相対順位の低さから自己効力感と学習意欲を守る

先日、「校内順位、中学受験との関係は」と題する記事を新聞紙上で見かけました。冒頭にはこう書かれていました。 中学受験において、わが子に「優秀な同級生に囲まれて6年間を過ごして欲しい」と考え、難関校への進学を望む親は多い。だが学校内での順位が、その後の学力に影響するという研究がある。チャレンジ校を目指して、成績が低迷し続ける「深海魚」になるよりは、実力相応校を目指すべきなのか。(引用元:朝日新聞、1…

出題研究を通して"問い方"を学ぶ

獲得した知識や理解を活用して解決する課題を軸にした授業デザインを採ることで、「学習目標の把握」「授業内活動の充実」「理解確認の徹底」といった学習効果を高めるための必須要件の大半を効率よく整えることができるのは、別稿「知識活用の機会を整えて授業改善を加速」でデータを添えてお伝えした通りです。 2017/09/25 公開の記事を再アップデートしました。 ここで問題になるのが、どのような問いを用意して「…

大学入学共通テストの出題研究で持つべき視点

大学入学共通テストから一週間あまりが経過しました。出題分析を終えて、次年度以降の指導の計画を描き始めておられることと存じます。生徒の進路希望を実現する授業を目指すには、当然ながら、テストへの対策(≒どう学ばせ、解かせるか)を考える必要もありますが、先ずは個々の問題がどんな学力を測っているか正しく捉えるところからです。入学者選抜という場でわざわざ課した以上、その問題が測定している力は、進学後の学修を…

進路指導計画の体系化とスリム化

進路指導計画に組み込まれたイベントは「体験の機会」「選択の機会」の2つに大別できます。進路講演や大学訪問などが前者の代表格、出願指導や履修科目選択が後者の代表でしょう。これらがしっかり体系化され、スリムな状態に保たれているかは定期的な点検が必要です。長年にわたる試行錯誤で「増改築」を繰り返した結果、進路指導計画が複雑で過密なものになっているケースも少なくありません。生徒も先生も十分な準備ができずに…

進路関連行事に向けた企画・準備・事前指導

キャリア教育への注力や高大連携の強化といった流れの中で、進路意識形成を目的とする、外部から講師やファシリテーターを招いての講演会やワークショップが増えているように思います。見学をさせていただく度にたいへん勉強になりますが、「あれっ?」と疑問を感じることも少なくありません。例えば、こんな感じです。 こうした場面を目にすると、せっかく手間と時間をかけて設けた指導の機会を存分に活かしきれていないことに勿…

行事にじっくり向き合える、忙しすぎない学校生活

各地の学校で教育活動の拡充が進んでいます。新課程で導入された「総合的な探究の時間」のプログラムに加え、「21世紀型能力の実践力」の涵養を目指す進路/キャリアに関する多様な学びが整ってきました。そんな中、生徒が3年間/6年間で経験する行事は、当然ながらその数を増やし、一つひとつの行事にじっくりと向き合うことが難しくなってきているようにも感じます。進路関連の行事や成果発表会なども、準備を整えてじっくり…

進路行事としてのワークショップ

別稿「進路講演などに向けた事前指導」では、進路講演などのイベントでの成果をより確かなものにする事前の準備について考えました。進路指導関連行事の形式でも、従来からよく見られる「講演タイプ」に加え、新たに「ワークショップ型」が導入されるケースも増えており、ファシリテーターには外部の人材活用も少なくありません。 こうした変化の中、準備や行事内の活動への取り組ませ方などにも従来と違ったものが求められていま…

進路講演などに向けた事前指導

外部から講師を呼んで行う進路講演は、普段聞けない話に見聞を広げることで新たな世界の見方を知る、生徒にとって大切な成長の機会の一つですが、何の準備もなくただ話を聞かせるだけでは効果は限定的です。前もって講演のテーマについて、調べたり、考えたりする「事前学習」の機会を設けることで、講演からの学びは大きく膨らみます。多忙な日常の中で、生徒も先生も行事にむけた事前準備などにそうそう時間を当てられないという…

生徒は何ができるか~指導計画立案の前に確認

来年度の教育活動の最終設計に入る前段階で確実に行っておきたいことの一つに、「これまでの指導を通して生徒は何をできるようになっているか」の点検があります。指導とは、現状と目標の差分を解消する活動ですので、目標をしっかり定めるのと同時に、これまでに経験したことや現時点で知っていること/出来ていることをきちんと把握しないことには、ここから先の指導を正しく設計することはできません。 2019/01/18 …

授業で使った教材・課題や考査問題の引き継ぎ

新年度の引き継ぎに際し、これまでの指導で使用した教材や課題、考査問題などを必要に応じて次年度以降も利用や参照ができるように整えて残しておくことはとても重要です。日々の指導の中で積み上げてきた工夫には成果と反省の両方があり、それらを踏まえた上で「その先」を考えることが、継続的な指導の改善に繋がるからです。 2019/03/18 公開の記事を再アップデートしました。 ❏ 効果的な設問や課題を継承してブ…

