5分間アウトプットの費用対効果
授業評価の事前指導と結果のフィードバック
生徒による授業評価アンケートを行うときに、生徒に対してどんな事前指導をしておくべきか、アンケートの後、結果をどう伝えるべきかとのご質問をいただきました。結論だけ言うなら、授業評価アンケートの目的を先生と生徒が共有した状態を作ることが事前指導であり、結果への所感をあれこれ言葉にするのではなく、結果を活かした「より良い授業」を生徒の眼前に実現して見せることが正しいフィードバックだと思います。 ❏ きち…
苦手意識を抑えて、伸びている実感を持たせる
授業を受ける中で「学力や技能の向上」「自分の成長や進歩」を実感できている生徒は、高い確率でその科目に新たな興味や関心を見出していくというデータがあります。逆に、伸びている実感が得られなければ、その科目を学び続ける意欲を維持するのは容易ではありません。教室の中で「興味が生まれる瞬間」を体験させることができる授業、学びの成果や伸びている実感を持てる授業こそが、実現を目指すべき「良い授業」の姿の一つだと…
準備が整わないうちに選択を迫っていないか
進路形成は大小様々な選択の積み重ねであり、ある局面の選択によってその先に見える景色が違ってきます。もちろん、選択のやり直しはいつでも可能ですが、ある分岐点を右に曲がった場合、左に折れたら見えたはずの光景(≒興味や関心)に出会うチャンスは小さくなります。選択の機会に臨ませるとき、拙速な結論を出させないよう、そこまでに踏むべき手順をきちんと踏んできたか確かめるべきだと思います。 ❏ 進路探索の機会に、…
理解している≠正解できる
板書に残すもの(後編)
前編では、「生徒のノートに何を残させるか」という視点で、黒板に書き出すべきものが何かを考えてみました。後編である本稿では、学びの場で板書がどのような機能を持つかを、 という4つの軸で整理し、それぞれの機能を最大限に活かすための工夫や着眼点を中心に「板書に残すもの」を考えてみたいと思います。 本稿は2015/10/29に公開した記事を全面リライトしたものです。 ❏ 書き終えた板書を辿り直すことで深め…
板書に残すもの(前編)
黒板に書き残されたものを分類してその割合を観察してみると、教え方の特徴が見えてくることがあります。発問や口頭説明を経て最終的に導かれた「答え」や「結論」だけがノートに残っていたり、書き終えた後に立ち戻る機会がまったくない事柄ばかりが書かれていたりするようなら、授業のデザインそのものを改める必要があるかもしれません。 本稿は2015/10/28に公開した記事を全面リライトしたものです。 ❏ 導き出さ…
到達目標に加えて取り組み方もしっかり提示
教科学習指導の土台はホームルーム経営
平成30年度全国学力・学習状況調査
昨日、国立教育政策研究所から「平成30年度全国学力・学習状況調査の結果」が発表されました。報告書(概要)を読んでみると、中学校の国語では、 目的に応じて文章を読む際などに、情報を整理して内容を的確に捉えることに課題がある。 文の成分の順序や照応、構成を考えて適切な文を書くことに課題がある。 中学校の数学では、 事象を数学的に解釈し,問題解決の方法を数学的に説明することに課題がある。 数学的な結果を…
選考基準は妥当だったのか~追跡調査に基づく検証
入学試験で志願者の合否を決めるときもあれば、指定校推薦の内部選考もありますし、それ以外にも大会などへの出場メンバーを決めるときや、成果発表会の代表者選考などもあり、学校には生徒の選考を行う機会はかなりの数に上ります。 もし選考基準が妥当なものでなければ、 機会を与えられるべき生徒が選考から漏れてしまう 意欲や資質に欠けるメンバーが含まれ、周囲に悪影響が及ぶ といった、様々な問題が生じることになりま…
英語の授業での学習目標
大学入学共通テストにおける問題作成の方向性から
先月の中旬に、大学入試センターから「大学入学共通テスト」における問題作成の方向性等と本年11月に実施する試行調査(プレテスト)の趣旨についてとの発表がありました。 発表資料の冒頭には、 各教科・科目における問題のねらいや実施方法等については、これから11月に実施さ れる試行調査の分析・検証を経て、来年度初頭に正式に公表される予定(攻略) とありますが、現時点での検討状況は把握しておきたいものです。…
授業評価アンケートの集計が終わったら
"主体的・対話的で深い学び"の実現に向けて
主体的・対話的で深い学びをしっかりと根付かせるには、その実現に向けた取り組みの成果を検証する必要があります。様々な方法を試すのが可能性と選択肢を増やすことは間違いありませんが、目標は何かしっかり見定め、取り組みが生徒を目標に近づけているかを確かめないことには、あらぬ方向にさまようリスクを抱えます。先生方がそれぞれ最善と考える方法を試してみて、その成果を互いに比べてみることで、自校の生徒に最もよくマ…
探究活動を支える土台を築く
新学習指導要領への移行に向けて教育課程の見直しが進む中、探究活動をどうプログラムするかはとりわけ大きな課題です。どれほど意欲的にプログラムを設計しても、指導時間の限りもあって、各教科での学習や進路指導と関連付けなしには十分な効果は得られません。 探究型学習のプログラム作りを単体で進めていくのではなく、学校の教育活動全体を見直し、個々の指導場面の目標を達成することが他の教育活動の成果を高める土台とな…
どんな人材を育てようとしているのか
日々の教育活動の中で、常に意識に持ち続けるべきは、「どんな人材を育てようとしているのか」という問いだと思います。学校が教育目標として掲げ、入学してくる生徒たちに約束したことや、分掌、学年、教科という三つの立場での自分のミッションを自覚できていることが、個々の場面でもブレのない指導を実現するのではないでしょうか。どんな人材を育てるかという問いに答えるためには、生徒が生きていくのがどんな時代かの見極め…
散布図と残差から個々の生徒の課題を探る
新課程への取組を伝える学校広報
高大接続改革に最初に挑む学年を迎え入れ、新しい学力観に沿った学ばせ方への転換が図られていますが、その次に控えるのは、本丸である新学習指導要領への移行です。2022年から始まる高校の新課程に学校としてどう対応するかを明確に示すことは、生徒募集戦略上の重要な課題です。新課程初年度生がすでに小学校6年生になっていることを考えると、まだ丸3年以上も先のこととのんびり構えているわけにはいきません。中高一貫校…