月: 2024年7月

生徒は評価者としてどこまで成長しているか

発表やプレゼンの評価、論述答案の採点などにルーブリックを適用してみたとき、生徒による自己評価の結果と先生方の目での評価の結果との間にどのくらいのズレが生じているでしょうか。同じ評価/採点基準(観点別に定めた段階的な評価規準)に照らしている以上、基準の適用が正しくできれば、先生がやっても生徒がやっても結果は同じになるはずなのに違いが出ているというのは、生徒は観点や規準をきちんと理解できていない/適用…

チェックリストを用いた目標提示と達成検証

学習目標を示すのに最も効果的なのは、別稿で書いた通り、「学び終えたときに解を導くべき問い」を導入フェイズで示しておくことですが、練習や話し合いなどの活動の場面では「解を導く」こと以外にも目標があり、その効果的な伝え方を別の形で確立しなければなりません。練習を通じてできるようになるべきこと、取り組みのポイントやふるまい方、協働場面でのチームへの貢献などの「実現を目指すべきこと」を行動評価の基準として…

説明がわかりにくいと言われたら

言うまでもなく、「説明や指示のわかりやすさ」は、授業の成否を左右する大切な要素です。先生の説明や指示、意図するところが十分に伝わっていなければ、生徒が課題解決や対話協働などの学習活動に取り組もうにも、その土台(=理解)は固まらず、目標の達成は見込めません。本時の「学習内容の理解」もままならず、如上の活動を通して狙っていた「能力や資質の獲得」も進まないのでは、学びが進むたびに、生徒が抱える不明や学習…

カリキュラム・年間指導計画

1 シラバスの起草・更新に際して 1.0 シラバスの起草・更新に際して(序)1.1 その1 まずは全体を見渡したグランドデザインを1.2 その2 指導計画立案の前に検証可能な目標の設定1.3 その3 副教材の取り扱いや学ばせ方のすり合わせ1.4 その4 使いながら記録を残してブラッシュアップ1.5 シラバスを熟読・活用させることの効果 ★ 2 新課程とカリキュラム・マネジメント 2.0 新課程に備…

暑中お見舞い&メンテナンスのお知らせ

暑中お見舞い申し上げます。 梅雨明けから猛暑が続く中、近所の景色もすっかり夏です。 追伸、今年も近所の百日紅が咲きました。(先日撮影) 少し季節が進んで秋風を感じるようになるまで暑さには要注意ですね。先生方におかれましては夏休み中もご多忙と存じます。くれぐれも御身大切にお過ごしください。さて、明日7月25日(木)ですが、サーバーのメンテナンスが予定されていることもあり、ブログの更新をお休みいたしま…

振り返りのためのアウトプット #INDEX

インプットに不備や不足があっても、アウトプットの機会を持たなければそれに気づくことができません。しっかり教えて、きちんと覚えさせるというアプローチだけでは、振り返りの材料(=先生方にとっては評価の根拠)が得られず、学習/指導の改善が図れなくなります。 といった体験/活動を通は、本当に理解できたかどうか、どこまで思考が深まったかを確かめるためばかりでなく、次の機会により良いパフォーマンスを得るのに、…

振り返りのためのアウトプット(その2)

生徒が自らのインプット(それまでの学び)に不備や不足があったことに気づくためには、アウトプットの機会を用意することが必要です。アウトプットが首尾よく行え、学びの成果を上手く形にできたら、それはそれで生徒に達成感を与え、次の学びへのモチベーションを高めますが、うまく行かなかったときに取る「次の行動」こそが、学習者としての成長、自立に繋がっていく鍵だと思います。 2015/01/06 公開の記事を再ア…

振り返りのためのアウトプット(その1)

授業で学んだことを用いて問いに答えを導く場や、調べてきたことに基づく討論や発表など、学びの成果のアウトプットには様々なものがありますが、一連の学習活動の「終端」と捉えているだけでは、その機能を十分に活かせません。アウトプットはゴールではないということです。アウトプットを通して、そこまでの学習(インプットとインテイク)に不備や不足がなかったかを確かめ、補うべきもの、修正すべき点を正しく認識させてこそ…

発言がなかなか出ない/思考が膨らまないとき

授業中の活発な発言や思考を促そうと、様々なアクティビティを仕掛けてみても思ったように生徒が動いてくれないことも少なくありません。生徒が自力で/協働で解決すべき課題を与えないと、活動が自己目的化し、盛り上がりにも学びの深まりにも欠けてしまいます。しかしながら、しっかりお題を与え、生徒が考え/話し合う場を作ってみても、戸惑いもあるのか動き出しが悪かったり、然したる意見も出なかったりと、思考の深まりが一…

対話で行う理解確認

生徒の理解を一つひとつ確かめながら授業を進めることは、学びの成果を積み上げるのに不可欠なのは言うまでもありません。実際のデータでも、理解確認と学習効果の間には、かなり強固な相関が見て取れます。 【理解確認】先生は生徒の理解を確かめながら授業を進めてくれる。 【学習効果】授業を受けて、学力の向上や自分の進歩を実感できる。 散布図に重ねたヒストグラムを見ての通り、学習効果が75ポイント(=否定的な回答…

