評価基準やアンケートの文言を正しく理解させる
生徒が学びを振り返るときに拠り所となるもの(=基準)をしっかりと理解/認識させておくことの必要性については改めて申し上げるまでもないかと思います。漠然とした「振り返りらしきもの」で感想レベルのアウトプットを得たところで「学びの改善」は期待できません。思考を重ねた結果である答案や発表には「採点基準」があり、学習への取り組みにも「活動評価の基準」(ルーブリックなど)があるはずですが、生徒はその文言の一…
当オフィスは、各地の学校で授業力向上や教育改善・学校改革のお手伝いをしています。
生徒が学びを振り返るときに拠り所となるもの(=基準)をしっかりと理解/認識させておくことの必要性については改めて申し上げるまでもないかと思います。漠然とした「振り返りらしきもの」で感想レベルのアウトプットを得たところで「学びの改善」は期待できません。思考を重ねた結果である答案や発表には「採点基準」があり、学習への取り組みにも「活動評価の基準」(ルーブリックなど)があるはずですが、生徒はその文言の一…
以前の記事では、授業内外に「理解して覚えたことを課題解決に用いる場面を設けることが、学習目標の理解や学習を通じた成果(学力向上や自分の進歩の実感)を確かなものにする上、授業内活動を高めて対話的で主体的な深い学びの実現に近づく可能性をデータで示しました。しかしながら、理解したことを用いて解決する課題が授業内外に整えられているのに、生徒の側でそれを「知識活用の機会」として認識していないというケースが稀…
発表やプレゼンの評価、論述答案の採点などにルーブリックを適用してみたとき、生徒による自己評価の結果と先生方の目での評価の結果との間にどのくらいのズレが生じているでしょうか。同じ評価/採点基準(観点別に定めた段階的な評価規準)に照らしている以上、基準の適用が正しくできれば、先生がやっても生徒がやっても結果は同じになるはずなのに違いが出ているというのは、生徒は観点や規準をきちんと理解できていない/適用…
学習目標を示すのに最も効果的なのは、別稿で書いた通り、「学び終えたときに解を導くべき問い」を導入フェイズで示しておくことですが、練習や話し合いなどの活動の場面では「解を導く」こと以外にも目標があり、その効果的な伝え方を別の形で確立しなければなりません。練習を通じてできるようになるべきこと、取り組みのポイントやふるまい方、協働場面でのチームへの貢献などの「実現を目指すべきこと」を行動評価の基準として…
主体的、対話的な深い学びの実現のカギをにぎるのは、生徒に自ら問いを立てさせることだと思います。先生方の発問や教科書会社が用意した設問が、個々の生徒の興味を十分に刺激するとは限らず、学びは自分事にならない(=学ぶことへの自分の理由を持てない)かもしれません。また、教材を離れ、問いが付与されていないテクストや資料を読む場面では、読み取ったことの中に自ら問いを立てられてこそ、より深い理解が作られますし、…
1 学習目標の示し方 Updated! 1.1 学習目標の示し方(序) (その1)目標を共有することの効能 (その2)目標に立ち返り成果を確認 (その3)学び方の獲得も重要な目標1.2 学習目標が伝わらない?(前編、後編)1.3 解くべき課題は明らかなのに学習目標がわからない? 2 解くべき課題を通した目標理解 2.1 学習目標は解くべき課題で示す ★ ・単元ごとに設定するターゲット設問 ・…
学習活動において、生徒が学習目標を正しく認識していることは、積極的な取り組みの前提であることに加え、生徒の側での情報補完を容易にすることで生徒の理解力を底上げするなどの効果も得ます。また、目標とするところをきちんと把握できていないことには、目標を達成できたとの実感も曖昧になります。達成感はモチベーションの原資ですが、それが希薄になることのデメリットは計り知れません。学習目標をはっきり示すことで苦手…
学習目標という言葉で最初に思い浮かぶのは「単元の内容を理解すること」かもしれませんが、それだけではありません。内容を学ぶことを手段に様々な能力や資質(基礎力、思考力、実践力など)を獲得することも目標です。(cf. カリキュラムは{学習内容×能力資質}で設計する)わからないことがあったときに調べたり、予習復習を進めたりするときの「学習方策」を身につけること、加えて、協働で課題解決に臨む場面でのふるま…
先生方と違い、生徒や学生は何といっても「新単元を学び始める前」です。単元や項目の目標や意義をどれだけ言葉を尽くして伝えても、意図するところをすべて理解し、受け止めるのは容易ではありません。前稿では、そんな場合に試してみるべき方法として「内容を学び始める前のプレ活動」をご提案いたしました。今回は、それでもうまく行かないときの「次善の策」、終了時に使える一手も含めて考えてみます。 2015/02/24…
日々の授業に際して「本時の目標」を欠かすことなくきちんと伝えているつもりなのに、あるいはシラバスを通じて示したはずなのに、生徒や学生にアンケートをとってみると、「目標提示」の項目で想定外の低評価…。こんな経験をなさっている先生方も少なくないようです。低評価となったのは、学習目標を先生が伝えていないのではなく、生徒/学生の側に伝わっていなかったということ。「伝えられたものを受け止めるだけの前提」が学…
シラバスや学習の手引きによく見られる「○○について理解する」といった目標の記述は、本時の学びで目指すところを、生徒に正しく伝える機能を十分に備えているでしょうか。これから学ぶ(=まだ勉強したことのない)ことの項目名を挙げられても、何をするのか、何を学ぶのかをイメージできるとは思えません。また、学習が終わった後で「学習目標」に立ち返って/読み直してみてもなお、自分が目標を到達できたのかどうか把握でき…
新年度も近づいています。オリエンテーションや授業開きに向けた準備も進んでいることと思います。その場では、生徒に守るべきルールや履行を心掛けて欲しい行動を明確且つ具体的に伝えることも大切です。伝えるためには、その内容が確固たる土台を持ち、的確な表現を与えられている必要があるのは言うまでもありません。根っこに立ち返り、生徒にどんな成長を遂げて欲しいか、どんな生徒を育てるのか、教育活動を通して目指すゴー…
単元内容が明示され、何を学び、何を身につけるべきかが示されたとしても、その前段階として、「何のために学ぶのか」という問いに生徒が答えを見いだせないことには、「学ぶことへの自分の理由」は生まれてこないのではないでしょうか。自分の理由がなければ、所詮は他人事。身を入れて学ぶ気にならなかったとしても、生徒を責めるわけには行かないような気がします。何のために学ぶのかという如上の問いには、「学ぶことがどのよ…
日々の授業や各単元の学習に明確な到達目標を設定し、生徒としっかり共有できているかどうかで学びの成否はほとんど決まってしまいます。学習目標の提示には様々な方法が試されていますが、単元名や指導案で見かけるような「〇〇について理解を深める」といった表現で「本時の学習を通じて達成すべきこと」を生徒は十分に把握できるでしょうか。まだ学んでいないことだけに、何を学び、どこまでわかれば/できれば良いのか、生徒に…