教科学習指導の目的は、各科目に固有の知識や理解を形成することに止まらず、その教科・科目の学び方を身につけさせることや、論理的に物事を観察し、思考を積み重ねる方法を学ばせることにもあります。
前者には、「学習方策は課題解決を通して身につく」「自ら学び続けられる生徒を育てる」という姿勢で授業に臨む必要がありますが、後者には、先生からの問い掛けを起点にした問答を重ねることが最も有効な手段の一つであると考えます。
2015/04/27 公開の記事をアップデートしました。
問答を通じて、物事をより注意深く、広く多角的な視点で観察することを促し、目の前の事柄(教科書や資料に書かれていること、与えられたデータ、他の人の考えなど)に対し、どんな問いを立てながら自らの考えを深めていけば良いのか学ばせていきましょう。
問いを立てるのは、物事を考える起点です。
読んだこと/聞いたこととを鵜呑みにせず、「本当にそうなのか」「どうしてそう言えるのか」「もっと合理的な捉え方はないか」と問いをぶつけていく方法と姿勢を身につけてこそ、論理的に考えながら自らの考えを作り上げていけるようになります。
その先に獲得が期待されるのは、「正しく物事を理解し、広く深い視野に立って判断する」という生きていく上で欠かせない力です。そこに向けた第一歩は、「先生が発する問い」に触れて、真似てみることをおいて他にはないように思います。
事前に用意しておいた「正解」や既に整理されている「知識」を携えて教室に臨み、それを生徒に伝えるだけの予定調和型授業では、論理性と思考力を高める効果的な問答は生まれそうもありません。
問い掛けを通じて生徒に考えさせたこと/教科書や資料と対話して見つけたことを言葉にさせ、その発言を受け止めてさらに次の問いに展開する「やり取り」をどれだけ膨らませることができるかが問われます。
生徒が物怖じせずに発言する雰囲気も作らなければなりませんし、生徒の発言からどれだけ効果的な次の問いに繋げるか、先生方が身につけている「即興で問いを立てるスキル」も問答の成否を大きく分けます。
研究授業や相互参観などでほかの先生の授業を観るときには、上手で効率的な伝え方だけでなく、生徒の発言をどのように拾い上げているか、そこからどんな問いに展開させているか、インタラクションの技術にも観察の目を向けたいところですよね。
考え方そのものを身につけさせる
様々な科目を広く学べる高校卒業までに
問答は学習の活動性も大きく高める
板書を使ったインタラクション
誰に発言させるかを決める前に、きちんと観察
生徒の発言を元に、次の問いを立てるのが鉄則
失敗が許容される雰囲気を作るための習慣化
その場で正誤の判定をしないのも一つの方法
例題などの解説を読むときにも
各記事の中にご紹介いたしました関連記事に加え、以下の拙稿も、お時間の許すときにお目を通していただければ光栄に存じます。
教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一