目的意識をもって学びに取り組んでいるか

自立的に学びを進められるだけの土台(学習方策)を備えることに加えて、学ぶ意欲や学ぶことへの自分の理由(目的意識)を持っていることは、主体的な学びを成立させるのに欠かせない前提条件です。前稿で考察した「学習方策」(この科目の学び方や取り組み方が身についた)に続き、本稿では目的意識に焦点を当てて、授業評価アンケートの回答データの解析結果が示唆するところをお伝えします。 2020/08/21 公開の記事…

学習方策の獲得はどこまで進んでいるか

新課程への移行を機に「主体的、対話的な深い学び」の実現が進んだと思いますが、検証の材料(授業評価アンケートや活動評価の結果に加えて、ポートフォリオの各種ログなど)を揃えて進捗を確かめましょう。その中で見つかった「好適実践」の共有も着実に図りたいところです。本稿と次稿では先ず、「主体的な」に焦点を当てて授業評価アンケートの回答データの解析と考察を試みます。主体的な学びは、生徒が学ぶ意欲や学ぶことへの…

規律ある生活、集団生活のマナー

生徒一人ひとりに好ましい生活(習慣とサイクル)を身に付けさせるには、先生方から「日々をどう過ごして欲しいか」を絶え間なく伝えていく必要がありますが、それだけで着実な成果が上がるとは限りません。併行して、生徒が自ら規律について考える機会を設けたり、タスク管理や時間の使い方を学ばせたりするための指導機会の整備も欠かせないはずです。様々な場面で振り返りを行わせ、行動の変容を促しましょう。規律ある生活を送…

将来を見据えた行動選択

先に控える選択の場や待ち受けるハードルを見据えて、今やっておくべきことは何かを正しく判断し、具体的な行動に起こせることは、かけがえのない時間を有意義に過ごすのに欠かせないものです。ベースになるのは、様々な活動のたびに行う「振り返り」を通じて養うメタ認知・適応的学習力。成果のたな卸しと次に向けた課題形成を正しく行わせられるかが、生徒一人ひとりの成長を左右します。生活・学習・進路の各領域で様々な体験と…

異なる意見に耳を傾ける姿勢

立場や考えの異なる意見にも耳を傾けることは、独善や拘りから離れて正しい判断を広い視野で行えるようになることを意味します。共生社会で生きていく中、協働で課題の解決に取り組むときや賛否の分かれるイシューを論じる時、あるいは自ら取るべき行動の選択を迫られたときなど、こうした資質と姿勢が求められる場面は少なくありません。 2015/06/16 公開の記事を再アップデートしました。 生徒意識アンケート⑧ 異…

困ったことや悩みを信頼して相談できる相手

困ったことや悩みを抱えたときに、信用して相談できる相手がいれば、問題が深刻化したり、手に負えなくなったりする前に、どうにかできる可能性が高まります。いじめや人間関係のトラブルなどを抱えたときは言うまでもなく、進路や学習のことで判断に迷ったときにも、信頼に足る相手に助言や支援を求められるかどうかは重要ですし、別稿で書いた通り、周囲から受けた様々な刺激を消化して頑張りの原資にするにも、適切な相手との相…

生徒が互いに刺激し合い、共に成長するクラス

生徒間に十分な相互啓発が働き、且つ互恵意識で結ばれたクラスの中でこそ、生徒は様々な活動に生き生きと取り組むことができ、その中で主体性や多様性、協働性などを獲得していきます。別稿「教科学習指導の土台はホームルーム経営」でもお伝えした通り、生徒が互いに刺激し合い、共に成長するクラスを実現できるかどうかは授業の成否(学力向上など)にも大きな影響を与えます。   2015/06/12 公開の記事を再アップ…

係や当番の活動で関係を築き社会性を育む

ホームルームは、生徒にとって最も基本的なコミュニティ。その中で、自分がどんな役割を引き受け、どう貢献できるのかを考え、行動を起こしていくことは、社会性を身につける貴重なトレーニングの場です。その場面の一つが当番や係の仕事であり、その活性化は「生徒が互いに刺激し合い、ともに成長するクラス」を作るためにも欠かせません。当番や係りの仕事は、学校行事や生徒会活動とは違って「日常」の中にあるため、挑戦してみ…

整理整頓、教室の環境整備

教室が学習に適した環境に保たれているかどうかで、学びの成果が大きく左右されるのは言うまでもありません。生徒の私物が通路をふさいでいたら机間指導の邪魔になりますし、グループワークへの切り替えなどフォーメーションの変更にもひと騒動。こんなところで貴重な授業時間を無駄にしたくないものです。掲示物にしても、余計なものが目に入っては、肝心な連絡やメッセージが埋もれて伝わらなくなってしまい、生徒が整えるべき「…

言い分に耳を傾け、公平に接する

前稿で取り上げた「期待する行動」との間で常に高い相関を示し、且つ学習者と指導者の関係をしっかり築く上での両輪をなすのが、この項目です。期待する行動を到達目標として生徒と予め共有しておくことで、一つひとつの指導の背後にある意図もより良く理解してもらえます。学校評価アンケートでも、教育目標や指導方針をちゃんと伝えることに注力しているクラスほど、「生徒指導などにおいて恣意的でない公平な指導がなされいてい…