年末に行わせる「4月からの学びの振り返り」

期末試験の時期を迎えました。答案返却日には、生徒はここまでの期間に重ねてきた学びの成果を、点数というひとつの指標に照らして確認することになります。考査が終わった解放感もあるでしょうが、ここできちんと振り返りをさせることが先の歩みを大きくさせます。思ったほど成績が振るわなかった生徒もいるでしょう。「まあ、仕方ないよね」と開き直られても一歩も前に進みませんし、悪い点数を前に落ち込んでいるだけでも同じで…

最終局面での進路指導~出願校選定から卒業まで

いよいよ受験期本番が間近に迫りました。ここから先、生徒一人ひとりの状況を把握しつつ、その頑張りを支えるため、指導にはきめ細かな配慮が必要になりますし、出願をはじめとする重大な選択も続きます。この最終局面での指導に明確な見通しと戦略をもち、しっかり準備して臨めるかどうかは、生徒の未来に小さからぬ影響を及ぼすはずです。冬休みに入れば、先生方の間での情報交換や目線合わせの機会は持てなくなります。年末の忙…

浪人して捲土重来を期すなら

受験本番が近づく中、十分な勝算のもとで第一志望に挑める受験生もいれば、多少のビハインドを抱えながら逆転をかけて勝負を選ぶ受験生もいると思います。この時期の過ごし方は、受験生/学習者としての成長も大きく左右しますので、日々を大切にしてほしいと思います。中には浪人の可能性も思い浮かべながらの終盤戦という生徒もいるかもしれませんが、浪人して捲土重来を期すなら猶のこと、この受験期の過ごし方が大切です。勝負…

大学に進んでから燃え尽きさせないために

進路希望の実現に向けて頑張ってきた生徒には、進学先でも新たな夢の実現に充実した日々を過ごしてほしいところですが、様々な統計を見ると、学業不振や学校生活への適応で苦しんでいる学生も少なくないようです。こうした問題に対して、大学に送り出すまでに高校の中で打っておくべき対策もあるように感じます。 2017/03/30 公開の記事を再アップデートしました。 ❏ 学業不振や学業への無関心が中途退学の主因 古…

卒業を前に改めて考える、大学に進んで学ぶ理由

年末を迎え、総合型選抜で受験した生徒の合格の知らせが既に届き始めていることかと思います。学校推薦型選抜の結果もいよいよです。生徒が進路希望を叶えて進路を決めたのは喜ばしいことですが、生徒一人ひとりが「なぜ大学に進んで学ぶのか」という問いに自分の答えを持っているか、この局面でこそ確かめてみるべきではないかと思います。大学・学部を選ぶときは「大学で何を学ぶか」が焦点ですが、進学先が決まった生徒には「何…

進学先の確保と進路希望実現のはざま

進路希望の実現に向かう最終フェイズで、生徒一人ひとりが最後まで第一志望を貫徹できれば何よりですが、大学入学共通テストの結果などでセカンド・ベストへの切り替えを検討しなければならないケースもあります。出願指導では「進学先を確保してあげたい」と「初志を貫徹させたい」の狭間で先生方も判断に迷うことが多いのではないでしょうか。いざ最終選択という場面を迎えて、判断を誤らない(=後悔しない選択ができる)ように…

出願指導に向けて~事前研修とデータの確認

師走が慌ただしく過ぎると、あっという間に大学入学共通テストです。その後には自己採点結果を踏まえた出願指導が待っていますが、それに向けた準備(指導の計画)は万全でしょうか。どれほど綿密に練った計画も、実施に移すと意図通りに進まないこともあります。その主な原因は、実際に指導に当たる先生方のスキルや知識が追い付かなかったり、個々の生徒の置かれた状況が事前の想定と異なったりすることです。受験本番を控えた待…

現2年、現1年に対する、進級を見据えたゼロ学期指導

別稿「ゼロ学期を迎えるに当たり~指導計画作りへの下準備」では、新年度を迎えるために行う教員組織内の業務に焦点を当てましたが、もう一つ忘れてはいけないのは、進級を控える生徒(現2年、現1年)に対する「新年度に向けた準備を整えさせる指導」です。春を迎えて最上級生となる現2年生は、来年度の履修科目選択の希望を提出したことで「受験生」になる第一歩を踏み出したことになります。ここで歩を止めさせず、二歩め、三…

進路を選択する中での「自分を知る」をどう考えるか

進路指導計画は大きく分けて進路意識を形成する過程と進路希望を具体化し実現する過程とがありますが、前者の中に配置されているのが「自分を知る」ことをテーマにしたセクションです。呼び方は学校によって様々ですが、職業や社会を知ること、大学(学部・学科)や学問を知ることとともに3ヵ年/6ヵ年の計画に何らかの形で配列されています。 2019/11/18 公開の記事をアップデートしました。 ❏ 知るべき「自分」…

履修科目選択と進路希望調査(志望理由の確認)

11月も半ばを迎え、高校2年生は3年時の履修科目選択に頭を悩ませている頃かと思います。1年生も2年での文理選択が迫ります。履修科目/文理を選択させるに当たり、生徒の希望を調査するだけでは指導が完結しないのは言うまでもありません。生徒一人ひとりの状況を確認し、より好ましい選択に向かわせる必要があります。何となくの選択では、その先に一人ひとりの志向や資質に見合った未来が待っている可能性は下がるばかりだ…

