総合的な探究の時間において、生徒に研究テーマを考えさせるところでご苦労を抱えておられる先生方も少なくありません。地域連携や新しいビジネスなどの考案に取り組ませて自らの進路と向き合わせる教育活動でも、アイデアを出させるフェイズでのご苦労が多いようです。
進路指導もまた、自分の将来を対象として行う探究活動であり、その探究の成果が「志望理由書」や「学修計画書」といった形で、大学進学に際して合否判定の材料とされるようになっていきます。
きちんと調べて、情報を構造化/整理しながら、発想と視野を拡充していく思考過程が以前にまして重要になる中、生徒にその方策への習熟とスキルの獲得を図らせる指導法の確立は待ったなしの課題です。
これまでは教科書を中心に教科固有の知識や技能を習得させることが主たる目的でしたので、生徒自身にアイデアを作らせる場面は、学校行事の企画運営や生徒会活動などを除けばそう多くなかったと思います。
先生方にとっても「生徒にアイデアを生み出させる場面での指導」は、大げさに言えば未踏の地かもしれません。各地の学校での活動を拝見していると、中には素晴らしい指導手順を完成させている先生もお見掛けしますが、多くの場合はいまだ試行錯誤の途中かとお見受けします。
このあたりについて、これまで見てきたこと/お伺いしたことを踏まえて、考えるところをまとめてみました。
アイデアを出したいなら、まずはしっかり調べる
調べ学習に向かわせる導入の工夫
例えば、新技術を使ったビジネスの創造では
調べて終わりにさせない
様々なツールを使い、思考を深め、対話を膨らませる
日々の教育活動の中で使わせ、使い方に習熟させる
生徒が作ったものを互いに見せて相互啓発
生徒にアイデアを出させようとするとき、「一度の指導で完結しよう」という発想が、活動が成果を結ぶのを妨げているかもしれません。
一定期間にわたってテーマや課題を気にかけてこそ、様々な情報がアンテナに飛び込んできます。
別稿でご紹介した、用紙を100マスに区切り、日々の生活や新聞などのニュースで気になったことでマス目をひとつひとつ埋めさせていく、中長期的に取り組ませるアクティビティも面白いと思います。
すべてのマスが埋まったところで枠をハサミで切ってカード化し、分類してみると、自分の関心が本当はどこに向いているかが浮かびあがってくるものです。
教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一