2021年に多くお読みいただいた記事
遅ればせながら…、旧年中は大変お世話になりました。改めて御礼を申し上げます。本日よりブログの更新再開です。本年も何卒宜しくお願いいたします。今週末に行われる、大学入学共通テストの出題がどんな内容になるか、とても気になるところです。昨年の第1回のものが基本的には踏襲されるものと予想しますが、さらなる工夫も盛り込まれるかもしれません。4月から始まる高校での新課程の主旨を先取りした出題も含まれるのではな…
ひとつの教材を扱う中で4技能を養う(その2)
前稿に引き続いて、これまで以上に重視される「思考力・判断力・表現力」の育成と、「4技能の向上」という2つのミッションを同時に達成し、さらには「自学を可能にする学習方策の獲得」も目指した授業を、限られた指導機会/時間の中でどう実現すべきか考えてみます。教材をいたずらに増やすのではなく、精選した教材で(可能な限り教科書から離れずに)多角的な活動を通して学びを深めるのが戦略の中心になりますが、他教科/探…
ひとつの教材を扱う中で4技能を養う(その1)
新課程のベースとなった「21世紀型能力」では、言語、数量、情報の各スキルが「基礎力」と定義されていますが、英語は国際化がさらに進む社会において、すべての教科を学ぶための基礎として、これまで以上に重要なポジションに置かれます。英語学習が直接的に目的とするところは「4技能のバランスの取れた獲得」であることに間違いありませんが、他教科を学んだり、探究活動に取り組んだりするときの、情報の収集、発信といった…
単元で学んだことの体系化に挑ませる
どの科目でも、ひとつの単元で沢山のことを学びますが、それをひとつずつ順番に覚えて行くだけでは単元の全体像をつかみきれなかったり、体系化された知識にならなかったりします。まとめプリントを先生が作って配ってあげたとしても、生徒は「自力で知識を体系化する場面」を経験しておらず、その姿勢と方法を獲得する機会も持てずにいるはずです。学んだことを生徒が自分で整理してまとめ上げる機会を持たせることには大きな教育…
カリキュラム全体の中での英語の位置づけと授業デザイン
大学入学共通テストの導入を控えて「英語の民間試験の導入」で大騒ぎがあったのは記憶に新しいところです。その後は目立った騒ぎもなく、中高の英語教育を取り巻く環境は少し落ち着きを取り戻したようです。しかしながら、新課程への移行で学力観が大きく変わったのは、どの教科・科目でも同じこと。英語も例外ではありません。騒動が収まったからといって、従来の指導のままで良しというわけにも行きません。総合的な探究の時間の…
考査問題に使う初見材料をどこから調達するか
新課程への移行で、獲得させた知識・技能が「生きて働いているか」を確かめる必要性が高まりました。教室で学ばせたことをしっかり記憶し答案上に再現すれば丸がもらえる問題だけでは、その要件を満たせず、初見の材料(本文や資料)で作られた問題を前に、どの道具(知識や技能)を使い、どのように答えを作るかを考えさせることになります。従来通りの定期考査ならば、その材料は教科書や副教材に求めるだけで十分でしたが、今後…
考査問題における得点集計(集計の取り方と活用法)
問いのあり方に焦点を置いた授業研究
以前の記事で、教室でしかできない学びを充実させるべく、授業は問いを軸に設計するのが好適と申し上げましたが、これを裏返して考えるとターゲットに設定した問いによって、授業の質/生徒がそこで学べることが大きく変わってしまうということです。先生方が集まって「より良い授業」を目指した研究や研修を行うとき、教え方や学ばせ方に焦点を置くケースが多いように思いますが、学力観が大きく変化した今、問いのあり方をテーマ…
授業評価アンケートを行うときの最小要件
生徒による授業評価アンケートは、「より良い授業の実現/授業改善」を目的に、現状の把握と課題形成を図り、これまで重ねてきた改善行動の効果を測定するためのものです。喩えるならば、健康の維持と増進を目的とした場合の「定期健診」と同じような位置づけでしょうか。この目的のためにアンケートの結果を有効に活用できるかどうかのカギは「質問設計(評価項目と質問文)」と「集計方法」にあります。 2017年03月16日…
優れた実践を見て言語化する(見取り稽古)
