相手に行動や態度の変容を促すとき
新たな取り組みを始めるときの鉄則
学校に限ったことではありませんが、新しいこと(学校なら、教科・科目の新設、授業デザインの更新、新しい評価方法の導入など)にチャレンジしようとするときには、きちんと踏んでおきたい「手順」というものがあります。目的とするところの確認や、その達成に必要な事柄の洗い出しもそこそこに、思いつくまま拙速に走り始めては「成果」は不確かなはずです。成果検証の方法も考えておかないと「やりっぱなし」になりがち。次の指…
学ばせたことは、きちんと教科書に落とし込む
教室での学びを「きちんと教科書に落とし込む」ことには以下の効果が期待されますし、実際に教室で試してみるとその手応えも十分です。 個々の学習内容を全体像の中においた体系的な理解が形成できる 教科書を深く学べば受験にも対応できるとの安心感が得られる 教科書をきちんと読む[読めるようになる]ことに動機が生まれる しかしながら、授業時間の不足もあってか、その重要性にあまり目が向いていないのか、教科書の落と…
判断力をどう考え、育て、評価するか
新課程が求める学力の3つの柱の2番目には「理解していること・できることをどう使うか(未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」の育成)」が挙げられていますが、この能力・資質の育成には各教科の学習指導でも常に十分に意識を向ける必要があります。育もうとする以上、それらが何を意味しているのか、校内で共通認識を作っておかなければ目標も明確に設定できず、指導の方向性が先生ごとにバラバラということに…
学習目標は解くべき課題で示す
日々の授業や各単元の学習に明確な到達目標を設定し、生徒としっかり共有できているかどうかで学びの成否はほとんど決まってしまいます。学習目標の提示には様々な方法が試されていますが、単元名や指導案で見かけるような「〇〇について理解を深める」といった表現で「本時の学習を通じて達成すべきこと」を生徒は十分に把握できるでしょうか。まだ学んでいないことだけに、何を学び、どこまでわかれば/できれば良いのか、生徒に…
学ぶことへの自分の理由(後編)
当ブログでは「学ぶことへの自分の理由」という表現をあちこちで使っていますが、「自分」の反対は言うまでもなく「他人」です。先生方が入念に起こした学習指導計画も、生徒にしてみれば他人が考えるところに基づくもの。いわば「他人の理由」で作られたものであり、そこに「学ぶことへの自分の理由」を持てるとは限りません。内発的な動機(知りたい、解明したい、できるようになりたいといった欲求=自分の理由)から生まれた学…
学ぶことへの自分の理由(前編)
多様な意見と正しい理解(対話をどう収束させるか)
思考力や調査のスキルを身につけさせるためには、問いを投げかけて考えさせたり、お題を与えて調べさせたりすることが欠かせません。やらせないことには、その活動が必要とする能力・スキルは育ちませんし、生徒一人ひとりがどんな能力・スキルを獲得したかを観察し評価するにも、そうした活動の場を整えることは不可欠です。考えさせた結果や調べてきたことをシェアさせ、生徒同士で話し合いをさせれば、生徒の学びはより深く豊か…
問題意識を刺激する(学びのウォーミングアップ)
教科学習指導の目標の一つは問題解決力の養成です。先生方は、その土台(生きて働くべき知識・理解)を獲得させるべく、授業を行います。しかしながら、生徒の問題意識が十分に刺激されず、希薄なままでは、先生方がどれほど熱く語り、知識を伝えようとしても、「打てども響かず」「吹けども踊らず」ということになりかねません。生徒の問題意識を十分に刺激し、生徒一人ひとりが「学ぶことへの自分の理由」を持てるよう、効果的な…
論点(イシュー)を使った単元導入
