成果発表会での指導講評などもあります。「総合的な探究の時間」の導入で、その機会は今後ますます増えていくものと思われます。 発表した成果に対する講師からの指導や講評は、これまでに取り組んできたことをきちんと評価してもらうと同時に、これから先の取り組みに方向性を見つけるための貴重な機会。次…

高大連携や進路関連のイベントに外部人材を活用 #1

高大連携や進路関連のイベントは、生徒に大きな刺激と成長のきっかけを与えますが、先生方だけでなく、参加する生徒にとっても貴重な時間を投じるだけに、費用対効果はできるだけ大きくしたいものです。 指導計画全体で目指していた所期の目的を達成するには、イベントが単発のもので「閉じて」はいけません。計画全体の中で明確な位置づけがなされる必要があるはずです。 事前の指導や事後の指導と一体化して、イベントが企画・…

体験学習をただの体験で終わらせない

多くの学校が、生徒に様々な「体験学習」の場を用意しています。農村や里山などを訪ねたり、防災活動などで地域社会に関わったり、各校の教育意図から生まれたプログラムには大きな期待が向けられています。修学旅行や海外研修でも、以前に比べて意図の明確なものが多くなっているのは、先生方もお感じになっておられるところだと思います。しかしながら、実際の運用を拝見する中、せっかくの貴重な体験が生徒にとって有為な学びに…

探究活動の課題~調べ学習との境界と進路への接点

各地の学校で行われている探究活動や課題研究を拝見する中、生徒の取り組みにはいくつかの類型的な問題点があるのではないかという思いを強くしています。とりわけ、 調べ学習と探究活動の境界がどこにあるか理解していない わかっていることを調べ尽くす前に先に進もうとしている 選んだテーマに「自分ごと」としての関わりを見出していない などは、少なからぬ生徒に見出される特徴ではないでしょうか。これらはいずれも、探…

教室の中で「興味が生まれる瞬間」を体験させる

自分が何に興味を持つか、実際にやってみる/経験してみるまでわからないもの。体験の中に興味が生まれます。全く興味のなかったことにチャレンジせざるを得ない状況におかれ、仕方なくやってみたら面白く、すっかりはまってしまったという経験をお持ちの方も少なくないかと。教室/学校は、生徒の意思に拘わらず、指導計画に基づいて様々なことを生徒に経験させることができる数少ない場です。すべての教科の学習を繋げば、世の中…

知識の獲得は個人の活動を通じて

授業デザインを考えるとき、生徒が個人の活動で取り組むべきものと、集団の中での協働でしか学ばせられないものとを区別しておかないと、各単元で扱うべき学習内容を限られた指導機会に納めきれません。新課程では、学ぶべき内容は減らない中、対話を通した深い学びを実現することが求められます。授業時間という枠が同じところにより多くのものを詰め込むのは、相当の工夫なしには困難です。授業内に散らばる小さな無駄を省いて隙…

知識をどこまで拡張するかは個々のニーズに合わせて

授業を進める中で、生徒に獲得させる知識をどこまで拡張するか。そう簡単には判断がつかない問題です。難関私大をその科目で受験する生徒を考えれば、ある程度は細かいところにも触れておく必要もあるでしょうが、クラスにはそうした生徒ばかりではありません。前者のニーズを満たそうとすると他の生徒には過剰な負担を与えかねません。学ばせる範囲を拡張し過ぎては、やりきれずに放置してしまう生徒も出てきますし、他教科の学び…

認知の網の広げ方~5教科7科目をきちんと学ばせる

前稿「5教科7科目に挑ませることの意味」では、学ぶ科目を早くから絞らせず広くしっかり学ばせることの意味を「認知の網を広く偏りなく張らせること」と「各科目の内容を学ぶことを手段に獲得した能力・資質を汎用性の高い、より有益なものにすること」の2つに求めました。とは言え、生徒にとって多くの科目を学ぶのは負担に感じるところも大きく、「直接的な必要性がないと思える科目」の勉強はつい手を抜いてしまいがち。担当…

5教科7科目に挑ませることの意味

国立大を「一般選抜」で志す受験生は、原則として5教科7科目(25年からは「情報」が加わり6教科8科目?)を勉強しなければなりませんが、それ以外の生徒(大学に進学しない生徒も含めて)にも、出来るだけ多くの科目を最後までしっかり勉強してもらいたいと考えます。進路希望実現のための要件を満たすだけなら、必要最小限の科目に絞って勉強する方が「得点力向上のコストパフォーマンス」は高くなるかもしれませんが、こと…

しっかり音読、問いを立てて理解の深化(英語の授業例)

ある学校を訪ねて参観した英語の授業では、教科書本文の音読を様々なバリエーションで徹底的に行った上で、生徒が3人1組になって本文の内容に関する「問い」をそれぞれ作っていました。A君の問いにはB君が、B君の問いにはC君がといった具合に互いに答えを作ります。音読を重ねる中で、英文の構造なども十分に把握し、内容を捉えていく様子が見て取れましたし、後半のQ&Aを作るパートでは辞書の活用や教え合いなどで不明を…

共通教材を使用していても…効果測定と実践共有を着実に

複数の先生方が同じ教科書・副教材を使ってクラスを分担するケースは少なくありませんが、定期考査の共通化(評価の公平さを保つには不可欠です)に加えて、プリントやワークシートなども共有が図られているのに、教材の使い方などに担当者間で小さからぬ違いが生じていることが少なくありません。指導案の解釈にも差がありそうです。例えば、ワークシートを埋めさせるところでも、説明を聞かせるだけの先生もいれば、問い掛けて生…

失敗を積極的に経験させる#INDEX

生徒に限らず、人は失敗をしながら学ぶのだと思います。既にできるようになっていることしかやらなければ、失敗のリスクは小さいでしょうが、そこに大きな成長は見込めないはずです。達成感も希薄でしょう。今できることの少し上に挑んでこそ、それをクリアするのに現状の自分に足りないものに気づけます。既に跳べる段数の跳び箱を繰り返しても飛べているだけに「これで良し」と思い込んでしまうかもしれません。何かに挑戦して最…