知識の活用、学びの仕上げ

目標理解と活用機会を整える授業デザイン

学習目標を正しく認識した上で、習ったことを用いた課題解決を経験することで、生徒の学びは着実に成果(=学力の向上や自分の成長)を結ぶようになります。学習目標を提示するには、解くべき課題をもって行うのが最も効果的であるのは別稿で申し上げた通りであり、獲得した知識・理解の活用機会を整えることには一石二鳥の効果が見込めます。これに、対話による気づきの交換を重ねることが加わることで、学びはより深く広いものに…

実技実習の授業に「振り返り」がもたらす効果

実技実習系に限らず、どの教科でも学び終えた段階できちんと「振り返り」を行うことは、生徒一人ひとりの学びに様々な効果をもちます。自分の取り組みやパフォーマンスを振り返る中で、授業を通じて新たにできるようになったことの「たな卸し」ができれば科目への自己効力感が高まりますし、今日の自分に足りなかったことを捉えれば「次に向けた課題形成」ができて、学びに目的が生まれます。 2016/08/25 公開の記事を…

協働学習を"集団としての調和"で終わらせない

教室内での問答や討論などで実現される「対話的な学び」は、生徒が互いの知識や経験、発想や気づきを交換することで学びをより深いものにするのに加え、一人では解決できない課題に取り組むときに「集団知」をどう生かすかを学ぶのにも欠かせないものです。しかしながら、対話が盛り上がったかどうかと、一人ひとりのうちに学びの成果が蓄積され、深く確かな学びになっているかどうかは別の問題です。集団としての調和が生まれ、学…

考えるための道具(体系的知識)を揃えさせるときの手順

思考のための道具は知識です。どの単元を学ぶときでもある程度まで体系的な知識を整えさせないと、その先に取り組むべき思考・判断・表現といった活動には進めませんが、体系的な知識を形成しようと先走り、導入フェイズから長々と説明を聞かせては生徒は退屈するばかりです。その日の授業で学ぶことに「興味」や「理解する必要性」を感じ取る前にあれやこれやと説明を聞くのを苦痛と感じる生徒もいるでしょうし、抽象概念を消化す…

散布図中の位置で探る改善課題[活用機会×学習効果]

昨日の記事でお伝えした通り、「授業を受けて獲得した知識や理解を用いて、問いに解を導いたり様々な課題に解決方法を考えたりする機会」をどれだけ整えたかは、生徒の認識にある「授業を受けての学力向上/自分の進歩の実感」を大きく左右します。下図は、横軸に【活用機会】の得点を、縦軸に【学習効果】の得点を配して作成した散布図です。各得点は、下表の方式で5択(とてもそう思う~そう思わない)の回答選択率に基づいて算…

5分間アウトプットの費用対効果

学力の向上や自分の成長や進歩を実感するには、 という2つの要素に加えて、 が欠かせません。学習目標の把握には「解くべき課題」が必要であり、活動を自己目的化しないためには「目標の認識」が不可欠という因果関係から、これら3項目は互いに強固な相関で結ばれています。 表の画像をクリックすると元の記事を参照いただけます。 振り返りのためのアウトプットで申し上げた通り、インプットに不備や不足があっても、理解し…

知識活用の機会を整えて授業改善を加速

ようやく夏も終わりそうですが、今年も多くの学校の授業評価アンケートのデータをお預かりして、分析させていただきました。データからは様々な「問い」をもらいます。それまで考えていたことだけでは、説明がつかないデータのことです。そのたびに、あれこれ考えて「データを説明できる仮説」を作り、実際に授業を観に行ってそれを確かめたりするのは、なかなか骨の折れることではありますが、ことのほか楽しい時間でもあります。…

書くことと振り返りが学力を伸ばす

――親の学歴や年収が同じくらいの子どもが通う学校の中で、全国学力調査の成績が良かった学校は、自分で調べたことを文章にさせる指導や授業の最後に学習を振り返る活動などを取り入れていた。――ご覧になられた方も多いかと存じますが、7月8日の朝日新聞朝刊に掲載されていた記事です。 記事のもとになった平成25年度全国学力・学習状況調査(きめ細かい調査)の結果を活用した学力に影響を与える要因分析に関する調査研究…