剣道や合気道では「見取り稽古」というのがあります。ほかの人の稽古や試合を見てその技術を学ぶことですが、単に上手な人の技術を真似るだけではありません。上手な人のやっていることを基準に、今の自分の技術を相対化して、より良くなるための課題を明確にすることで今後の練習に方向性や目標を見出すのが、この稽古が目的とするところです。先生方が授業改善への取り組みの中で行う「相互参観」は、言うならば教科学習指導にお…
当ブログの記事を印刷/スクラップするとき
進路希望を作る指導[進路意識形成](まとめページ)
生徒の進路希望の実現を支えることは、指導に当たる先生にとって大事な仕事の一つであるのは間違いありませんが、それに先立ってしっかり行うべきは、生徒一人ひとりが明確な理由を持った進路希望を持てるところまで、選択に至るプロセスをきちんと踏ませていくことです。 進路希望を作り上げていく過程で、調べるべきことを調べ尽くしていなかったり、考えるべきところできちんと対象や自分に向き合っていなかったりしたら、作り…
ネット上の記事や情報をプリント/スクラップするときに
高大連携や進路関連のイベントに外部人材を活用 #INDEX
進路指導やキャリア教育、探究活動など、校外から講師や助言者などを招いて行う行事/イベントは多岐にわたります。研究や実業の場で日々活躍している人との接点は、生徒にとって大きな刺激と啓発を与えてくれますが、そうした人をただ招くだけでは、生徒の成長(考えや行動の変容)に狙った通りの大きな効果が得られるとは限りません。行事やイベントを設定できる日程、開催のチャンスには限りがありますので、貴重な機会の一つひ…
高大連携や進路関連のイベントに外部人材を活用 #3
高大連携や進路関連のイベントには、講演会や成果発表会など以外にもワークショップ形式のものがありますが、近年、主体的・対話的な学びが重視される流れの中で、ワークショップの形式をとるもの(あるいはその要素を含んだもの)の比率が高まってきているように感じます。ここでも、外部から招いた人材をファシリテーターなどに上手に活用すると、教育効果はより大きくなることもありますし、先生方にとっても新たな発想を得て、…
高大連携や進路関連のイベントに外部人材を活用 #2
前稿で取り上げた外部講師による講演以外にも、校外から専門家などを招いて行う生徒向けの行事には、探究活動や課題研究の成果発表会での指導講評などもあります。「総合的な探究の時間」の導入で、その機会は今後ますます増えていくものと思われます。 発表した成果に対する講師からの指導や講評は、これまでに取り組んできたことをきちんと評価してもらうと同時に、これから先の取り組みに方向性を見つけるための貴重な機会。次…
高大連携や進路関連のイベントに外部人材を活用 #1
高大連携や進路関連のイベントは、生徒に大きな刺激と成長のきっかけを与えますが、先生方だけでなく、参加する生徒にとっても貴重な時間を投じるだけに、費用対効果はできるだけ大きくしたいものです。 指導計画全体で目指していた所期の目的を達成するには、イベントが単発のもので「閉じて」はいけません。計画全体の中で明確な位置づけがなされる必要があるはずです。 事前の指導や事後の指導と一体化して、イベントが企画・…
体験学習をただの体験で終わらせない
多くの学校が、生徒に様々な「体験学習」の場を用意しています。農村や里山などを訪ねたり、防災活動などで地域社会に関わったり、各校の教育意図から生まれたプログラムには大きな期待が向けられています。修学旅行や海外研修でも、以前に比べて意図の明確なものが多くなっているのは、先生方もお感じになっておられるところだと思います。しかしながら、実際の運用を拝見する中、せっかくの貴重な体験が生徒にとって有為な学びに…
探究活動の課題~調べ学習との境界と進路への接点
各地の学校で行われている探究活動や課題研究を拝見する中、生徒の取り組みにはいくつかの類型的な問題点があるのではないかという思いを強くしています。とりわけ、 調べ学習と探究活動の境界がどこにあるか理解していない わかっていることを調べ尽くす前に先に進もうとしている 選んだテーマに「自分ごと」としての関わりを見出していない などは、少なからぬ生徒に見出される特徴ではないでしょうか。これらはいずれも、探…