1学期も半ばを迎え、学校の教育活動も軌道に乗り、成果が出始めたこの時期は、計画の進捗を点検して、今後の見通しを整理する好機です。
指導を進める中で、計画時点の想定と違うところも出てくるでしょう。当初の目論見通りに進めるのが難しい部分もあろうかと思います。
そうした状況に合わせた調整で、取り組みや手順には変更が必要になっても、目指したこと(教育目標)はできる限り維持に努めたいところ。中間検証を経て、計画をどう修正できるかが腕の見せ所です。
2021/05/06 公開の記事をアップデートしました。
❏ 1学期を終えるまでに中間検証+夏に補完と計画修正
年間を通した教育活動でも、年度末まで一気に走ってから成果を検証するのと、中間段階で成果を確かめつつ、改善課題を特定し必要な修正を施していく場合とでは、最終的な成果も大きく違ったものになります。
途中の補完や計画変更に伴う再準備には、ある程度の時間がかかりますので、平常授業期よりは多少なりとも余裕が持ちやすい夏休みをそれに充てることができるようにしたいもの。
データを集めて分析する期間と、その結果を踏まえて作戦の修正を考えるのに必要な時間を見積ってスケジュールを逆算してみると、中間考査が終わったらそろそろ検証のタイミングを迎えるものが多いはずです。
生活と学習の習慣作りなどは、指導の効果が出るのが早いほど、その先の果実(=学習時間の延伸による学力の向上や、その結果としての「より高い所を目指すチャレンジ意欲」の獲得など)も大きくなります。
早いタイミングでの成果を狙うべき指導については、中間考査を終えたくらいのタイミングでしっかりと効果を測定し、不足は夏休みを迎えるまでに補うくらいのつもりで進めていくのが好適です。
❏ 夏休みに生徒が取り組む活動へのレディネス整備
夏季休業期間中に生徒が取り組む活動にも様々なものがあるはずです。そこに向けた事前指導にもまた、その効果を測定する機会と、効果に不足が見られた場合の補完指導を行う時間を確保すべきだと思います。
進路意識形成に向けた学習と体験の配列の中で
進路指導で言えば、大学のオープンキャンパスや研究室訪問などを夏休みに計画していることが多いと思いますが、何の準備や心構え作りもなしに臨ませては、得るものが少ないばかりか、弊害も考えられます。
大学訪問は、それまでに自分なりに調べたり考えたりしたことを「確かめる」ための機会にしないと、その場で受けた刺激が強く働き過ぎて、進路希望を作るまでの活動の配列を歪めてしまうリスクを抱えます。
事前の調べ学習の成果が十分か、訪問に際しての目的ははっきりしているかなどを、進路の手引きに組み込んだワークシートやポートフォリオへの記載を判断材料に、しっかりと点検して、足りないところは事前に補わせるべきです。
探究活動/課題研究の有為な進捗のために
夏休みは、探究活動や課題研究といった、生徒が個々にチャレンジする学びにしっかり取り組んでもらう絶好の期間でもあります。
きちんと活動を進められるだけの計画と準備ができているかを確かめないことには、貴重な夏休みを無為に過ごさせることが懸念されます。
夏の過ごし方いかんで、秋からの探究活動の進め方はまったく違ったものになります。指導計画を立てたときの想定通りに工程を踏ませられるかどうかは、1学期中の中間検証とその後の補完にかかります。
ここに挙げたこと以外にも、進路指導であればクラス担任や学年進路、探究活動ならば各ゼミを担当している先生といった具合に、それぞれの立場において、夏を迎えるまでに完了させるべき指導があるはずです。
中間考査が控えているこのタイミングで、それらの計画に見落としなどがないか、しっかりと点検しておくべきだと思います。
❏ 生徒に「ロードマップ上の位置」を自覚させる仕掛け
中間検証には、ご指導に当たる先生方だけでなく、生徒自身にも「目標に照らした自分の位置」を認識させる機会としての機能があります。
自らの成長や好ましい変化に気づけば、さらに頑張ろうとの意欲も刺激されますし、足りないものに気づけば、不足を埋めるために何をすれば良いかを考えるきっかけも得られるはずです。
授業開きやガイダンスなどで生徒に伝えた「半年後、1年後に達成を期待すること」に照らして、生徒に自己点検をさせてみましょう。
満たすべき行動や姿勢の一つひとつを、生徒を主語にしたセンテンスに起こしてアンケート様式に仕立てれば、それに答えていく中で、生徒は生活、学習、進路の各領域の「メタ認知」を高めていくはずです。
如上の「アンケート」に答えた上で、これから3か月、半年の間、自分が何を目指してどう行動していくか考えさせ、その結果を文字に起こして記録させれば、さらに数ヶ月を経過したときに「あの時の決意に自分はどれだけ真摯になれたか」を振り返る際の「基準」も得られます。
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学力向上などの「結果」についての検証は、1学期中に行うのは時期尚早かと思いますが、ものごとへの取り組み方、自分自身の未来への向き合い方といった「姿勢や行動」については、定期考査や進路行事、体験学習などを一度経験した段階での中間検証が重要です。
日々のご指導で多忙を極める中ですが、一つひとつの指導が所期の成果を得ているか/得られそうか、しっかり確かめながら指導を進めた方が指導目標の達成はより確実なものになるはずです。
教育活動の計画は、様々な要因によって変更を余儀なくされることもあります。だからこそ、中間検証を通じて状況を適切に把握して、目指すゴールに向けて舵を切り、必要なアクセルを踏むことが重要です。
教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一