新学習指導要領への移行に向けて教育課程の見直しが進む中、探究活動をどうプログラムするかはとりわけ大きな課題です。どれほど意欲的にプログラムを設計しても、指導時間の限りもあって、各教科での学習や進路指導と関連付けなしには十分な効果は得られません。
探究型学習のプログラム作りを単体で進めていくのではなく、学校の教育活動全体を見直し、個々の指導場面の目標を達成することが他の教育活動の成果を高める土台となる設計を心掛ける必要があります。
体験的・横断的な総合学習の先に置かれる、調べ学習とは一線を画する探究活動とは何かを考えるところから始め、探究活動の作法の学ばせ方、図書館との連携、教科学習指導や進路指導との関連付けまで踏み込んで、全体構想(グランドデザイン)を描き出しましょう。
立場の違いから生じる価値の競合を避け、各教員・各組織の協働を加速させるには、「どんな人材を育てようとしているのか」、「本校は何を目指すのか?」という問いに答えを共有することが最初の関門です。
昨日までの記事をひとつのシリーズにまとめました。
探究活動の課題~調べ学習との境界と進路への接点
各地の学校で行われている探究活動や課題研究を拝見する中、生徒の取り組み方にはいくつかの類型的な問題点があるのではないかという思いを強くしています。とりわけ、調べ学習と探究活動の境界がどこにあるか理解していないこと、巨人の肩の上にまだ到達していないことへの自覚がないこと、選んだテーマに「自分ごと」としての関わりを見出していないことなどは、多くの生徒に見出される特徴ではないでしょうか
調べ学習との違いを十分に認識していなかったり、自らの進路やこれからの学びとの接点が意識されないまま、カッコつきの「探究活動」に取り組んでいる生徒がいます。ひとつには、探究活動の進め方や守るべき「作法」を学ぶ機会がなかったことが原因かもしれません。探究活動の方法に関する参考書を一冊持たせ、折あるごとに参照させたり、過年度生が残した論文を教材に作法を学ばせる指導機会を整えたりする必要がありそうです。
探究型学習を学校の教育活動の軸に据えようとするなら、図書室との連携は欠かせません。ここ数年、学校を訪ねるとき、図書室を覗かせていただくようにしていますが、自習室としての使用がメインになっているせいか、蔵書群に学校が力を入れている教育活動との関りを見出せるケースばかりではありません。特設コーナーを設けて、探究方法に関する本以外にも、生徒の探究マインドを刺激する書籍も並べてみたいところです。
探究活動にしっかり取り組ませるには様々な土台が必要です。探究の方策を学ばせる機会も作らなければなりませんし、「読んで理解したことを元に考える力」や「質問を立てる力」も育まなければなりません。これらを探究活動にあてた僅かな指導時間で完結させるのは困難です。こうした土台の大半は、日々の教科学習指導の中で培っていくべきものであり、探究活動は獲得した力を実地の場面で試してみる場面と考えるべきではないでしょうか。
ジャンル別インデックス「探究活動、課題研究」の各記事も併せてお読みいただければ光栄です。