カリキュラム・年間指導計画

先に控える選択の機会をいつ認識させるか

進路指導計画を作るときも、それに基づいて実際の指導を進めていくときも、「先に控える選択の機会」をどのタイミングで生徒に認識させるかは、様々なことを想定して決めていくべき重要事項です。タイミングが早すぎると、今やるべきことに集中できなくなり、その中で得られるはずの成果を逃してしまうリスクを抱えますし、逆に遅すぎれば、準備を十分に整えないまま選択に臨ませてしまい、「とりあえずの選択」でその先の可能性を…

ホームルームの年間実施計画

新学期に向けて、各教科の年間指導計画は完成に近づいていることと拝察いたしますが、各学年におけるロングホームルームの年間実施計画の作成は進んでいるでしょうか。年間で30回ほどの貴重な指導機会に、生活、学習、進路の各領域の到達目標を達成するための活動を余さずに配置するには、実施計画を十分に練る必要があります。活動の一つひとつに優先順位をつけて、限られた指導機会という枠に落とし込んでいこうとする中で、こ…

指導の成果を確かなものに~新入生を迎えるとき

指導計画が設計通りの性能を発揮するには、まず第一に「計画自体が合理的で実行可能であること」、その上で「実際に現場でご指導に当たる先生方が必要な知識とスキルを備えていること」が大前提です。これに加えて、指導対象の生徒が持つ学びのレディネス((知識・理解や技能、土台となる経験[学習履歴]の有無など))が、計画立案時の想定と一致していることも欠かせない条件です。 2017/12/15 公開の記事を再アッ…

新年度に向けた準備工程の進捗確認と計画調整

2月も中旬を迎え、入試業務や受験生指導などでご多忙を極める日々と存じますが、新年度を迎えるための準備も佳境に差し掛かっています。新しいことを始めるにしても、これまでのものに手を入れるにしても、残り8週ほどで計画を整えるためには、見落としがないかを確認し、このタイミングで「進捗の中間検証」を行うことが重要です。どんな指導でも、計画が設計通りに機能するかどうかは、対象たる生徒の実情と、計画時に想定した…

評価の基準と機会を見直し~指導計画の起案前に

新年度に向け、指導計画の見直しが行われていることかと拝察します。現行課程の完成年度を経て、これまで進めてきた取り組みにも改善課題が見えているはず。反省を活かしてより良い指導を実現していくのは至極当然ですが、指導計画を更新する前にやるべきことがあります。先ずは「これまでの指導を振り返り、その成果(進捗)と反省点(改善課題)を的確に把握し直すべき」であるのは、先日の記事「指導計画の更新は、効果測定の結…

カリキュラム・年間指導計画

1 シラバスの起草・更新に際して 1.0 シラバスの起草・更新に際して(序)1.1 その1 まずは全体を見渡したグランドデザインを1.2 その2 指導計画立案の前に検証可能な目標の設定1.3 その3 副教材の取り扱いや学ばせ方のすり合わせ1.4 その4 使いながら記録を残してブラッシュアップ1.5 追記)シラバスを熟読・活用させることの効果 ★ 2 新課程とカリキュラム・マネジメント 2.0 新課…

指導計画の更新は、効果測定の結果を踏まえて

年度末が近づくと、今期の指導の仕上げと同時に、来年度に向けた指導計画づくりも進んでいきますが、後者を進めるときの土台は「これまでの指導が得た成果(進捗)と不足していたこと(改善課題)」の的確な把握にあることは改めて申し上げるまでもありません。生徒に対する指導と評価の一体化と同様に、「進捗と改善課題を捉えた学び」は、先生方の営み(=教育活動)の改善にも不可欠です。 ❏ まずは、取り組みに込めていた意…

効果測定とスクラップ&ビルド(教育資源の最適配分)

学校教育への様々な要請に応える中で、教室には次々と新しい教育活動が採り入れられてきました。次期学習指導要領への検討も始まりましたが、これからも新たな取り組みは加えられ続けるものと思われます。既に作り上げてきたものに「足し算」をするだけでは、限りある教育リソースが枯渇するのは火を見るより明らか。以前からのものも、新しく組み込んだものも、その効果のほどをきちんと測定し、効果の小さいもの/費用対効果に劣…

「学びの拡張」まで考慮したカリキュラムの設計

カリキュラムの設計(指導計画の立案)に当たって予め考えておくべきことの一つに「学びをどこまで拡張するか」という問題があります。言うまでもありませんが、学びの拡張を図るのは、授業ごと/単元ごとの学びにおいてコアとなる理解をしっかり形成してからです。根っこと幹がしっかりしていない木が枝を伸ばしても、ぐらぐらするばかりで大きくがっしりしたものにはならないのと同じです。コアを形成した後、どこまで学習を掘り…

特色ある教育プログラムに対する意欲と興味の維持

各地の学校で、意欲的な教育プログラムが創り上げられ、特色ある教育活動が行われています。現地をお訪ねし成果発表会を参観したり、指導の様子を拝見させていただいたりする中で、生徒の皆さんの熱心な取り組みや指導に当たる先生方の熱意と工夫に、こちらがワクワクを感じることがしばしばです。しかしながら、じっくり観察してみると、入学間もない1年生や2年生の一様な熱心さに比べて、3年、4年(高1)と学年が進むうちに…

