学びにおけるインプット(input)とインテイク(intake)

新しい学力観に沿った学ばせ方への転換を図ろうとするとき、学ぶ過程を「インプット」と「インテイク」に分けてみると、様々な着想が得られたり、見落としていたものに気づきやすくなったりします。ともに知識や情報を外から内に入れることに変わりありませんが、専ら外からの働きかけで行われる「入力」と、不明を見出した/興味を持ったときに、自ら求め、工夫して行う「取り込み」とは別ものです。 2019/03/22 公開…

指導計画の更新は、効果測定の結果を踏まえて

年度末が近づくと、今期の指導の仕上げと同時に、来年度に向けた指導計画づくりも進んでいきますが、後者を進めるときの土台は「これまでの指導が得た成果(進捗)と不足していたこと(改善課題)」の的確な把握にあることは改めて申し上げるまでもありません。生徒に対する指導と評価の一体化と同様に、「進捗と改善課題を捉えた学び」は、先生方の営み(=教育活動)の改善にも不可欠です。 ❏ まずは、取り組みに込めていた意…

効果測定とスクラップ&ビルド(教育資源の最適配分)

学校教育への様々な要請に応える中で、教室には次々と新しい教育活動が採り入れられてきました。次期学習指導要領への検討も始まりましたが、これからも新たな取り組みは加えられ続けるものと思われます。既に作り上げてきたものに「足し算」をするだけでは、限りある教育リソースが枯渇するのは火を見るより明らか。以前からのものも、新しく組み込んだものも、その効果のほどをきちんと測定し、効果の小さいもの/費用対効果に劣…

新課程完成年度の大学入学共通テストを終えて

週末に実施された大学入学共通テスト(現行指導要領の下での初回)の問題に目を通しているところです。今回のテストに向けて、これまでも時々記事を起こしていましたが、その時に考えた/お伝えしたことが果たして妥当だったのか、改めて検証していきたいと思います。 先生方にとっては、3年間に亘って積み上げてきたご指導の効果測定の機会でもあります。自己採点の結果(可能ならば大問別の小計も欲しいところ)に照らして、修…

「学びの拡張」まで考慮したカリキュラムの設計

カリキュラムの設計(指導計画の立案)に当たって予め考えておくべきことの一つに「学びをどこまで拡張するか」という問題があります。言うまでもありませんが、学びの拡張を図るのは、授業ごと/単元ごとの学びにおいてコアとなる理解をしっかり形成してからです。根っこと幹がしっかりしていない木が枝を伸ばしても、ぐらぐらするばかりで大きくがっしりしたものにはならないのと同じです。コアを形成した後、どこまで学習を掘り…

リフレクションシートの記載を参考に観察精度を高める

生徒にその日の学びを振り返らせるのは、「できるようになったことを棚卸しさせて学びへの自己効力感を高める」と同時に「次に向けた自分の目標を設定させる」ためですが、ログに書き出された「振り返りを通して得た気づきや内省」は、生徒が成した進捗や抱えている課題などを指導者が知る貴重な手掛かりとして、欠かさず目を通すべきものです。リフレクションシートへの記載を熟読して「授業者としての意図がどこまで生徒に伝わっ…

予想と違う結果がでたときにこそ~実験などの場面で

理科の授業では「実験」が欠かせませんが、配られているワークシートを見ると「うまくいったとき、予想通りの結果が出たとき」だけを想定した書式になっていることが少なくないように思います。すべての実験が上手くいくとは限らず、ちょっとしたところで操作を誤っただけで、想定した結果にならないこともあれば、機器の扱いが拙いなどの理由で測定誤差が大きく出たりすることも少なくないはずです。こうした場面に遭遇したときの…

学びを深める、問いの立て方とその使い方

別稿「どんな問いを立てるかで授業デザインは決まる」でも申し上げたことですが、「問いの立て方」とその「使い方」は、授業を通した学びの大きさ(成果=深まりと広まり)を大きく左右します。問いを起点に展開する様々な学習活動を「深く広い学び」に結実させるには、どんな問いを用意するべきか、常に考える必要がありそうです。なお、用意した問いの使い方については、別稿に考えるところをまとめました。併せてご高覧下さい。…

次期学習指導要領に向けて~教育へのAI利活用

昨年12月25日に中教審で、学習指導要領の改訂に向けた検討が諮問されました。検討課題のひとつが「生成AIの発展などを踏まえた、知識の集積だけではない、深い意味の理解を促す学びのあり方」です。翌26日に公開された「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン」(外部リンクでPDFが開きます)の内容も併せて、これからの学ばせ方の方向性を探ってみたいと思います。 ❏ ガイドラインの内容は…

教材としての好適性~「問い」の性能評価

どんな問いを授業の軸にするかで生徒が学べるものは異なり、問いの周辺にどんな学習活動を配列するか(=授業をデザインするか)で、獲得できる能力や資質も違ったものになるのは、別稿でも書いた通りです。 別の見方をすれば、様々な問いの一つひとつには、授業デザインの軸にどこまでなり得るものか、資質のようなものがあるということです。その評価を授業者の「感覚」だけに依らずに、ある程度の根拠を持って行えるようになる…