次のステージ(進級後の学び)に向かう準備は整っているか

年度末に向けて、来年度の指導計画作りが進んでいると思います。模試成績や受験結果の検討会などを経て進級後の学びを妨げかねない問題が見つかることもあれば、一年間の成績伸長からは「前学年での躓きが原因となって成績伸長を妨げた」との反省がなされるケースもあります。こうして発見された課題に対して有効な対策を講じることができるかどうかが問われるところ。反省は行動に繋げてこそ意味を持ちます。次のステージ(進級後…

ゼロ学期を迎えるに当たり~指導計画作りへの下準備

年が明けていよいよ「ゼロ学期」です。期間が短いわりにこなすべき校務が多く、どうしても慌ただしくなりがちですから、春に向けた課題/タスクのたな卸しを行い、優先順位をしっかり定めた工程表に落とし込みたいところ。先ずは「To Do リスト」を作るところからでしょうか。4月からの教育活動を振り返って、シラバスや進路の手引きなどに朱を入れる必要もありますし、年間行事予定の見直しや学校広報の年間計画作りなども…

新年あけましておめでとうございます。

旧年中は大変お世話になりました。多くの先生方に格別のご厚誼を賜りましたこと、この場で改めて、心より御礼を申し上げます。新しい年も、現場で頑張る先生方のお役に少しでも立てるよう、微力ではありますが、できる限りを尽くして参る所存です。引き続きご指導を賜りますよう、お願いいたします。年始から能登地方の地震や羽田空港の事故などが続き、穏やかならざる正月となってしまいましたが、皆様におかれまして健やかで満ち…

年末・年始の業務について(ご挨拶)

平素より格別のご高配を賜り、誠に有難うございます。早いもので師走も後半に入り、今年も残すところ10日あまりです。 先生方におかれましては、ご多用の日々をお過ごしと拝察いたします。年が明ければ、共通テストを皮切りに入試シーズンに突入です。 年末年始はゆっくりお過ごしになり、リフレッシュされますよう。さて、当オフィスでは以下の通り、年末年始の営業をお休みさせていただきます。新年の営業開始は1月4日(水…

理解確認/学びの振り返り

1 理解度の確認~場面と方法 1.0 理解度の確認~場面と方法(序)1.1 その1)理解度の確認はなんのために行うのか1.2 その2)発問/問い掛けによる理解度の確認1.3 その3)小テストによる理解度の確認  ├ 小テストをもっと効果的に(前後編)Updated!  └ 授業内に行う小テスト1.4 その4)提出された課題に目を通して行う確認  └ 提出物は丁寧に添削して返すのがベスト?1.5 既…

新たなチャレンジに先生方の協働で取り組むとき #INDEX

高大接続改革以降、パフォーマンスモデルからコンピテンシーモデルへの学力観の転換に伴う「新たな学ばせ方の確立」、さらには「総合的な探究の時間の指導法の開発」といった課題もあり、先生方が知恵を出し合い、協働で新たなチャレンジに取り組む機会が増えてきました。こうした「新たなチャレンジ」に取り組むときに大切なのは、目指すところを明確にして、工夫の一つひとつの効果を測定すること。効果測定なしには、いつまでも…

新しいことに生徒が戸惑いを見せても

生徒をそれまでやらせたことがないことに挑ませれば、最初の戸惑いは当たり前のこと。例えば、拙稿「教科書をきちんと読ませる」や「質問を引き出す」でご提案したような活動でも、教室に初めて持ち込んでみたときから何の障害もなくスムーズに運ぶのはむしろレアケースです。最初のトライで上手くいかないからといって、その後の挑戦を止めてしまっては生徒はいつまでたってもできるようにはなりません。やらせようとしたのが必要…

互いの実践に学び、校是たる授業像を作り上げる

授業改善は先生方一人ひとりが取り組むべきお仕事であるのは間違いありませんが、教科内外で先生方の協働があってこそ、うまく機能する/成果が上がるものという側面もあろうかと思います。周囲の優れた手法や工夫に学ぶことなしには、改善に向けた発想も自分の中に閉じたものとなり、広がりも深まりもないまま凝り固まってしまうリスクを抱え込みます。互いの実践に学ぶ中で、より良いものが共有されるにつれ、校是ともいうべき「…

マニュアルありきでの指導にはリスクあり

総合的な探究の時間をはじめ、新しい学力観に沿った教育活動が次々と導入され、その指導法確立は喫緊の課題ですが、指導法を考えるときに大切なのは、マニュアル作りを先行させることではありません。目標とするところ(=活動を通して獲得させる能力や資質)を先生方がしっかりと共有した上で、それぞれが最善と思う方法で指導に当たり、その成果を比較する中で、より良い方法を選び出していくことです。規矩不可行尽(きくおこな…

指導案の優劣を論じるときも

ある単元の指導案を持ち寄ってその改善協議をするとき、あるいは教育実習生にアドバイスをするときなど、参加者それぞれの経験や考え方が競合を起こし、議論がかみ合わないことも少なくないかと思います。過日の記事とも関連しますが、エビデンスがないまま指導案/指導方法の優劣を論じても、主観がぶつかり合うばかりで、簡単には「より良い指導の方法を先生方の協働で作り出していく場」になりません。 2016/06/29 …