働き方改革~校務の見直しと再構造化(記事まとめ)

学校の先生の多忙が取りざたされて久しくなりました。報道を見ても、現場でのご様子を拝見しても、「働き方改革」は依然として、待ったなしの課題。ドラスティックな改善は進んでいないようにも感じます。
外にいる私が直接何かできるわけでもないことに心苦しさを感じつつ、何かのヒントになればと思い、考えるところを拙稿に起こしました。
ご多忙を極める中、矛盾することを申し上げることになり、誠に恐縮ですが、お時間のあるときにご高覧をいただければ光栄に存じます。

1. 業務の無駄を省く~現場レベルで可能なコストカット

先生方の多忙はもはや限度を超えており、業務の削減と効率化は先送りできない課題の一つです。多忙の原因には、制度改革を必要とする構造的なものと、現場レベルでの仕事の進め方しだいで解消を図りえるものとがあります。構造的な問題の改善を急がなければならないのは当然ですが、日々の教育活動とその進め方に改善の余地がないかを洗い出し、ひとつひとつ片づけていきたいところです。

2. 先生方の多忙解消に~個々の教育活動の価値見直し

先生方の多忙解消に向けた議論が盛んですが、なかなか問題は解決に向かわないようです。退勤時間が早くなっても持ち帰る仕事が増えただけとの話もよく聞きます。多忙を解消するには、基本的には2つの方法しかありません。ひとつは個々の仕事の効率化、もう一つは仕事そのものを減らすことです。これまでに取り組んできたことのたな卸し、個々の業務の再評価と取捨選択が欠かせません。

3. 優先的に取り組むべき課題をどうやって選び出すか

様々な価値が複雑に入り組む学校の教育活動において、優先的に取り組むべき課題を合理的に選び出すのは簡単ではありません。どんな基準や手順に従うか、明確な指針を決めておかないと場面ごとにブレも生じ、納得が得られなくなってしまいます。建学の精神や、広報を通じて発信してきたことを拠り所にすることに加え、学校評価アンケートなどのデータもしっかりと活用していきましょう。

4. 効果測定とスクラップ&ビルド(教育資源の最適配分)

限りある教育リソースを最適に配分するにはきちんとした効果測定が欠かせません。ある指導を取りやめるには合理的な説明も必要ですし、新たな取組も理解者と協力者を増やすにはエビデンスが必要です。大抵の場合、検証に用いるデータは記録のどこかに存在しますのでそれを探しましょう。検証のために仕事を増やしては本末転倒。最小の負担で効果的な検証ができる方法を考えましょう。

5. 学びの重なりを上手に利用したコンパクトな学校経営

新課程への移行を機に各地で教育活動の見直しが進んでいますが、新たなプログラムの新設など「足し算」を主なスキームにしているケースが多いようです。学校の教育リソースには限りがあり、生徒が取り組むことが増え続けていけば、生徒が一つひとつの場面にしっかり取り組み、成果を確かなものにするのを困難にします。見直しと整理をきちんと行い、全体をコンパクトにまとめましょう。

6. 行事にじっくり向き合える、忙しすぎない学校生活

様々な教育意図をもって整備が進む様々な指導機会も、生徒が忙しすぎて参加できなかったり、準備不足のまま会場に足を運んできているのでは、思った通りの成果は結ばないはずです。重要な行事を企画したら、部活動や放課後補習などとバッティングしないようにするべきですし、目指しているものを教員組織間でしっかり共有して、生徒の参加意欲を刺激し、行事に向かわせるレディネスを整えることに力を合わせていくべき場面もありそうです。

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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一