新課程の枠組みで考える「知情意」
3年後に登場する新一万円紙幣に肖像が刻まれることになり、大河ドラマ「青天を衝け」も放送されるなど、渋沢栄一はちょっとした時の人になっています。この4月に放送された「100分 de 名著」を視聴したのをきっかけに「論語と算盤」(角川ソフィア文庫)を読んでみました。なかなか読みごたえのある一冊ですが、中でも第3章「常識と習慣」に触れられている「智情意」は、多くの学校で教育目標の記述に用いられており、考…
新しい学びの中で「覚える力」が持つ意義
社会に出ると、純粋な記憶力が問われるシーンはそれほど多くないように思います。日々発達するICTは、計算のみならず「記憶」も代行してくれます。膨大なデータを「検索」するスピードと精度は、人の「想起」をはるかに上回りますし、記憶が変に混ざることもありません。ならば、覚えることはすべて機械に任せ、人はもっとクリエイティブな知的活動にエネルギーを使いましょうという話になりそうですが、ことはそう簡単ではなさ…
全教科でコミットすべき能力・資質の涵養
定期考査の失敗を繰り返させない~リベンジ自習会
そろそろ中間考査の時期です。新学期を迎えてからここまでに生徒が学習の正しい方法と習慣を身につけることができたか、この機にしっかり確認しましょう。特に1年生は、生活環境も学習内容も大きく変化した中で、学びのスタイルを上手くアジャストできたかが試されます。年度が替わって初めての定期考査にきちんと結果を出せた生徒はひとまずこれまでのやり方で構わないと思いますが、成績下位に止まった生徒や前年度に比べて不振…
ノート指導、タスク管理
1 ノートにメモを取らせる指導 1.0 ノートにメモを取らせる指導(記事まとめ)1.1 ノートにメモを取らせる指導(その1)1.2 ノートにメモを取らせる指導(その2)1.3 ノートを取らせて学習スキルを確かめる 2 学習機会としての模試受験 2.0 学習機会としての模試受験(序)2.1 学習機会としての模試受験(その1)~仕上げさせる2.2 学習機会としての模試受験(その2)~計画させる2.3 …
振り返りを経てこそ次への課題形成
指導目標と指導方法が変わったら定期考査の問題も
答案を正しく評価できているか
別稿「学力観の変化は良問と悪問の分け方を変える」でも申し上げた通り、高大接続改革以降の入試で出題の増加が予想される「答えが一つに決まらない問題」などの新しいタイプの問題では、採点基準の在り方しだいで、設問は良問にも悪問にもなり得ます。答案を正しく評価することは、生徒の学びを正しい方向に導くことにほかなりません。新しい学力観に沿った出題が増える以上、それを正しく採点する方法の開発・確立は真っ先に取り…
本日のブログ、お休みします(パソコントラブルで)
おはようございます。 今朝、「さあ、今日も頑張るぞ」とパソコンを立ち上げて、メールを確認しようと思ったところ、本文の2行目以降が表示されないトラブル。 状況の確認と対処法の模索に、もたもた手こずっているうちに、今日のブログの記事を起こす時間がなくなってしまいました。(昨夜の内に書き上げとけば問題なかったのですが…。宿題は寝る前に終えないと。) そんなわけで、本日のブログ、お休みさせていただきます。…
分散登校/オンライン授業下での授業計画の見直し&修正
緊急事態宣言の延長と対象地域の拡大で、学校の授業にも影響が大きくなっています。分散登校とオンライン授業の併用で対応しているケースが多いようですが、通学時間をずらすための短縮授業なども行われる中で、授業を予定通りに進めるのは容易ならざるものと拝察いたします。 たとえオンライン環境が整っていても、画面を見ながら生徒が集中を維持できる時間は普段の授業より短くなりますし、アクティビティの切り替えやフォーメ…
ボールを投げるのはミットを構えさせてから
相手にボールを投げようとするときには、相手がミットを構えているかを確認しますよね。少なくともこちらを見ているかどうか確かめているはずですが、普段の指導の中で同じことが徹底できているでしょうか。大事なことを伝える前に、前振りもせず、問題意識や関心を刺激しておかなかったら、投げられたことにすら気づいてもらえなかったボールがグランドの隅を転がるのと同じように、伝えたことは生徒の意識をすり抜けてしまい、受…
指導計画は所期の効果を得ているか~中間検証の準備
新学期が始まって数週間が経過し、学校もようやく平常運転と思っていたところに、緊急事態宣言の発出などで分散登校やオンライン授業への切り替えを余儀なくされている地域もあります。本年度の教育活動にも年度末の段階で計画した通りに進めるのが難しい部分が出てきているのではないかと思い、各地の学校のご様子をお伺いしてみると、計画に多少の変更はあっても、様々な工夫を凝らしたことで、成果が期待できる状況にあるとのお…
指示を的確にこなす生徒~それだけで良いのか?