教育内容の充実を伝えるにはエビデンスを

どの学校も、建学の精神や教育理念を時代の変化に合わせて再解釈しながら、新たなチャレンジを重ねています。何を目指して、どう取り組むかを伝え、「理解と共感」を得て学校を「選択」してもらうには、 という2つの要件を満たすことが不可欠です。日々の教育活動を推し進めるに当たり、ゴールの確認(見失わないこと)と、日々の進捗と改善課題を常に捉える現況把握/効果測定を怠らないようにしましょう。 2018/05/1…

新しい学力観の下での授業デザイン(記事まとめ)

新課程への移行に伴い、パフォーマンスモデルからコンピテンシーモデルへ、学力観の更新が加速しています。大学入学共通テストや各大学の個別入試でも新しい学力観を反映した「意欲的な出題」が見られます。目指すところは、大学進学者のみならず、全ての生徒が卒業後に正しい選択を重ね、より良く生きるための基盤となる「学力」の形成です。基礎力という言葉ひとつとっても、それが指すのは従来の「単元の内容を構成する、中心的…

学力層に応じた「指導の力点」

クラスの中には様々な学力(獲得済みの結果学力のみならず、学ぶ意欲も含む)の生徒がいますが、学力層ごとに、指導の力点/獲得させるべき能力や資質の「重みづけ」には違いがあって然るべきかと思います。各単元の内容を学ばせながら、様々な能力や資質(21世紀型能力で言えば、基礎力、思考力、実践力を構成する要素群)を獲得させるのはどの層でも同じですが、卒業後の人生で引き受ける「主たる役割」によって、各要素の獲得…

限られた授業時間を有効に使う(追記)

各単元の内容を学びながら様々な能力や資質を育もうとすれば、自ずとそれに見合った学習活動を指導計画の中に配列しなければなりません。多様な学びを所与の時間枠に収めるには、本編でも書いた通り、「生徒が個人でできることを教室での活動から切り離す」「各教科(+探究)での学びの重なりをうまく使う」などの対処が欠かせないはずです。単元の構成に沿って、学習内容の理解を欠けるところなく形成しつつ、要所では課題を設定…

受験学年のスタートに向けて(まとめ)

所謂「ゼロ学期」も残り半分といったところでしょうか。これまでに重ねてきた先生方のご指導の成果として、4月に最上級生となる生徒には受験生としての意識も十分に芽生えてきたものと拝察いたします。ここから先も、進路意識の形成(進路希望作り)と具体化を目指して、自分と向き合っていく個々の生徒への支援と指導に加えて、進路希望/なりたい自分の実現に向けたそれぞれの努力を生徒が互いに尊重し、頑張りを支え合う集団(…

指導計画の確定前に大学/中高入試の出題をしっかり点検

入試シーズン真っ只中です。先生方は日々の生徒指導や校務に入試業務が加わり、ご多忙を極める毎日と拝察いたします。「このタイミングでまた余計なことを」とお叱りを受けそうですが、この時期にこそ最新の入試問題にできる限り目を通しておきたいところです。目を通すべき/点検の対象とすべきは、生徒が目標とする大学群の出題内容と、自校入試での答案、そして競合校(中高)の入試問題です。 2021/02/10 公開の記…

新年度を迎えるに当たり~まとめページ(2024年度版)

立春を前に、入試を始めとする新入生を迎え入れるための準備、次年度の指導や年間行事の計画作りと調整、異動等に伴う引継ぎなど、定常期と異なる業務も加わり、いつにも増してのご多忙と拝察いたします。多忙な時だからこそ、やるべきことをきちんとリストアップして、優先順位の高いものからしっかり/漏れなく進めたいところです。新年度に向けた準備工程の進捗確認と計画調整も適切なタイミングで怠りなく!これまで起こしてき…

大学入学共通テストの出題研究で持つべき視点

大学入学共通テストから一週間あまりが経過しました。出題分析を終えて、次年度以降の指導の計画を描き始めておられることと存じます。生徒の進路希望を実現する授業を目指すには、当然ながら、テストへの対策(≒どう学ばせ、解かせるか)を考える必要もありますが、先ずは個々の問題がどんな学力を測っているか正しく捉えるところからです。入学者選抜という場でわざわざ課した以上、その問題が測定している力は、進学後の学修を…

進路指導計画の体系化とスリム化

進路指導計画に組み込まれたイベントは「体験の機会」「選択の機会」の2つに大別できます。進路講演や大学訪問などが前者の代表格、出願指導や履修科目選択が後者の代表でしょう。これらがしっかり体系化され、スリムな状態に保たれているかは定期的な点検が必要です。長年にわたる試行錯誤で「増改築」を繰り返した結果、進路指導計画が複雑で過密なものになっているケースも少なくありません。生徒も先生も十分な準備ができずに…

行事にじっくり向き合える、忙しすぎない学校生活

各地の学校で教育活動の拡充が進んでいます。新課程で導入された「総合的な探究の時間」のプログラムに加え、「21世紀型能力の実践力」の涵養を目指す進路/キャリアに関する多様な学びが整ってきました。そんな中、生徒が3年間/6年間で経験する行事は、当然ながらその数を増やし、一つひとつの行事にじっくりと向き合うことが難しくなってきているようにも感じます。進路関連の行事や成果発表会なども、準備を整えてじっくり…