授業評価アンケートの集計結果や模試などの成績データなどから、授業改善の課題がどこにあるかを特定できたとしても、それだけで「改善に向けた具体的な行動」を描き出し、着実に実行できるとは限りません。
改善課題の解決に必要な知見を集めるにも相応の工程が必要ですし、授業の進め方や指導計画の中に落とし込むには従来の発想を離れた工夫も必要になります。また、当然ながら、「プランの立てっぱなし(計画倒れ)/やりっぱなし」にならないように、中間検証を重ねていくための準備も欠かせないはずです。
授業改善に向けた課題形成から改善行動の効果検証まで一連のプロセスについて考えるところをまとめてみました。
プロセスを踏むことを自己目的化しては、手間数が増えるばかりです。各フェイズで意図すべきポイントはしっかり押さえて、「より良い授業の実現」に効率的に近づいていきたいところです。
授業評価アンケートで着目すべきは「学力向上感」
学習効果の向上を妨げている要素を探り出す
改善プランを策定する前に、優良実践からの学び
シミュレーションや思考実験を通した仮説づくり
優良実践を複数で参観し、互いの気づきを交換する
出し合った知恵を土台に、より良いものを目指して工夫
改善プランを具体化~授業デザインへの組み込み
改善の効果を予測し、次の目標を設定する
中間検証の機会を設けて、小さなPDCAサイクルを作る
各回の集計値だけでなく、回次間での変化量にも着目
効果を上げた取り組みを共有・継承
上手くいかなかったときの原因の切り分け
好適な手法が得られたら、それを土台にさらに改善
まずは、校内での「目指すべき授業像の共有」から
共有には「構成要件の言語化」が欠かせない
実現に向けた方法を互いに学ぶ機会を確保
相互参観で得られる知見を大きくするひと工夫
改善課題の形成と改善行動の効果検証に使う「指標」
まずは、必要な研修などを書き出し、優先順位を決める
PDCAサイクルを意識した年間の流れ
効果測定と優良実践抽出のデータをどう用意するか
効果測定、データ分析、実践共有の予定をカレンダーに
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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一