月: 2021年3月

探究活動やPBLを通して涵養すべき統計スキル

令和7年度以降の大学入学共通テストのサンプル問題が大学入試センターのホームページに公開されました。(こちらをご参照下さい。)公開されたサンプル問題は、地理総合、歴史総合、公民、情報の4科目ですが、これからの教室において「どのような学ばせ方」が求められるようになるかは、これらの科目に閉じた話ではありません。他教科の先生方も、お時間を見つけて一度は目を通しておくべきかと思います。 出題研究を通して&#…

効果測定は、理解者と賛同者を増やすため

以前の記事「 効果測定とスクラップ&ビルド(教育資源の最適配分)」 をお読みいただいた先生から、「効果測定や成果検証の必要性は十分にわかっているが、作業が増えることに負担感もあり、どうしても二の足を踏んでしまう」とのご感想を頂戴しました。確かに、指導の効果測定を行うには相応の手間がかかります。「足し算だけのビルド&ビルドから抜け出そう」との文脈なのに、そこに無駄な作業を新たに作るようでは、何を目指…

教育手法開発・指導法改善に向けた計画作りは万全?

いよいよ新年度が目の前です。既に新年度の指導体制は整って、生徒向けの指導は年間での計画もほぼ固まっているものと拝察いたしますが、もう一つ計画をしっかり立てておきたいのは、個々の教育活動の成果をどう測りながら、教育手法を開発や指導法の改善を進めていくかです。新課程への移行に伴い、様々な新しい取り組みが始まっている中、万が一にも「やりっぱなし」になってしまっては試行錯誤に生徒を巻き込むばかりですし、先…

中学での経験を踏まえて考える「高校での探究活動」

中高一貫校では、6年間という長い指導期間を活かして探究型学習プログラムの整備が比較的進んでいます。これに対して指導期間が3年(実質的には2年半)しかない高校では、本格的なプログラムを組み込むには時間的な制約が小さくありません。成果が確認できるまでの期間が中高一貫校の半分の3年間で済むという利点を活かし、短いサイクルの中でプログラムの改善を加速させるとともに、生徒が中学校までに経験してきたことをうま…

互恵意識で結ぶ学びのコミュニティ

一人ひとりが意欲をもって学び、生徒が互いを支え合う、互恵意識で結ばれた学びのコミュニティを作り上げることは、ホームルームの担任に限らず、各教科の授業担当者としても切なる目標の一つだと思います。新学期スタート後の数週間は、好ましい学びのコミュニティを作れるかどうかを決める大切な期間です。どんな手立てと見通しでコミュニティ作りを進めていくかしっかり戦略を立ててから新年度を迎えましょう。互恵という言葉が…

グループワークで作る学びへの積極姿勢

授業評価アンケートの自由記述意見を読んでいると、グループワークを多く経験する中で、協働での学びに貢献する「責任」を感じた、「役割をきちんと果たさなければ」との思いを強くした、といった記述に出会うことが少なくありません。グループワークは、個人の発想を超えたところに解を見出すことを目的に、集団知/分散知の活用や対話による気づきの交換を図るために採り入れる活動ですが、協働を経験する中で、個々の学習者とし…

プレゼンテーション/成果発表を機につくる成長の場

探究活動を始めとして生徒が自分(たち)が取り組んできたことの成果を発表する機会は以前に比べて多くなっています。日々の授業の中でも個人/グループで調べ学習や討論を行った結果をプレゼンテーションにまとめるのは既に「ごく普通の光景」になったように思います。プレゼンテーションの準備に取り組む工程での試行錯誤や努力そのものに加え、発表の場を通して得る直接/間接のフィードバックは、生徒にとって他に代えがたい成…

提出物は丁寧に添削して返すのがベスト?

日々の学習指導の中では生徒に様々な提出物を課しますが、それらをどう取り扱うのがベストなのか、正解は中々見つかりません。丁寧に添削して返却することが思考力や表現力を高める上で本当に効果を挙げているのか、最善手が他にないかは疑ってみる必要があるように感じます。丁寧に答案に目を通し、先生が「添削」してあげれば、生徒はその答案をより良いものに仕上げ直せるでしょうが、先生に助けを求められない場面で、きちんと…

新年度を迎えるに当たり~まとめページ(2021年度版)

年度末を迎え、新年度準備が着々と進んでいることと拝察いたします。 新入生を迎え入れる準備、次年度の計画の最終的な詰め、異動等に伴う引継ぎなど、定常期と異なる業務も加わり、いつにも増してのご多忙と存じますが、こんな時こそやるべきことをきちんとリストアップして、優先順位の高いものからしっかり/漏れなく進めたいところです。 これまでに公開してきた新学期にまつわる拙稿の中から、優先順位が高そうなものをピッ…

遠隔授業の可能性と課題

この1年間でオンライン/遠隔授業の環境整備は大きく進んできたようです。大学での授業評価アンケートの結果を拝見していても、試行錯誤の連続だったと思われる前期に比べ、後期では「遠隔授業のシステムが十分に整っている」との回答が有意に増加しており、システムに不備が生じたときの対応なども改善されてきている様子が窺えます。 また、システムなどの環境整備に加え、新しい環境下での授業の進め方/学ばせ方にも試行錯誤…