予習・復習、課題のあり方
その宿題、本当に必要ですか?(その2)
その宿題、本当に必要ですか?(その1)
リモート学習の可能性と十分な成果を得るための前提要件
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、昨日から多くの学校で休校措置が取られました。所用があって駅前の商業施設を訪ねたところ、フードコートで楽しそうに談笑している高校生やカラオケ店に入っていく中学生らしきグループを見かけましたが、大丈夫なんでしょうか。 休校という非常態勢をとった意味が伝わっていないような気がするような、しないような…。ここで愚痴っても始まりませんが。 それはさておき、自宅学習の課…
原因から考える家庭学習時間の延伸策 #INDEX
家庭学習時間の延伸を図るなら、合理的で効果的な課題をきちんと与える必要があります。そもそも、生徒が十分な時間を授業外学習に投じてくれないことの背景には、「やらなくても困らないから」「やったことによるメリットを実感できないから」といった理由があるのではないでしょうか。やらないと困る状況を作ろうとして、小テストの不合格者に再テストを課すのは昔からよくある手ですが、ペナルティの効果はその場限りのものにな…
家庭学習の習慣化を妨げるもの~原因から考える対処 #3
家庭学習時間の延伸を目指した対応策を検討するときに想定すべき「生徒は家庭学習に十分な取り組みを見せてくれない理由」には、様々なものが考えられますが、最も大きく影響しているのは「取り組みに喜びが見いだせないこと」、即ち「家庭学習に取り組むことの中に達成感を得たり、自分の進歩を実感できないこと」ではないでしょうか。 ❏ 真面目に取り組んだことの成果を実感できるか 指示された予習や復習、与えられた課題に…
家庭学習の習慣化を妨げるもの~原因から考える対処 #2
家庭学習の習慣作りに向けて指導では、「なぜ家庭学習が根付かないのか」を考えてから、それぞれの背景にある阻害要因を取り除く策を講じる必要があります。前稿では、以下の5つの原因を想定した上で、最初の2つについて考えるところをまとめました。引き続き、その他の原因について考えていきたいと思います。1.やろうと思ってもできない(レディネスが整っていない) 2.やるべきことが明確になっていない(指示が具体性を…
家庭学習の習慣化を妨げるもの~原因から考える対処 #1
家庭学習の習慣の形成と維持は、程度の差はあれどの学校でも課題として認識され、様々な対策が講じられていますが、成果が十分に上がっているケースばかりではなさそうです。「一日あたり2時間の家庭学習」をお題目のように繰り返し、家庭学習の重要性を訴え続けるだけでその目標をクリアできたという話は聞いたことがありませんし、各教科で宿題を増やすという戦略もあまりうまく機能しないようです。家庭学習時間の延伸を目指し…
間違え直しや再テストはどこまで成果をあげたか
年度末を迎えて、そろそろ来年度の授業の進め方を具体的にイメージし始める時期でしょうか。使用教材などは既に決まっていると思いますので、ここから先の検討は「それらをどう使うか」に絞られますが、その中でもちょっと立ち止まって考えてみたいことは、小テストの不合格者や定期考査の成績不振者への事後指導をどう行うかです。 ❏ 失敗を繰り返させないための指導の効果はどこまで? 副教材をベースに小テストを行いながら…
ひとつの課題から複線的なハードルを作る
新学期を前に、改めて"予習・復習、課題のあり方"
2月も下旬を迎え、大学入試もいよいよ終盤戦。ほっとする間もなく、あと40日あまりで新入生を迎える時期を迎えました。合格通知を受け取った生徒が新入生オリエンテーションに登校してきます。 すでに生徒に購入させる教科書や副教材は決まっており、取次店への手配も終えているかと思いますが、それらをどう使って、授業を進めていくかについては、まだ調整の余地が残っていると思います。 新入生オリエンテーションや授業開…
学習時間の目標値と達成管理の方法 #INDEX