発言がどこから生じているかを読み取らせる

文章を読み、あるいは発言を聞いて、言葉に表現されている内容を正しく理解することは大切であり、「読むこと」の第一の目的であることに異論を差し挟むつもりはありません。しかしながら、時には直接的に表現されていることの奥にあるもの、主張の根拠や、発言に込めた意図、筆者のバックグランドや根っこの思想まで推し量り、さらには「この場面ならこの人は何と言うか/どう主張するか」まで踏み込んで考えて読むことも必要では…

令和7年度(2025年度)の大学入学共通テスト

先週水曜日(11月9日)に大学入試センターが「令和7年度試験の問題作成の方向性,試作問題等」を公開し、大きな話題になっています。国語でも、グラフがいくつも問題に組み込まれ、データを基に考察する場面が設定されるなど、ひと昔前の出題とは大きく様変わりです。試作問題に添えて公開された「問題作成方針に関する検討の方向性について」や各科目の「試作問題の概要」にも目を通した上で、どのような方向で今後の学習指導…

生徒の意見や所感をシェアする

対話を通じた深い学びを実現するには、ペアやグループでの生徒同士の話し合いに加えて、問答を通じた「先生との対話」や、教科書や資料、副教材を問いを立てながら自力で読んで理解する「テクストとの対話」の充実も図る必要があるのは、昨日の記事で書いた通りです。また、生徒同士の対話にしても、バリエーションは顔を突き合わせ直接的に交わす会話(話し合いや教え合い)だけではありません。先生と他の生徒の間で行われている…

発問で引き出した生徒の発言をどう扱うか

対話的な学びを実現するのに、生徒同士の対話ばかりを増やしても十分とは言えません。教科書や資料を読んでのテクストとの対話や、問答を通した先生との対話をしっかり充実させる必要があります。テクストを介した先人との対話については以下の記事もお読みいただきたく存じますが、本稿は後者にスポットを当ててみます。 2018/06/25 公開の記事をアップデートしました。 問いを投げかけ考えさせ、せっかく生徒の発言…

教科会に期待される役割~ちゃんと機能していますか?

教科会が年間スケジュールに組み込まれた定期開催となっている学校ばかりではなく、重要な確認事項があるときにのみ開催するというケースも少なくないようです。教科内の情報共有は主に職員室などでのカジュアルな対話を通じて行われているだけで、議論やすり合わせをしっかり行う場はなかなか確保できないというお話も耳にします。会議はそれ自体が時間という教育リソースを消費する活動ですので、できれば少ないに越したことはな…

探究のスキルと姿勢を学ばせる(まとめページ)

新課程への移行で「総合的な探究の時間」が本格的に始まりました。問題解決・発見・創造力、社会参画力、持続可能な未来への責任といった21世紀型能力に並ぶ様々な能力・資質を獲得させることを目指して、先生方は日々のご指導に工夫を重ねておられることと拝察いたします。探究活動を進める上で必要となる様々なスキル(探究の方策)や活動に向かう姿勢(探究マインド)を学ばせるには、週に1~2コマの指導機会だけでは不足も…

探究のフェイズごとにきちんと評価&フィードバック

教科学習指導では、”学習目標は解くべき課題で示す“で書いたように、導入フェイズでターゲット設問を提示しておけば、学び終えてからその問いに立ち戻って答えを仕上げさせることで学習目標の達成を検証すると同時に、学びをより深く確かなものにすることができますが、探究活動や課題研究の場合、同じ手法が使えません。探究活動の目的から考えるテーマ選びでも申し上げましたが、探究活動では、生徒自…

成果発表会の“成果”(その2)

前稿(その1)でも書いた通り、課題研究/探究活動の成果発表会は、次学年に多くのものを引き継ぐための教育機会です。先輩学年が考察を重ねてもなお残った未解決の課題は、後輩学年の研究テーマになり得ますし、研究や考察の中で用いた/見出した優れた手法は、倣うべきものとして後輩たちにもしっかりと学ばせたいものです。自分自身で探究に取り組んだ経験は、大学で何を学びたいのか/学んだことを通じて社会とどう関わるのか…

成果発表会の“成果”(その1)

機会あるごとに、各地の学校での探究活動/課題研究の発表会を参観させていただいております。プレゼンやポスターからは、生徒一人ひとりの頑張りや先生方がご指導に凝らした工夫の成果が伝わってきます。活動を通して得たもの(テーマに関する新たな知見のみならず、探究を進める上で必要なスキルや姿勢も含めて)を発表するのは、成果をまとめて、確かなものにする「仕上げ」のためですが、さらに大きな成果をより広い範囲に届け…

他教科の授業で生徒が学んでいる「探究の方策」

総合的な探究の時間が「教科横断型の学びの場」である以上、自教科以外の授業で生徒がどんな探究のスキルや姿勢を身につけているかを知ることは不可欠。それらを踏まえないことには、生徒が獲得しているものを活かした/土台にしたその先の指導にはなり得ません。探究活動は、各教科で学んだこと(学習内容そのものに加えて、それらを学ぶことを手段として獲得した能力・資質)を、自分事としての課題の解決に使ってみることで、そ…