考えるための道具(体系的知識)を揃えさせるときの手順
思考のための道具は知識です。どの単元を学ぶときでもある程度まで体系的な知識を整えさせないと、その先に取り組むべき思考・判断・表現といった活動には進めませんが、体系的な知識を形成しようと先走り、導入フェイズから長々と説明を聞かせては生徒は退屈するばかりです。その日の授業で学ぶことに「興味」や「理解する必要性」を感じ取る前にあれやこれやと説明を聞くのを苦痛と感じる生徒もいるでしょうし、抽象概念を消化す…
当オフィスは、各地の学校で授業力向上や教育改善・学校改革のお手伝いをしています。
思考のための道具は知識です。どの単元を学ぶときでもある程度まで体系的な知識を整えさせないと、その先に取り組むべき思考・判断・表現といった活動には進めませんが、体系的な知識を形成しようと先走り、導入フェイズから長々と説明を聞かせては生徒は退屈するばかりです。その日の授業で学ぶことに「興味」や「理解する必要性」を感じ取る前にあれやこれやと説明を聞くのを苦痛と感じる生徒もいるでしょうし、抽象概念を消化す…
新しいことを学ばせるときは、「これから学ぶこと」について、生徒がこれまでの(教室に限らず生活のすべてを含む)学習を通し、何をどこまで知り、どう捉えているかを把握しておくことはとても大切です。生徒が既に知っていること/イメージできていることと、授業を経て形成を図る「十分で正しい理解」との差分を埋めることが、本時の指導で達成すべきことである以上、学びのスタートで生徒がどこにいるのかを把握することは、指…
生徒が学びを振り返るときに拠り所となるもの(=基準)をしっかりと理解/認識させておくことの必要性については改めて申し上げるまでもないかと思います。漠然とした「振り返りらしきもの」で感想レベルのアウトプットを得たところで「学びの改善」は期待できません。思考を重ねた結果である答案や発表には「採点基準」があり、学習への取り組みにも「活動評価の基準」(ルーブリックなど)があるはずですが、生徒はその文言の一…
以前の記事では、授業内外に「理解して覚えたことを課題解決に用いる場面を設けることが、学習目標の理解や学習を通じた成果(学力向上や自分の進歩の実感)を確かなものにする上、授業内活動を高めて対話的で主体的な深い学びの実現に近づく可能性をデータで示しました。しかしながら、理解したことを用いて解決する課題が授業内外に整えられているのに、生徒の側でそれを「知識活用の機会」として認識していないというケースが稀…
発表やプレゼンの評価、論述答案の採点などにルーブリックを適用してみたとき、生徒による自己評価の結果と先生方の目での評価の結果との間にどのくらいのズレが生じているでしょうか。同じ評価/採点基準(観点別に定めた段階的な評価規準)に照らしている以上、基準の適用が正しくできれば、先生がやっても生徒がやっても結果は同じになるはずなのに違いが出ているというのは、生徒は観点や規準をきちんと理解できていない/適用…
学習目標を示すのに最も効果的なのは、別稿で書いた通り、「学び終えたときに解を導くべき問い」を導入フェイズで示しておくことですが、練習や話し合いなどの活動の場面では「解を導く」こと以外にも目標があり、その効果的な伝え方を別の形で確立しなければなりません。練習を通じてできるようになるべきこと、取り組みのポイントやふるまい方、協働場面でのチームへの貢献などの「実現を目指すべきこと」を行動評価の基準として…
主体的、対話的な深い学びの実現のカギをにぎるのは、生徒に自ら問いを立てさせることだと思います。先生方の発問や教科書会社が用意した設問が、個々の生徒の興味を十分に刺激するとは限らず、学びは自分事にならない(=学ぶことへの自分の理由を持てない)かもしれません。また、教材を離れ、問いが付与されていないテクストや資料を読む場面では、読み取ったことの中に自ら問いを立てられてこそ、より深い理解が作られますし、…
1 学習目標の示し方 Updated! 1.1 学習目標の示し方(序) (その1)目標を共有することの効能 (その2)目標に立ち返り成果を確認 (その3)学び方の獲得も重要な目標1.2 学習目標が伝わらない?(前編、後編)1.3 解くべき課題は明らかなのに学習目標がわからない? 2 解くべき課題を通した目標理解 2.1 学習目標は解くべき課題で示す ★ ・単元ごとに設定するターゲット設問 ・…
学習活動において、生徒が学習目標を正しく認識していることは、積極的な取り組みの前提であることに加え、生徒の側での情報補完を容易にすることで生徒の理解力を底上げするなどの効果も得ます。また、目標とするところをきちんと把握できていないことには、目標を達成できたとの実感も曖昧になります。達成感はモチベーションの原資ですが、それが希薄になることのデメリットは計り知れません。学習目標をはっきり示すことで苦手…
学習目標という言葉で最初に思い浮かぶのは「単元の内容を理解すること」かもしれませんが、それだけではありません。内容を学ぶことを手段に様々な能力や資質(基礎力、思考力、実践力など)を獲得することも目標です。(cf. カリキュラムは{学習内容×能力資質}で設計する)わからないことがあったときに調べたり、予習復習を進めたりするときの「学習方策」を身につけること、加えて、協働で課題解決に臨む場面でのふるま…
先生方と違い、生徒や学生は何といっても「新単元を学び始める前」です。単元や項目の目標や意義をどれだけ言葉を尽くして伝えても、意図するところをすべて理解し、受け止めるのは容易ではありません。前稿では、そんな場合に試してみるべき方法として「内容を学び始める前のプレ活動」をご提案いたしました。今回は、それでもうまく行かないときの「次善の策」、終了時に使える一手も含めて考えてみます。 2015/02/24…
日々の授業に際して「本時の目標」を欠かすことなくきちんと伝えているつもりなのに、あるいはシラバスを通じて示したはずなのに、生徒や学生にアンケートをとってみると、「目標提示」の項目で想定外の低評価…。こんな経験をなさっている先生方も少なくないようです。低評価となったのは、学習目標を先生が伝えていないのではなく、生徒/学生の側に伝わっていなかったということ。「伝えられたものを受け止めるだけの前提」が学…