高大接続改革を機に、新しい学力観に沿った学ばせ方への転換を図る必要があります。どの学校でも、指導計画の見直しや授業デザインの研究が意欲的に進められているものと拝察しますが、その中で、学ばせ方の転換で家庭学習の充実が求められることへの十分な意識が必要です。教室の中で、対話的で深い学びを実現するには、生徒の側での授業準備はこれまで以上に重要性を増しますし、そこで深めた学びをより確かなものとし、広がりを…
学習時間の目標値と達成管理の方法(その2)
家庭学習の習慣形成や授業外学習の延伸を図るのは、学力の向上という目的のための手段です。ここでいう学力は、テストの成績などに現れる結果学力も指しますが、タスクマネジメントなども含んだ広い意味での「学ぶ力」のことです。 高大接続改革を前に教室での学ばせ方が変わる以上、家庭学習が果たす役割も変わります。教室を離れてじっくりと考えたり、課題を仕上げたりすることに十分な時間を当てられるかはとても重要です。 …
学習時間の目標値と達成管理の方法(その1)
少なからぬ学校で授業外学習時間の目標値を設定していますが、「平日の平均で2時間以上」といった目標を振り回すだけで学習時間の延伸という実効が得られたケースはあまり見かけないように思います。 家庭学習時間の目標をクリアしたところに何が待っているかも曖昧なままかもしれませんし、そこまでの時間を勉強に投じる必要が本当にあるかどうかも検証されていないのではないでしょうか。 また、ものすごく沢山勉強している一…
2020年対応型の"予・復習と授業のサイクル"
新しいことを学ぶ授業に備えて下調べをする予習と、習ったことをしっかり覚えるための復習という学習サイクルは、正確な理解と再生という従来型のニーズを満たすには十分だったとしても、高大接続改革で求められる”教育の強靭化”に応じるには見直しが必要になります。思考力・判断力・表現力を高めるには、対話による学びの深まりを作る必要があり、授業もおのずと対話の場面を作らなければなりません。…
次回の予習ができる状態を作って授業を終える
予習というと、これから学ぶ/まだ教わっていない範囲を自力で学んで内容を理解したり、課題を解いたりすることを思い浮かべることが多いと思いますが、この発想だけではうまく行かないことも多いようです。その日の授業で学ぶことを「予め学習」しておくのは、前提知識を確保したり学習内容に対する問題意識を持ったりするのに欠かせませんが、「その日の授業で学ぶこと」をどのように位置づけるかにより、予習で取り組むことは大…
英語は手段科目:学びの重ね塗りで運用力の向上を
英語はこれまでのところ、国語や数学、理科、社会と同等のポジションを与えられており、英語という教科(正確には科目)の力を身につけること自体が目的とされてきたように思います。しかしながら、これから先の時代では「英語は様々な事柄を扱うときに情報のインプット/アウトプットを担う道具・手段に過ぎない」という捉え方が主流になっていくのではないでしょうか。そういえば、「英語で飯を食う」という言い回しを見聞きする…
荷物を増やしても、学びが膨らむとは限らない
昨日、テレビの某情報番組で、東京近郊の公立中学生が通学で持ち歩く通学カバンとバッグの重さの平均が8.6キロにも及び、その原因は脱ゆとり教育で副教材が増えたこととのレポートがありました。たしかに、授業を参観に教室を訪ねてみると、生徒のカバンは大きく、通路にあふれ、机間指導もままなりません。でも、荷物が増えた分だけ、学びが膨らんでいるのでしょうか。持ち運んでいる教材のうち、使いきれていないものがかなり…
家庭学習の習慣形成に向けて
もうじき新学期です。「授業開き」やオリエンテーションでは、予習や復習の方法、家庭学習の時間についてもお話しをされているかと。家庭学習について、昔からよく言われるのは、「学年+2時間」とか「平日は2時間以上、休日は4時間以上」といったもので、そう伝えているのは、今もよく見聞きします。確かにこれだけ勉強すれば、成績も伸びるでしょうし、進路希望の実現にも近づけると思いますが、あくまでも「実のある学びを、…