積極的に学ぶ姿勢(記事まとめ)

積極的に学ぶ姿勢を生徒一人ひとりに持たせたいというのは、先生方のどなたもが抱く思いでしょうが、その実現は言うほどには容易ではありません。学びへの積極性を引き出すには、それを成立させている要素群を正しく想定し、その一つひとつを着実に作り出す必要があります。如上の構成要素の想定(=問題の切り分け)には、生徒が学びに消極的になる場面を思い浮かべ、そこに潜む阻害要因を考えてみるのも好適。以下のようなケース…

学習効果が高まっても、難易度が下がっていたら

授業評価アンケートにおける目的変数はⅦ学習効果です。どれだけの生徒が「授業を受けて、学力の向上や自分の進歩を実感できる」と答えるようになったかは、授業改善の進み具合を端的に示す指標です。Ⅶ学習効果の集計値が前回より大きなものになっていれば、学びに対する生徒の自己効力感を高められたと考えられます。「より良い授業」にまた一歩近づけたということではないでしょうか。しかしながら、Ⅶ学習効果の前回比較がプラ…

評価基準やアンケートの文言を正しく理解させる

生徒が学びを振り返るときに拠り所となるもの(=基準)をしっかりと理解/認識させておくことの必要性については改めて申し上げるまでもないかと思います。漠然とした「振り返りらしきもの」で感想レベルのアウトプットを得たところで「学びの改善」は期待できません。思考を重ねた結果である答案や発表には「採点基準」があり、学習への取り組みにも「活動評価の基準」(ルーブリックなど)があるはずですが、生徒はその文言の一…

知識活用機会としての課題付与と難易度調整

問いなどで用意する「活用機会」が十分でない授業では、学習効果(授業を受けての学力向上や進歩の実感)のみならず、理解確認や対話協働の充実もままなりません。cf. 課題解決を伴わない知識獲得は適切な問いや課題を用意することで、獲得した知識や理解に「生きて働く場(=活用の機会)」を整えていきましょう。学びの場での「問いの活かし方」は、主体的で、深く確かな学びの実現を大きく左右します。 これらに加え、適正…

問答・対話、発言、活動

1 問い掛けの多い授業が良い授業 1.0 問い掛けの多い授業が良い授業(序)1.1 問い掛けのタイプとその機能1.2 問い掛けにきちんと反応させる仕掛け1.3 生徒自身から問いを引き出す関連記事:プロセスに焦点を当てた問い 2 生徒を指名して発言させるとき 2.1 生徒を指名して発言させるとき(全3編) Updated!2.2 わからないでいる生徒を指名しても…2.5 発言がなかなか出ない/思考が…

生徒を指名して発言させるとき#INDEX

生徒を指名して発言させることが、積極的、能動的に学習に参加させることに繋が得るのは間違いありませんが、指名→発言の流れを固定的に捉え、方法を誤ると、他の生徒の学習(思考や表現など)を止めたり、せっかく引き出した発言が深い学びに繋がらなかったりしがちです。各地の学校で授業を拝見していると、指名する前に問いをクラス全体に投げ掛けていないケースも少なからず目にします。発言させる生徒を選ぶのは、クラス全体…

生徒を指名して発言させるとき(その3)

生徒に発言させることには様々な目的がありますが、その目的を達する方法は発言だけに限られるわけではなく、目的に応じた代替手段を講じた方が効果が大きいこともある、というのが前稿の趣旨です。しかしながら、生徒に発言をさせてこそ、そこに含まれる気づきや考えをクラス全体で確実にシェアすることができ、その先に発想の拡充や思考の深まりが期待できる場面も少なくありません。活発に発言が飛び交ってこそ、対話的で深い学…

生徒を指名して発言させるとき(その2)

昨日の記事に引き続き、生徒を指名して発言させる場面について、その目的に立ち戻りながら、より良い方法を考えていきたいと思います。クラスの全員に発言の機会を与えることで、能動的に学びに関わらせたいというせっかくの意図も、やり方・手順を誤ると、意図していたのと違う結果を招きかねないことは既にお伝えした通りです。本日は、もう一歩、根源的なところに立ち戻り、「なぜ、生徒に発言させるか」を少し掘り下げてみたい…

生徒を指名して発言させるとき(その1)

先生方に「生徒を指名するに当たり、どんなことを心掛けていますか」とお尋ねすると、「できるだけ均等に発言の機会を与えるようにしている」という答えがかなりの割合で返ってきます。発言させることで生徒が能動的に関わる授業にしたいとお考えなのだと思います。しかしながら、均等な発言機会の付与が「意図した通りの結果」になっているかというと、そうとも限らないのが現実だったりします。発言の準備が整わないまま指名され…

授業内活動のあれこれ #INDEX

授業内活動というと「生徒同士の話し合い」が真っ先に思い浮かぶかと思いますが、先生との問答、教科書や資料を読んで自力で理解すること、考えたこと/気づいたことをまとめることなど、多岐に亘ります。教室での対話を通じて得た気づきを携えて、課題にじっくり取り組み、納得いく答えを仕上げることだって学習者の活動の一つでしょう。日々の学びの中で、単元内容を理解させていく過程の一つひとつに、生徒が取り組む活動を十分…

授業内活動のあれこれ(その3)

