月: 2017年9月

非言語情報を言語化する力

与えられたテクストから読み取った情報をもとに思考した結果を表現する力は、今後ますます求められますが、ここでいうテクストは「言語情報」だけではありません。グラフ、データテーブルなどの数値をもとにしたものもあれば、イラストや地図といった平面上に表現されるものなどあらゆるものが含まれます。各教科の教科書を見ても、本文以外のパートから得られる情報は膨大なものであり、それらの非言語情報をハンドリングし、他者…

導入フェイズの目的と方法

授業の冒頭や新しい単元に入るときに行う「導入」ですが、そこでの目的には何があるかをはっきりさせておかないと、工夫して作り上げた方法が目的にかなっているか/成果を挙げているかの判断がつかなくなってしまいます。導入フェイズを終えて達成しておくべきことを思いつくままに挙げてみると、次のようなことがらでしょうか。 本時の学習を通じて達成すべき目標を生徒に認識させる 生徒一人ひとりに学ぶことへの自分の理由を…

導入フェイズで仮の答えを作らせることの効果

学力や技能の向上を実感できなければ興味や関心は高まらないことは、以前の記事でご紹介した通りですが、学力や技能の向上を実感することとその科目に対する興味・関心の高まりとの相関には、学年が上がるごとに高まる傾向が見られます。初学者のうちは、興味をダイレクトに刺激する方策が有効であっても、学年があがり大人に近づくにつれて、「学力や技能の向上を実感できなければ、興味や関心は高まらない」というメカニズムが優…

チームで取り組んでこその授業改善

より良い授業の実現は、先生方一人ひとりの仕事でもありますが、チームで取り組んでこそ、知見や発想の交換を通じて効率よく進めることができます。自分一人で頑張っていても、気づけないことや思いつかないことが多々あるはずです。先生方一人ひとりの試行錯誤と努力の中で作り上げてきた優れた実践を互いの良さとして学び合ってこそ、校是とすべき授業像の姿が見えてくるのではないでしょうか。個々の先生が自ら工夫を重ねること…

組織的授業改善の土台: データを使った効果測定

効果測定を重ねながら、優良実践の抽出と共有を継続的に行っていけばそれぞれの先生方が持っておられた強みの集合体として、共通項を一定以上に含む「本校の授業のありかた」の具体的な姿が徐々に表れてくるのではないでしょうか。授業改善に向けた協働の中で、先生方が互いの実践から学び、指導効果の高い指導手法を共有していけば、学ばせ方・教え方における担当者による差は自ずと縮小に向かうはずです。これまで取り組んでなお…

生徒にYESと答えてもらいたい質問

指導目標の達成により大きく近づいた指導(=付加価値の大きな指導)を特定して共有を進めることで、組織的な授業改善が進みます。先生方一人ひとりが、より良い指導を目指して試行錯誤を繰り返すことは大切ですが、その段階に止まっていては、限りある教育リソースを浪費するばかりではないでしょうか。 ❏ 結果学力を測るモノサシの精度を高める 結果学力については、昨日までの記事などにも書いた通り、テストの結果を用いて…

箱ひげ図をどう読むか、エクセルでの作り方

学習指導の効果測定には、模試や外部検定のデータを用いて分布の変化を捉える必要があるのは昨日の記事で申し上げた通りです。一般的に利用されている平均点の推移で捉える方法では、層別の動きが捉えられませんし、上下への動きが相殺して平均値の変動は小さなものに集約されてしまうこともあります。 追記:Excel 2016から箱ひげ図の作成機能が実装されています。使い方は「箱ひげ図を作成する」(Officeのサポ…

知識活用の機会を生徒が認識できないとき

昨日の記事では、授業内外に「理解して覚えたことを課題解決に用いる場面を設けることが、学習目標の理解や学習を通じた成果(学力向上や自分の進歩の実感)を確かなものにする上、授業内活動を高めて対話的で主体的な深い学びの実現に近づく可能性をデータで示しました。しかしながら、理解したことを用いて解決する課題が授業内外に整えられているのに、生徒の側でそれを「知識活用の機会」として認識していないというケースが稀…

知識活用の機会を整えて授業改善を加速

ようやく夏も終わりそうですが、今年も多くの学校の授業評価アンケートのデータをお預かりして、分析させていただきました。データからは様々な「問い」をもらいます。それまで考えていたことだけでは、説明がつかないデータのことです。そのたびに、あれこれ考えて「データを説明できる仮説」を作り、実際に授業を観に行ってそれを確かめたりするのは、なかなか骨の折れることではありますが、ことのほか楽しい時間でもあります。…