問答・対話、発言、活動

今日の授業でどんな気づきがあったか

授業終了のチャイムが間もなくというタイミングで、生徒に「今日の授業でどんな気づきがありましたか」と尋ねている先生がおられました。いつものことなのか、生徒は戸惑いも見せず、ササっとノートに鉛筆を走らせ、書き終えるとすぐに隣同士で見せ合います。授業のルーチンの一部として「学びの振り返り」が習慣化しているようでした。日々の授業で「本時に得た気づき」を言語化することを習慣づけておけば、授業中に得る瞬間ごと…

活動を配列するときに考えるべきこと #INDEX

主体的・対話的で深い学びの視点での授業改善が図られる中、各地で授業を拝見していても実に様々な活動が授業の中に組み込まれています。途切れることなく配列されたアクティビティに、生徒がノンストップで取り組んでいる光景もすでに珍しいものではありません。しかし、多彩なアクティビティの中で生徒同士の対話が増え、活動性が高まっても、それが主体的で深い学びになっているかどうかは、また別の話ではないでしょうか。学習…

活動を配列するときに考えるべきこと(その4)

個人で取り組ませる活動、教室外に設ける活動 授業内外に配列する学習活動には様々なものがありますが、いくつかの分類軸を設けてみると整理がつきやすく、すべての活動について配列上の考慮を十分に巡らせているかの点検に抜け落ちを減らせます。ひとつめは「個人で行うか、ペアやグループで行うか」での分類です。個々に行う活動というと、練習や問題演習がすぐに思い浮かびますが、教科書や資料を読むことにも、基礎力(言語、…

活動を配列するときに考えるべきこと(その3)

活動を通じて目指すはコンピテンシーの増大 授業内にアクティビティ(活動)をどのように配列するかを考えるときには、その前に「できるようにさせたいこと」(到達目標)をはっきりさせておくことが大切です。ここでの到達目標には、学習内容の理解だけではなく、内容(コンテンツ)を学ぶことで獲得する能力や資質(コンピテンシー)、加えて学びの姿勢と方法なども含まれるはずです。目標をしっかり見据えて、その達成に必要な…

活動を配列するときに考えるべきこと(その2)

チェックポイントを意識した練習や作業 授業中に配列する活動は、くれぐれも自己目的化させないようにしたいもの。漫然と活動したところで成果は大きくならず、目的を達成できたとの実感を得なければ次へのモチベーションも生まれません。活動の一つひとつに目的意識を持ち込ませるというのは、「できるようになること/気を付けるべきこと(チェックポイント)」をあらかじめ生徒にしっかりと認識させることにほかなりません。チ…

活動を配列するときに考えるべきこと(その1)

活動の一つひとつに目的を持たせる 主体的・対話的で深い学びの視点での授業改善が図られる中、各地での授業を拝見していても様々な活動が授業の中に組み込まれるようになりました。途切れることなく配列されたアクティビティにノンストップで生徒が取り組んでいる光景もすでに珍しいものではありません。しかし、活動性が十分に高まっていても、それが主体的な学びになっているか、深い学びになっているかはまた別の話のようにも…

問答・対話、発言、活動

1 問い掛けの多い授業が良い授業 Updated! 1.0 問い掛けの多い授業が良い授業(序)1.1 問い掛けのタイプとその機能1.2 問い掛けにきちんと反応させる仕掛け1.3 生徒自身から問いを引き出す関連記事:プロセスに焦点を当てた問い 2 生徒を指名して発言させるとき 2.0 生徒を指名して発言させるとき(序)2.1 生徒を指名して発言させるとき(その1)2.2 生徒を指名して発言させるとき…

質問をした生徒の意図をきちんと捉えているか

質問者の意図を捉えるのは思いのほか難しく、的確に答えたつもりなのに、相手の顔からクエスチョンマークが消えないこともしばしばです。質問者が、自分の中の「もやもや」の正体を捉えていないことも多く、言葉になった部分に答えただけで、不明を解消できるとは限りません。日々の教科学習指導でも、進路などの面談でも、質問や相談が上手にできない生徒(=不明や悩みを特定/言語化したり、必要な助けを求められない生徒)がい…

対話が思考を育み、深い学びを実現する(まとめ)

新課程への移行を機に、「新しい学力観に沿った学ばせ方への転換」が急ピッチで進んできました。これまでの取り組みとその成果を検証して次フェイズに向けた新たな課題形成を図る動きも、各地に見られます。学校広報においても、これまで/これからの取り組みをただ並べて見せるだけの場合と、きちんと効果測定を行い、その中に見出された新たな課題に具体的な戦略を描いて取り組む姿勢をしっかりと伝えている場合とでは、学校に向…

考え尽くした結果を伝えることはコミュニティへの貢献

問いやお題を与え、一人ひとりに調べたり考えさせたりさせ、その成果を持ち寄ってシェアさせれば、欠けていた理解や気づきを互いに補うことになり、学びがより深く広いものになります。調べる時のソースが違えば、互いに矛盾する情報が見つかることもあるでしょう。それぞれの信ぴょう性を評価したり、矛盾に対処したりする知恵を働かせる(=力を鍛えて評価する)好機が教室に生まれます。同じものを参照しても、そこから拾い上げ…