前稿に引き続き、教科書や資料を読むことを起点とした学習活動について考えてみます。読んで理解すること(=文字を介した先人/作者との対話)のは学びの基本ですが、活動に取り組んだ中に「何かの進歩」を実感できる仕掛けがあると、活動へのモチベーションは一層高まるのではないでしょうか。読むという活動は、英語や国語といった言語系の教科に限ったものではありません。理科や地歴公民の教科書や資料を読みますし、数学だっ…

授業内活動のあれこれ(その2)

授業内での生徒の活動というと生徒同士の話し合いが真っ先に思い浮かびますが、それだけではありません。前稿で取り上げた、知識の定着を図る「既習内容の重ね塗り」や、理解を整理し深めたりする「概念のモデル化/言語化」といった活動なども、学びには欠かせません。当然ながら、知識を獲得する場面でも、本文や資料を読んで理解する/情報をピックアップする場面でも、先生が先回りして教えてしまうのではなく、学習者自身が取…

授業内活動のあれこれ(その1)

思考力や判断力、表現力を高める上では言うまでもなく、知識の定着を図るにも、理解を深く確かなものにするにも学習者自らが活動する必要があります。どれだけ丁寧に教えても覚えるのは生徒ですし、習ったことを使ってみてこそ、道具としての知識に意味の拡張が図られます。知識の獲得・拡充を図る場面でも、自ら調べて情報を集め、知識に編む練習をさせなければ、いつまでたっても教わること以外に学ぶすべを知らないままです。課…

生徒が立てた問いを起点に作り出す対話と学び

授業準備や導入フェイズの課題として「生徒に問いを立てさせる」ことや、教室でひと通りの学び終えたときに「質問を引き出す」ことの効果については、それぞれの記事でも触れた通りです。問いを立てさせるのも、質問を引き出すのも簡単なチャレンジではありませんが、「せっかく出てきた生徒の問いや質問をどう扱うか」にも、様々な工夫が考えられるところです。各地の先生方の取り組みと工夫を参考に、より良い方法を探していきた…

生徒が自分で気づける機会を作る

教科学習指導において、科目に固有の知識や技能を獲得させようとする場合、一つひとつを丁寧に説明して理解させる、所謂「教える」というアプローチのほかに、問い掛けて考えさせたり/体験を再構成させたりする中で「生徒自身に気づかせる」というアプローチがあります。思考は一定の知識がなければ成立しませんので、「しっかりと教える」ことも指導者として逃れられない大切な責任/仕事ですが、生徒が自分で気づけるようにする…

探究的な学びの中でのビジネスプラン作り

総合的な探究の時間で「ビジネスプラン作り」に取り組ませるケースも少なくありません。社会課題の解決を図る中で新たなサービスや商品が生まれますが、探究とビジネスプランの親和性は元々が高いものです。以前の教育が、現状における社会の仕組みありきで、生徒をそれに適合させるプログラムだったとしたら、今の教育が目指すのは「社会課題を解決してどんな未来を創るか」を考え、行動できる人材の育成です。身の回りから人類の…

困りごとを相談する相手がいない生徒の特定と対処

生徒意識調査の質問7【相談相手】(困ったことや悩みがあるとき、信頼して相談できる相手がいる)で肯定的な回答を選べていない生徒は、トラブルに陥った時に事態を悪化させていくリスクや、周囲から受けたせっかくの刺激も上手に消化できないなどの不利を抱えます。如上の質問に対して、しっかりYESで答えた生徒以外には、何らかの対処、少なくとも「より詳しい状況の把握」が必要だと思います。 ❏ 但し書きなしの「積極的…

リフレクション・ログから読み取る”評価者スキル”

評価者としての成長とは、「自分の取り組みとその成果を客観的に捉えて、進捗と改善課題を捉えた学びが自律的に行えるようになること」、別の言い方をするならば、「適切な振り返りができるようになること」を意味します。cf. メタ認知、適応的学習力成長(=評価者スキルの獲得)の痕跡は生徒が起こすリフレクション・ログにも表れるはず。「自分の取り組みとその成果をどれだけ客観的に捉え、より良いパフォーマンスを得るた…

ネットで検索した結果を鵜呑みにさせない

今や、世の中の大抵のことは、スマホで検索すれば即座に「それらしい情報」に行き当たり、「答えらしきもの」が簡単に得られます。たいへん便利な社会ですが、ネットに限らず世に飛び交う情報はまさに玉石混交。ときに悪意のフェイクすら入り混じります。鵜呑みにしては選択を誤り、不要なリスクを引き寄せることになります。 先ずは耳目に入ってくる情報の真偽を確かめる必要がありますが、その姿勢と方法を学ばせる場もまた、生…

体験のたびに感じたことをしっかり考え、言語化&記録

日々の学校生活の中では、生徒は様々なことを感じたり気づいたりしていますが、それを漠然とした感想にとどめず、少し立ち止まって考えを深めさせるとともに、言語化し記録に残すことを習慣にさせましょう。先生方とのやり取りや周囲との会話、あるいは授業で読んだ資料など、生徒が受ける「成長のための刺激」は学校生活を送る中のあらゆる場面に存在していますが、それらをもとに熟慮する機会がなければ、気づきや学びは深まりま…