学習目標の理解と言語化を伴うアウトプットが伴えば、学習の成果は確かなものになるのは、これまで様々な記事で申し上げてきた通りです。
生徒の学習活動を、「目標提示」と「アウトプット」で挟んで、きちんとサンドイッチにしましょう。
間に挟まれる「生徒自身による学習」は、言ってみればサンドイッチの中身です。パンで挟まれていないと食べにくくて仕方ありませんよね。
❏ 1枚目のパン: 導入時にやること
本時に学ぶことに広く網をかける問いを設けて、導入フェイズで示せば、その問いに答えを導くことを念頭に生徒は学びを進められます。
話を聞かせても、教科書や資料・プリントを読ませても、自分の中に浮かんだ疑問や目的意識と結び付けながら行えれば、意識の焦点を置けている分、漫然と聞いて読むときよりはるかに効率よく情報を採り入れることができますよね。
❏ 中身の扱いにも発想にちょっとした違いを
次期学習指導要領の改訂方針として示された「教育の強靭化」では、学ぶことがらを減らすことなく、思考・判断・表現の力を高める学習活動をこれまで以上に充実させることが求められています。
常に「できることはどんどんやらせる~生徒の邪魔をしない」ことを意識しておかないと、学習にブレーキを掛けるばかりかもしれません。
「教科書の解説を読めばわかるから」という理由で先生の話を聞かないというなら、自力で読んで理解させれば良いだけの話ではないでしょうか。きつい言い方で申し訳ありませんが、「話をきちんと聞いてもらいたい」というのは教える側の思いであって、学習者が目的を達するために必須とすることがらではありません。
例えば、教科書やプリントに書いてあることなら、基本的には読めばわかるはず。
聴くだけでは、話し手のスピード以上は達成できませんし、ちょっとした躓きも帰り読みして確認できません。ラーニングピラミッドに照らしても、聞くより読んだ方が効率的です。
気づいたことを書き込んだメモは、それを起点に新たな発想に繋がることもありますが、声が伝わる空中には書き留める場所もありません。
情報の収集、整理、知識の獲得を効率的に行うためにも、意識の焦点を作ることは欠かせず、問題意識さえ触発しておけば、聞かせるよりも読ませた方がスピードも上がります。
❏ 2枚目のパンが、仕上げのフェイズで行うこと
授業を終えるときにきっちりと学びの全体を振り返らせ、アウトプットを通じてインプットに不備がないかを確かめることは、理解をより確かなものにしますし、その後宿題に取り組むときも達成可能性を大きく高めるはずです。
これらを通じて、教室の中で「興味が生まれる瞬間」を体験させるようにしていきたいものです。
さらには、答案という形で表現する力を高めるには、そうした場をきちんと整えていくことも大切ですよね。
・記述・論述問題の添削指導を繰り返す前に
・言語化(=表現力の発揮)の機会はあらゆる場面で設ける
・口に出す言語化は、文字に起こすことで補完を
・公開添削で、答案を客体化・相対化する能力と姿勢を
・採点基準を適用する練習も積極的に
・先生がすべての工程を肩代わりしては、成長の機会を奪う
教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一