多様性をどう評価するのか

多様性は、主体性、協働性とともに学力の第3要素を構成するものですが、いざ、獲得を図らせ、評価を行おうとすると、いったい何を指しているものかピンと来ないもの。評価の観点を立てるのにも戸惑います。辞書的な意味としては「コミュニティや群の中にいろいろな性質のものが存在して、変化に富んでいること」ということでしょうが、学習を通じて目指すべきところは、個々の生徒が「様々な考えや立場があることを想定/受容した…

協働場面における個々の生徒の評価をどう行うか

協働で課題解決に生徒が取り組んでいる場面での「個々の生徒の評価」はどうすべきかとのご相談をいただくことが少なくありません。最終的に導き出された答えや発表の内容を、評価基準に当てはめて採点すれば、グループとしての成果(どこまで理解が進み、知識を得たか。思考をどこまで深めたか。表現は効果的で適切かなど)は測れますが、個々のメンバーについての評価には馴染みません。メンバーの組み合わせが変われば、「成果」…

対話の前後に取り組ませる個人ワーク

授業評価アンケートの集計結果を見ていると、教室での対話的な学びはますます充実してきたように感じます。「話し合いなどの協働で、気づきや学びの深まりが得られるか(対話協働)」を尋ねた項目で、回答の9割以上を積極的な肯定が占めるケースもかなり増えています。しかしながら、対話協働の換算得点が上昇しても「授業を受けて学力の向上や自分の進歩を実感できるか(学習効果)」への肯定的回答が占める割合の向上に直結する…

教わって知ったことvs気づいてわかったこと

授業のスタイルは実に様々ですが、個々の授業を特徴づけるパラメータの一つに「問い掛けの多さ」があります。教わったことを一つひとつしっかりと覚える努力も大事ですが、学び手の側からすれば、自らの気づきがないものを覚えるだけでは面白みもなく、自分ごととして学びに向かう意欲も維持しにくいかと思います。調べさせたり、考えさせたりして、生徒が自ら気づいてわかったことをどれだけ多く出来るかが問われるところ。調べた…

問い掛けの多い授業が良い授業 #INDEX

問い掛けには、様々な役割と機能があります。知識や理解を確かめるという基本機能に加えて、問題意識を刺激する、思考や行動を引き出す、着眼点を獲得させる、課題解決のプロセスを共時的に体験させるといった場面でも、問い掛けは大きくその役割を果たしてくれます。学びの場に必要な生徒への働きかけの大半は、問い掛けで実現できるのかもしれません。題意を理解する、解法を考える、多様な立場や取り組み方があることに気づかせ…

問い掛けの多い授業が良い授業(その3)

生徒自身から問いを引き出す 問い掛けには、生徒に記憶を検索・想起させたり、問題意識を刺激して思考や内省を促したりする機能があります。発想や着眼点を広げさせたり、行動を起こさせたりする場面でも、説明や指示よりも問い掛けの方が効果的なことも少なくありません。(前々稿参照)前稿、前々稿では主に、先生から生徒への問い掛けについて考えてきましたが、教室という学びの場を考えると、生徒から生徒への問い掛けもあれ…

問い掛けの多い授業が良い授業(その2)

問い掛けにきちんと反応させる仕掛け 前稿の通り、発問を軸にして授業を構成することには、生徒の思考や行動を引き出したり、説明などの情報をしっかり受け止める態勢を取らせたりする効果があり、課題解決のプロセスを共時的に体験させていくにも、発問は重要なガイドになります。cf. 問答を通じて論理性を養うどんな問いを発するかで、生徒が身につける学力がまったく違ったものになるのは、拙稿「どんな問いを立てるかで授…

問い掛けの多い授業が良い授業(その1)

問い掛けのタイプとその機能 教室で行う発問の役割は、知識の有無や理解の正しさを確認するだけではありません。発問をきっかけに生徒の思考や行動を引き出すことも可能ですし、問いを真似ることで生徒は先生の思考を再現できるようになります。また、問うことで問題意識を刺激しておけば、情報をしっかり受け取る準備も生徒の側で整うというメリットも生まれます。確かな学び、活発な思考と行動、問題意識を持った深い学びが発問…

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対話を通じた深い学びを実現するには、ペアやグループでの生徒同士の話し合いに加えて、問答を通じた「先生との対話」や、教科書や資料、副教材を問いを立てながら自力で読んで理解する「テクストとの対話」の充実も図る必要があるのは、昨日の記事で書いた通りです。また、生徒同士の対話にしても、バリエーションは顔を突き合わせ直接的に交わす会話(話し合いや教え合い)だけではありません。先生と他の生徒の間で行われている…

発問で引き出した生徒の発言をどう扱うか

対話的な学びを実現するのに、生徒同士の対話ばかりを増やしても十分とは言えません。教科書や資料を読んでのテクストとの対話や、問答を通した先生との対話をしっかり充実させる必要があります。テクストを介した先人との対話については以下の記事もお読みいただきたく存じますが、本稿は後者にスポットを当ててみます。 2018/06/25 公開の記事をアップデートしました。 問いを投げかけ考えさせ、せっかく生徒の発言…