できない? やらない? やらせてない?
本来ならば生徒自身に挑ませて完遂を求めるべきことを、先生が不用意に先回り/肩代わりしてしまうと、生徒は自力でできるようにならなければいけないことをいつまで経ってもできないままだったりします。学習者としての自立を促すためにも、主体性の及ぶ範囲を膨らませるためにも、生徒にやらせずに先生が肩代わりしていたことがないか、これまでの授業をどこかで振り返ってみる必要がありそうです。 生徒にはできないと思い込ん…
チャイムから生徒が活動を始めるまで何分かかる?
授業開始のチャイムが鳴ってから、生徒が最初の活動を始めるまでにどのくらいの時間が掛かっているか意識したことはあるでしょうか。各地の学校をお訪ねして授業を参観させていただくときに様子を観ているとクラスごとに状況は実に様々です。ちょっとした余談を挟んだり、連絡事項を伝えたり、あるいは生徒が授業の準備を整えるのを待ったりしている間にも時間は刻々と過ぎていきます。先生が最初の板書をして生徒がノートを開くま…
演習中にワンステップずつ進める板書
ひと通りの説明を終えて、生徒に問題演習や作業などを始めさせたら、そこから先はできるだけ生徒の活動を止めないようにしたいものです。指示や説明を追加するのに先生が口を開いてしまっては、生徒は先生の話を聞くために思考や手元の作業を止めてしまいます。 こうした場面では、生徒の様子を観察してタイミングを見極めつつ、口を開かず黙って板書の続きをワンステップずつ進めるのも好適です。 教室で実際にこの方法を試して…
不用意な“待て”をかけない #INDEX
せっかく動き出そうとしている生徒に不用意な”待て”をかけてしまっている場面はないでしょうか。生徒は3年間の高校生活で、のべ2,625時間(※)の授業を受けていますが、もしストップが掛かっている時間をこまめに削って毎回5分ずつ浮かすことができたら、総指導時間の10%に相当する260時間以上も授業時間枠の拡大を図ったのと同じことになります。(※50分×30単位×35週×3年=の…
不用意な“待て”をかけない(その4)
生徒を待たせてしまっているその他の場面 生徒は取り組むべきタスクがないときに手を止めてしまい、その時間の蓄積が1年間、3年間という長いスパンでは大きなロスとなり、学びの総量を減らしてしまいます。このシリーズの前3稿で触れたような場面に加えて、生徒に注意や指導をするときや、指名した生徒が答えられずに窮しているときにも、同じようなことが起きてしまいます。教室内で生徒に不用意な待てをかけてしまうリスクに…
不用意な“待て”をかけない(その3)
指示の無駄を省き、待つことを学習させない 授業計画の中に配列した学習活動に生徒が着手できるだけのレディネスを備えているのに、先生方が指示や説明などを重ねては生徒に「待て」を掛けているようなもの。学習活動に充てられる時間を圧迫しますし、仕上げる時間が足りなくなれば、学びは深く確かなものになりません。生徒が既にできるようになっていることをきちんと見極めて、不必要なところでは積極的に手を放していくように…
不用意な“待て”をかけない(その2)
個々の生徒の学力に合わせて与えるタスク 生徒が出来るようになっていることをきちんと見極めて、不用意な「待て」を掛けず、上手に「手を放していく」ようにしたいものです。数学や物理などで初見の概念を学ばせるときだって、それまでの勉強をしっかり積み上げてきた生徒には、例題の解説を読んで理解し、類題や練習問題を自力で解き進めさせるのは十分に可能ではないでしょうか。理解の早い生徒には次にチャレンジする問題を与…
不用意な”待て”をかけない(その1)
手順の説明やルールは読んで理解させる 生徒の側ではとっくに準備が整っているのに、先生がいつまでも指示や説明を繰り返している場面は思いの外たくさん見かけます。先生が話を終えるのを待っている間に活動に当てる時間がどんどん減っていきますし、生徒のやる気や集中力も削がれていきます。くれぐれも余計な「待て」は掛けないようにしたいものです。 2015/06/29 に公開した記事を再アップデートしました。 ❏ …
コロナ禍で欠けてしまった指導の補完、次への前提確保