学習目標を生徒に把握させるのに最も手早く確実で、且つ広範に使える方法は、別稿でお伝えした通り、「学び終えて解を導くべき課題を導入フェイズで与えること」ですが、単元の内容やその日の授業の目的によっては、賛否の分かれる問題(=論点、イシュー)から入る「ディスカッション型の導入」も効果的です。 2018/08/07 公開の記事を再アップデートしました。 ❏ 賛否を違える意見に触れることで やり方には幾つ…
ワークショップで狙うべき「効果」とその進め方
授業評価アンケートの導入に際して
探究型学習を使った進路指導 #INDEX
探究型学習を通して、深めてみたいと思える興味や、自ら関わりを持ちたいと思える社会の課題を見つけ、それを起点にして具体的な進路希望を作っていく生徒がいます。あるテーマを広く調べ、考察を深めていく中で、上級学校に進んで本格的に学んでみたいと思えることを見つける可能性は低くないはずです。別稿「カッコつきの“キャリア教育の充実!”に思うところ」にも書いた通り、職業をターゲットにして逆算的に作ったルートに乗…
社会が取り組む課題を軸にした学部・学科研究
この記事を最初に起こしたのは2014年の秋です。その直前、お誘いをいただいて、「都立高校生のための多摩地区国公立大学合同説明会」というイベントを参観する機会を得ました。土曜日の午後ということもあって、会場は300人を超える国公立大学を目指す都立高校生で熱気に溢れていたのを覚えています。各大学とも「志願者を増やす絶好のチャンス」とばかりに様々な趣向を凝らす中、東京農工大学のプレゼンは際立って興味深い…
探究型学習を使った進路指導(その5)
探究型学習を通じて自らの進路希望を作るに至ったA君が、本シリーズの冒頭で登場しましたが、同じプログラムを同じように経験しながら、自分のあり方・生き方と結びつくものを見つけられないまま活動を終える生徒だっています。安易にテーマを設定した、調べ学習を行うところで終わった、探究してみたことの先に広がる学問の世界を覗き見ることができなかったなど、様々な要因でゴール(課題解決に取り組む体験を通し、自己の生き…
探究型学習を使った進路指導(その4)
探究型学習に取り組む経験は、進路意識の形成にも大きな役割を果たします。その最初の難関である「探究テーマの設定」における指導の前半フェイズについて、考えるところをまとめたのが前稿です。テーマ選択を念頭におき、アンテナを高く張った状態で、様々な情報に当たらせて、日々気になったことを書き溜めていき、そのメモの整理・分類を経て、潜在的な興味と関心の所在を探らせるという手順です。しかしながら、メモの分類を終…
探究型学習を使った進路指導(その3)
探究型学習に取り組ませるとき、研究のテーマを決めさせるまでの「準備段階での指導」が大切であるというのが、前稿の主旨です。目指すところ(=課題の解決に取り組む体験を通して、自己の生き方・あり方を見出すこと)をしっかり伝えた上で、正しい準備の工程を踏ませなければ、テーマの候補を挙げさせたところで、ダメ出しをせざるを得なくなるケースもしばしばだと思います。せっかく考えたことを差し戻されては生徒も面白かろ…
探究型学習を使った進路指導(その2)
探究型学習に、これまで行われてきたキャリア教育の代替として十分な機能が期待できるのは、前稿で申し上げた通りですが、最初のフェイズである「探究のテーマ選び」の段階できちんとした指導を行わないと、探究活動と進路指導を一体のものとして運用できません。自分の生き方・あり方を見つけ出せるようなテーマを生徒一人ひとりが設定できてこそ、探究活動は進路意識を形成する機会になり得ます。前稿でご紹介した、探究活動が進…
探究型学習を使った進路指導(その1)
探究型学習を通して、興味を持てる学問・研究や社会の取り組みを見つけ、そこから具体的な進路希望を作っていく生徒がいます。テーマに沿って広く調べ、考察を深めていく中で、学んでみたいこと、研究してみたいことを見つける可能性は低くないはずです。別稿「カッコつきの“キャリア教育の充実!”に思うところ」にも書いた通り、職業をターゲットにして逆算的に作ったルートに乗せる指導に限界が見える中、キャリア教育を補完す…