協働場面における個々の生徒の評価をどう行うか
協働で課題解決に生徒が取り組んでいる場面での「個々の生徒の評価」はどうすべきかとのご相談をいただくことが少なくありません。最終的に導き出された答えや発表の内容を、評価基準に当てはめて採点すれば、グループとしての成果(どこまで理解が進み、知識を得たか。思考をどこまで深めたか。表現は効果的で適切かなど)は測れますが、個々のメンバーについての評価には馴染みません。メンバーの組み合わせが変われば、「成果」…
当オフィスは、各地の学校で授業力向上や教育改善・学校改革のお手伝いをしています。
協働で課題解決に生徒が取り組んでいる場面での「個々の生徒の評価」はどうすべきかとのご相談をいただくことが少なくありません。最終的に導き出された答えや発表の内容を、評価基準に当てはめて採点すれば、グループとしての成果(どこまで理解が進み、知識を得たか。思考をどこまで深めたか。表現は効果的で適切かなど)は測れますが、個々のメンバーについての評価には馴染みません。メンバーの組み合わせが変われば、「成果」…
授業評価アンケートの集計結果を見ていると、教室での対話的な学びはますます充実してきたように感じます。「話し合いなどの協働で、気づきや学びの深まりが得られるか(対話協働)」を尋ねた項目で、回答の9割以上を積極的な肯定が占めるケースもかなり増えています。しかしながら、対話協働の換算得点が上昇しても「授業を受けて学力の向上や自分の進歩を実感できるか(学習効果)」への肯定的回答が占める割合の向上に直結する…
新課程への移行に際し、「学習べき内容は削減せず、その理解の質を高めること」が強く打ちだされていました。従来と同じ指導時間の枠に、思考・判断・表現の各要素を織り込み、主体性・多様性・協働性を身につける場を設けながらも、学習内容は減らさないということです。新課程移行後も、学ばせることの多さが足枷となってか、新しい学力観が求める学ばせ方(=各単元の内容を学ぶ中で、様々な能力や資質の獲得を図る)への転換が…
脱ゆとり路線を維持しつつ、主体的、対話的で深い学びを実現し、思考力・判断力・表現力とともに主体性・多様性・協働性を獲得させるという課題に、これ以上授業時間を増やす余地がないという状況下で挑むには、「何をどこで学ばせるのか」を戦略的に判断する必要があります。 といった対策を組み合わせることになりますが、3. を実現するカギのひとつが、「記憶に格納する知識と外部参照する知識の線引き」です。 2016/…
教科書の配列に沿って各単元を学んでいくのと、副教材を使って別ルートで知識の拡充を図るのを並行させるのは好適な戦略とは言えません。主教材を軸に学びを進め、わからないこと/知らないことに出会うたびに参照型教材のページを開かせ、生徒が自力で必要な知識と理解を得るようにさせることが大切です。学期が進むにつれて、参照型教材が使い込まれ、書き込みが増えてきたら、生徒はその科目の知識と理解とともに、学び方を身に…
ステージごとの学習者特性の違いを踏まえて 学習はその場で完結するものではありません。次のステップに進むための準備(レディネス)を整えることも重要な指導目標の一つです。既習単元の知識がその先の内容を理解するための前提になることは当然ですが、ある単元を学ぶことで身につけた学び方もまた、次以降の単元を学んでいくときの重要な土台になります。不明点があるとき、先生が教えてくれるのを待つのではなく、参照型教材…
導入期から仕上げ期に向かう流れで考える「使い方」 前の記事では、参照型教材(いわゆる参考書だけでなく用語集や例文集も含まれます))を常に手元に置かせ、頻繁に使わせることで得られるメリットを考えました。文章を読んだり問題を解いたりしながら、機会ある度にページを開いて使い倒してきた参照型教材は、いつしか生徒にとって「学習を進めるときの大きな拠り所」になっているはずです。使いながら書き込まれたメモは、以…
不明を前にしたら手元の教材を参照する習慣を 前稿(その1)では、課題解決に使う場面を十分に経験させないまま、知識の拡充を図ったり、体系的な理解を形成しようとするアプローチのリスクと、コスパの低さについて考えるところをまとめました。生徒にとっての自分事となり得る課題を用意し、それに立ち向かわせる中で、知識の獲得と理解の形成を図っていく、所謂PBL型(課題解決型学習)の授業/学ばせ方への転換を図る中で…
記銘のための反復は、課題解決に活用する中で 例えば古典の授業では、まとまりのある文章を題材にした読解指導に入る前に、文法をひと通り勉強させるという手順を採ることがあります。ある程度の体系的な文法理解を作ってからでないと読解に入ってからも躓きが多くてスムーズに進めないという思いからの選択でしょう。英語でも、主教材と切り離して単語集や例文集を個々に覚えさせていくのは「普通」ですし、概説書をひと通り学び…
1 苦手意識を抑えて、伸びている実感を持たせる 1.1 苦手意識を抑えて、伸びている実感を持たせる(まとめ)1.2 学力向上感、得意・苦手に成績が及ぼす影響は?1.3 難易度からの得意/苦手の意識が受ける影響 ★ cf. 難易度をどう考え、どのように調整するか1.4 不要な苦手意識を抱かせない(前編)、(後編)1.6 科目への意識姿勢~得意と答える生徒を増やす ★1.7 相対順位の低さから自己効力…
授業評価アンケートの集計結果が伝えてくれるのは、生徒が身につけている学び方と先生の教え方/学ばせ方のマッチングの度合いです。同じように教えていても、クラスによって集計値が違うのは当たり前で、その違いは想定を超えて大きく出ることもしばしばです。質問項目ごとの集計値から学習者の集団特性を素早く捉え、教え方/学ばせ方のアジャストを図ることも授業評価アンケートの重要な活用法の一つであり、引き出しの中にどれ…
この夏も各地の学校で行われた授業評価アンケートのデータが続々と届き、その分析に取り組む毎日を過ごしています。アンケートのご利用をいただきました学校には、心より御礼を申し上げます。さて、別稿「授業評価アンケートの分析に用いる様々な手法」でもお伝えしましたが、アンケートのデータを分析するときには、目的変数とする項目(授業評価の場合は「学習効果」です)を選び、他の項目からの寄与度を重回帰分析という手法で…
どんなクラスでも学力差は存在します。たとえ、習熟度別にクラスを分けて展開授業を行っても学力差は残りますし、時間の経過ともに差が再び拡大していくのは多くの先生方が経験していることだと思います。学力差を小さくするのは容易でないとしても、学力差による悪影響を小さく抑えることはできます。ある程度の学力差があった方がクラス全体の学習成果の総量は大きくなる可能性を示唆するデータもあります。採るべき対策には以下…
クラス内に学力差が拡がるということは、生徒の躓きが起こり得る箇所が多様化することを意味します。学びは前段の理解の上に積み上げていくものですから、新たに教えた/学ばせたことの理解が固まらないところに次の内容を積んだところで意図通りの結果にはなり得ません。こまめに理解を確認できる状態を作っておき、次に進むための前提が整っているか一つひとつ確かめながら授業を進めるには、タスクを分割して付与する「スモール…