どの生徒のノートもしっかり板書を書き写しているし、予習も完璧に行われており答え合わせだけで十分。生徒を指名しても期待通りの答えがきっちり戻ってくる。一見すると「これまでの指導の成果」のように見えなくもありませんが、どこかに違和感を覚えます。もちろん、ちゃんとノートを取れない、予習もしない、答えさせれば的外れというのでは、これまでの指導のあり方を反省しなければならないでしょうが、指示を的確にこなす姿…
高校生のタスク管理&スケジューリング
生徒にもやるべきことが山ほどあります。日々の勉強に加え、部活動や生徒会活動、家事や家業にアルバイトなど、タスクの多様さは社会人を上回るかもしれません。時間を効率的に使い、手持ちの時間の中にやるべきことをきちんと配列できるようになってもらいたいところです。多彩なタスクの中で、生徒が自分を成長させ、未来を拓く力を身につけていくのに必要なことを後回しにさせないよう、しっかりとタスク管理とスケジューリング…
三度めの緊急事態宣言~分散登校、リモート学習への備え
東京、大阪、京都、兵庫の4都府県に緊急事態宣言が発出されることになりますが、都立高校などでは分散登校を実施し、自宅でのオンライン授業と組み合わせて、通学する生徒を減らす方針とのこと。 期間が大型連休と重なるため、実質的に影響を受ける授業日数はそれほど多くならずに済むかもしれませんが、感染拡大が収まらず、他の地域にも緊急事態宣言の対象が広がっていく可能性も否定できません。 ここでもう一度、リモート指…
既卒生が残した「成果」を教材に~探究活動の導入指導
高校に入学してくる生徒は、小学校や中学校で横断的、体験的な「総合的な学習の時間」を経験してきていますが、高校で新たに取り組むのはその先にある「総合的な探究の時間」です。数学や情報の授業で新たに獲得する知識や技能なども駆使して課題の解決に取り組む中、これから自らが生きていく社会に自分がどう関わり、どんな接点を持ちえるのかを「探究」していくことになります。当然ながら、初めて挑戦する学びである以上、取り…
声に出して教科書を読むことの効能
ICTの導入が進む中で、個々の機器も技術の進歩でどんどん使い勝手が良くなっています。道具は上手に使えば、余計なところで浪費していたエネルギー(時間や手間)を目的に直結するところに集中して使えるようになるだけに、使い方を工夫し、積極的に活用したいところです。その一方、手を使って板書や資料を書き写すことや声に出して教科書を読むといった、特別な道具もいらなければ、やり方を改めて学ぶ必要もない「クラシカル…
令和3年度も宜しくお願いいたします。
新年度となりました。お陰様で当オフィスも、マイペースながらも充実した日々の中、あしかけ8年度目を無事に迎えることができました。ひとえに、皆様のご厚情の賜物と、衷心より御礼を申し上げます。これからも引き続き、「現場で頑張る先生方を応援します」という開業以来のミッションを実現すべく、できる限りを尽くして参る所存です。ご指導を賜る機会も今後ますます多くなるかと存じますが、何卒宜しくお願いいたします。新年…