目指すものを正しく共有~協働に向けた土壌づくり

学校評価アンケートの回答データを分析していると、先生方と生徒・保護者、あるいは先生方の間でも「学校が目指す方向」について根っこの捉え方が違っているのではないかと思えてならないことがあります。新時代を見据えて新たに特色ある教育活動を設けているのに、そこへの関心の度合いが三者で大きく違ったり、先生方の間でも分掌や学年などの立場によってコミットの度合いが一様でなかったりするようです。それぞれの立場で思い…

主体的に学ぶ姿勢は、アメやムチでは作れない

生徒が主体的/意欲的に学習に取り組むようになるのは「学ぶことへの自分の理由」(加えて「自立的に学べるだけの学習方策」)を獲得したときです。生徒を学びに向かわせるための手段として古くから多用されてきた、「頑張ったことへの褒美や賞賛(アメ)」や「サボったことへの罰や叱責(ムチ)」では、如上の成立要件のいずれも満たせません。 褒美をくれたり、褒めてくれたりする人や、叱ってくれる人がいなくなった途端に、学…

学ぶことへの自分の理由と負荷への耐性

教材や課題の難易度には、学力の伸びを最大化する「適正範囲」がありますが、生徒が「その科目を学ぶことへの自分の理由」を持っているかどうかで、適正範囲そのものが変化します。本稿でご報告するのは、授業評価アンケートにおける以下の3つの質問への回答を組み合わせて解析してみた結果です。 本稿を初めて投稿したとき(2018年1月=新課程への移行前)よりもデータの蓄積が進み、且つ、各校で「新課程の下での学ばせ方…

活動性が苦手意識を抑制する機能とその限界

以前の記事でも書いた通り、授業や課題の難易度をある程度まで引き上げたとしても、「活動性」を十分に高めておけば苦手意識の発生を抑える/遅らせることができます。教え合い・学び合いが知識や理解の不足を補うことが、課題解決の可能性を高めるのは想像に難くありません。しかしながら、その機能にも限界があります。学習者にはそれぞれが備える「負荷耐性」があり、それを超えた負荷をかけると、生徒同士で知識・理解・発想な…

対話的な学びにおける”第4の相手”

対話は、課題を前に発動した思考を、他者との気づきの交換で拡張するための活動であるのは言うまでもありませんが、その相手は「共に学ぶ周囲の生徒」に限らないのは、「自力で学ぶ力を育むのに重要な、最初に選ぶ”対話の相手”」などの別稿でも既に申し上げてきた通りです。学びにおける対話と言えば、周囲の仲間(生徒)との間に行われるもの以外に、教科書や資料を読むことによる文字を介した先人との対話や、先生との問答や発…

探究型学習(課題研究等)の成果をどう測るか

課題研究などの探究型学習に限ったことではありませんが、何かに取り組ませたら、その成果と過程(取り組み)をきちんと評価をする必要があるのは言うまでもありません。できるようになったことを「たな卸し」することで生徒に自らの成長を自覚させるとともに、これまでの取り組みに足りなかったものに気づかせ、「この先、何にどう取り組むべきか」を考えさせること(=進捗と改善課題を捉えた学びの実現)が評価を行うことの第一…

答えを仕上げる中で学びは深まる

授業を通して学力の向上や自分の進歩を実感できることで、生徒はその科目を学びつづける意欲を維持・向上することができますが、その実感をもたらすのは「習ったことを使って課題を解決できた体験」です。課題を与え、知識や理解を活用する場面を整えることが重要なのは言うまでもありませんが、とりあえず答えが出せたところで立ち止まらせては深く確かな学びは生まれません。答えを仕上げてこその学びです。問いを軸に授業を設計…

確認した結果に基づいてきちんと学びを仕上げさせる

授業では、教えたこと/学ばせたことの確認を様々な場面で行っているはずですが、現時点での理解や進歩の度合いを確かめるところを終点にしては、理解や習熟に不足が残る生徒をそのままにしてしまいます。十分な理解が形成されたか、習熟に不足はないかを確認するのは、確認した結果を踏まえて「仕上げ」に向かわせるためです。確認後に仕上げの工程を伴わないのでは、確認の意味は半減し、下手をすると「できなかった」ことを生徒…

理解を確認した後のフォローに不要な時間を取られない

授業ごとに/単元ごとにターゲットとなる問いや課題を設定するのは、教室での対面で行う学習活動と、それ以外の場で獲得させるものを切り分けることで限られた授業時間を効率良く活かすための方策の一つになるのは、別稿で申し上げた通りです。そうしてデザインした授業をワンステップずつ確実に進めて行くには、前稿のように、ターゲット設問を分割した小さな問いで要所ごとにそこまでの理解を確認していく必要があります。 20…

課題解決の場を整えたら、挑ませる前に理解の確認

習ったことを使ってみる機会を調えることが学びをより深く確かなものにするのは、このブログでも繰り返しお伝えしてきた通りです。授業で学んだことを土台に思考し、解を導くべき課題を導入フェイズで示しておけば、学習目標の理解がぐんと高まり、目的意識を持った学びの実現が期待できますし、ひと通り学び終えてから課題に立ち戻って、答えを仕上げるようにさせれば、欠けていたものも補っていけます。これらの相乗的な効果に加…