緊急事態宣言の解除が進む中、学校の再開にむけた準備が本格化しています。「休校期間中の自学自習/遠隔指導」と「学校再開後の教室での対面授業」との円滑な接続をいかに実現するかは、この局面での最重要課題の一つであると考えます。
まずは、休校期間中の学びの成果をしっかり確かめることが先決です。3か月近くに及んだ臨時休校の間に、生徒が何を身につけ、どんなことができるようになっているのかを見極めないことには、これから先の指導を正しく設計できません。
休校中の課題についての確認テストや、授業再開までに仕上げるべき単元課題などで、生徒がどこまで深く教材に関われたのかを確かめてから学校再開後の授業計画を固めて行きましょう。
先日(5月15日)の文科省通知にも、「個人で実施可能な学習活動」と「教室の中で重点化すべき学習」の切り分けに言及がありました。両者を合理的に切り分けるには、休校期間中の学びの様子を正しく把握しておくことが大前提となることは言うまでもありません。
こうした問題意識に立ち、考えるところを記事にまとめてみました。お時間の許すときにご高覧いただければ光栄に存じます。
休校明けの授業を円滑に再始動する
- まずは、家庭学習の成果をしっかり確認
- 確認テストを行うか、単元課題で評価するか
- 教室で学ばせることを絞り込んで授業を再計画
- 遠隔指導やICT活用のノウハウを継続開発
- 追記:5/15 文科省通達(要旨抜粋)
- 成果を伝えて組織的な授業改善にムーブメントを
- まずは効果を客観的に示すエビデンスを揃える
- データを示したら、指導の実態を丁寧に伝える
- それでも伝わらなければ目的の再共有から
休校中の様々な制限のもとでなされた先生方の工夫や試行錯誤は、好適な指導手法の確立という成果をあちこちに結んでいるはずです。
将来、似たような危機が訪れないとも限りません。効果測定を通し、ここ数か月で作り出された好適なノウハウの抽出と共有を図ることは次の危機に備えたリスクマネジメントとして重要な意味を持ちます。
イレギュラーな実施形態の中での授業評価アンケート
- 再開後の授業への円滑な接続には生徒意識の把握
- 効果測定を行い、次の危機に備えた指導法の確立
- 自学自習状況調査は、休校解除のタイミングで
- 学習者に一定の働きかけをしたら、授業評価の対象
- 質問設計は目的変数を固定+説明変数をアレンジ
休校中には、生徒が学ぶ状況の観察も様々な制限があり、きちんと把握できていない部分が少なくないはずです。各科目の学びへの生徒の意識のありようも、アンケートなどを用いきちんと確かめておく必要があるのではないでしょうか。
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