あなたは、自分なりの課題や目的意識をもってこの授業に取り組んでいますか――この質問にYESと答えた生徒には、きちんと学力向上感を与えてあげなくてはいけませんが、かといってNOと答えた生徒を放っておいて良いという話でもありません。
下図は、生徒本人の目的意識(≒学習意欲)の強弱により、学力や技能の向上を感じたかどうかを尋ねる項目での評価がどのように違うかを調べてみたものです。調査対象としたのは280の授業です。
マーカーの一つひとつが個々の授業を表しています。中央やや右寄りにある◆は対象とした全授業の平均で、グレーの網掛けは、縦軸・横軸それそれで上位1./4から下位1/4の範囲内であることを示しています。
横軸方向で85ポイントを超えるような高い評価を得ていても、縦軸方向では大きな開きがあるのは、一見しておわかりいただけるはずです。
全体を9分割して、それぞれの度数を調べてみたところ、以下のような結果になりました。表中の「上位」「中位」「下位」は、学習効果における得点での区分で、上位1/4、中位1/2、下位1/4を意味し、それぞれのセルは、上の散布図中のグレーのラインで仕切った9つの領域にそれぞれ対応しています。
目指すべきは、高意欲群に訴求し、かつ低意欲群でも一定の成果が得られる授業、つまりAエリアに含まれる最上段の右側2つ、「36」と「32」が入っているセルです。
一方Bエリアは、高意欲群に訴求しながら低意欲を支えられていない授業ということになります。その数は合計で142におよび全体の50%を超えました。
次稿では、AエリアとBエリアとを分ける要素がなんであるか、もう少しデータを詳しく見て特定を試みたいと思います。
その2に続く