指導目標の達成を確かなものに~数値を用いた効果測定
学力向上を支えるクラス内での相互啓発とメタ認知
表現力を高める指導
表現力は、思考力・判断力とともに、学力の重要な部分を構成します。志望大学の入試に記述・論述問題が課されているかどうかに拘わらず、自分の考えに他者の理解と共感を得る必要は、日々の活動を送る中にも多々あります。合理的な思考がきちんとできていても、表現力の不足がボトルネックとなっては、持てるものを十分に発揮できません。各教科の学習指導のみならず、進路指導、探究活動、さらには学校行事や体験学習などあらゆる…
身の回りの問題を多角的に捉えさせる
身の回りに起きていることの中にも様々な問題があり、それらの多くは日々の授業や総合的な探究の時間の中に、学んだり、解決策を考えたりする機会を持ち得ると思います。各単元の学習の中で扱うことができるものもあれば、単元を跨いだ融合問題を設定することで学習機会が作れるものもありますし、他の教科と連携した合教科型学習、探究活動で扱うのが好適なものもあります。そうした問題について学んだり考えたりする中で、生徒は…
正解がひとつに決まらない問題
別稿で取り上げた「学習型問題」と並び、近年の入試で出題が見られるようになったものに「答えが一つに決まらない問題」があります。答えが一つに決まらないのと「答えが存在しない/解答不能」は全くの別物です。論理的に(=理屈で考えれば)成立する様々な答えがあり得る/一つに限られないというだけのことです。社会に出れば、こういったタイプの問題に多く遭遇しますので、様々な答え/アプローチを考え、それらが論理的に成…
学習型問題への対応力を養う
2020年の高大接続改革の前後から「学習型問題」をよく見かけるようになりました。教科書では扱われていない、つまり生徒がそれまで学んだことがない事柄についての説明や資料を読ませ、そこで得た理解を土台に問いに答えさせたり、意見を述べさせたりするものです。以前はごく一部の大学に出題が限られましたので、個別指導でも対応ができましたが、出題が一般化してくるとなると、授業のあり方や3年/6年を通した指導計画に…
わかりやすい話し方#INDEX
先生方の話がきちんと聞き取れることは、「わかった→できた」という流れの大切な起点です。しかしながら、「ちゃんと話しているつもりなのに…」と苦労しておられる先生方も少なくありません。話が聞き取りにくいことの背景には様々な原因が存在します。複数の原因が絡み合っている以上、問題の解決には、原因を一つひとつ切り分けながら、その解消を図っていく必要があります。 2014/09/11 公開の記事をアップデート…
わかりやすい話し方(その4)
プラスアルファの工夫と配慮 わかりやすい話し方を身につけることの目的は、生徒に確かな知識や理解を効率的に獲得させることにあるのは言うまでもありません。丁寧に説明して理解させようとするだけでは、生徒を退屈させて結果的に「情報を受け取る態勢」を解かせてしまうこともあれば、読んで理解する、話し合って疑問を解消するなどの「知識・理解の獲得に効果的な他の手段」を活用する方法や姿勢を学ばせ損ねることもあります…
わかりやすい話し方(その3)
ルーチンの確立/活動の切替 わかりやすい話し方を実現するには、話し方そのものの改善だけでは不十分です。生徒にしっかりと先生の声が届く環境を整えることなども、重要な情報に生徒の意識をフォーカスさせる上で欠かせません。また、余計な言葉(説明/指示/注意)を減らせれば、大切なところを着実に伝えることも容易になるはずです。これまでのやり方に、余計な指示や説明を繰り返す部分がなかったかも見直しましょう。 2…
わかりやすい話し方(その2)
短期記憶を飽和させない 生徒から自分の目と口が見える状態で話をするのは、着実な伝達のための大前提ですが、それだけで「わかりやすい話し方」が実現するわけではありません。わかるようにちゃんと説明したつもりなのに、後になって確かめてみると、あちらこちらで聞き漏らしやポイントの押さえ損ねが生じていることも多々あります。 聞き漏らしや聞き間違いの原因になるところは幾つかあり、それぞれに効果的な防止策を講じて…