問答・対話、発言、活動

問答を通じて論理性を養う(その3)

問答を通じた論理性・思考力の涵養は、すべての科目を選ぶことなく学ばせられる高校のうちにこそ推し進めたいところ。様々なジャンルを対象に思考の訓練を重ねた方が、より汎用性の高い力が得られます。しかしながら、生徒の思考を引き出しながら問いを重ねようと、ただ発問を増やしてみても、生徒の反応が鈍いままというケースも少なくありません。「正解を言い当てることではなく、自分の考えを言葉にすること自体が求められてい…

問答を通じて論理性を養う(その2)

スクール形式で行う、一見すると講義形式のような授業スタイルでも、頻繁に問いが発せられ、生徒の発言をきちんと拾い上げて次の問いに繋ぐという流れができていれば、生徒の頭を十分にアクティブな状態にすることができます。問いを重ねるということは、思考を掘り下げることであり、また見落としを減らし視座を広げることに繋がっていきます。もちろん、協働性を身につけさせる場では、各地で研究されどんどん開発されている&#…

問答を通じて論理性を養う(その1)

生徒に論理性や思考法を身につけさせる最上の方策の一つは、先生との問答(対話)です。問いを投げかけ思考させ、考えたところを言葉にさせることで、思考そのものやその土台となる観察の欠落に気づくことができます。外からの問いによって、それまでの考えを相対化させることは、より合理的な答えに近づくために欠かせないものだと思います。 2015/04/22 公開の記事をアップデートしました。 ❏ 考え方そのものを身…

既習内容の確認は、問い掛けで

新しい単元を学ばせるときには、関連する既習内容をきちんと理解しているか/覚えているかを確かめないと、どこまでを前提に学びを始めさせれば良いか見極めることができません。土台ができていないところに建材を組んでも上手くいくわけがありませんよね。確かめるには、問い掛けて生徒のアタマにあることを言葉にさせるのが最も効果的。わからないこと/思い出せないことがあったとしても、以前に学んだときのノートや教科書の該…

練習場面での成果確認

練習に取り組むことで、どんなことができるようになるかイメージできていないと、練習はただの反復・作業と変わらなくなってしまいます。生徒が先生の指示に従って、元気よく練習していたとしても、「どんなことができるようになるのか、どのように進歩しているのか」をきちんと認識しているかどうかは、とても大切だと思います。筋トレをするときも、どんな意識をするかで効果が違うとか。メニューを漠然とではなく、動かす筋肉を…

生徒が自分で気づける機会を作る

教科学習指導で、その科目に固有の知識や技能を獲得させようとする場合、一つひとつ丁寧に説明して理解させる、いわゆる「教える」というアプローチのほかに、作業をさせたり、問いかけて考えさせたりする中で「生徒自身に気づかせる」というアプローチがあります。思考は一定の知識がなければ成立しませんので、「しっかり教える」ことも大事であり、その責任から逃れることはできませんが、生徒が自分で気づけるようにしていくこ…

生徒を活動させることの意味を考える(記事まとめ)

各地で行われる研究授業を拝見する中、協働学習やアクティビティなど授業内での生徒の活動性が、以前とは比較にならないほど高まっていることを実感します。その一方で、活動性が、「深い学び、対話的な学び、主体的な学び」 に直結し、思考力・判断力・表現力の向上やコンピテンシーとしての学力形成に直接的に寄与しているかというと、一定の疑問も残ります。そんな疑問を起点に、データを検証してみると、「個々の活動に生徒が…

せっかくの授業内活動を活かすために(その3)

授業時間内の活動性を高めることには、①生徒の頭の中を覗く「観察の窓」を開く、②他の生徒の意見や考えに触れさせて相互啓発を働かせる、③学習方策や知識の不足を生徒が相互に補完する、④知識や経験を交換することでの発想の拡充を図る、などの狙いがあるというのが前稿で申し上げたことです。 これらに加えて、 活動課題に取り組む中で使用機会を自然に増やし習熟を促すことや 生徒一人ひとりに役割を持たせることで能動的…

せっかくの授業内活動を活かすために(その2)

授業内活動を設計するときに、「この活動で狙っているものは何か」 を明確にしておくことが大切です。手段の合理性や妥当性は、目標に照らしてこそ評価ができるということを忘れないようにしたいものです。 昨日の記事では、 生徒の頭の中を覗く「観察の窓」を開くこと、 他の生徒の意見や考えに触れさせて相互啓発を働かせること について考えました。 今日はその続きとして、 学習方策や知識の不足を生徒が相互に補完する…

せっかくの授業内活動を活かすために(その1)

授業における学習者の活動性を高めることは目的ではなく、別の目的を達成するための手段です。個々の活動によって目指しているものをきちんと区別しておけば、その活動が妥当なものか工夫の余地が残っていないか判断がつきやすくなるのではないでしょうか。 一昨日に公開した「生徒がみな一斉に反応できていることに感じた違和感」 から続くシリーズです。 活動とかアクティビティという言葉でひとくくりにするから、根っこの問…

生徒がみな一斉に反応できていることに感じた違和感

この数年、高校に限らず機会があれば小中学校の授業も参観させていただいています。素晴らしい実践、実に様々な工夫を拝見して、大いに刺激されます。生徒や児童の活動性を高める工夫が随所に凝らされ、「おおっ、こんな方法もあるのか」と勉強になります。しかし、小中のみならず高校も含めた話ですが、授業内活動の充実を図ったことの成果が、どこに繋がっているかに注目してみると、ちょっと立ち止まって冷静に考えてみる必要を…